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【時事問題】産業革新投資機構(JIC)について

こんなニュースがありました。

官製ファンドからの出資直後「不適切会計」公表 株急落で巨額含み損
https://www.asahi.com/articles/ASS9Z11M8S9ZULFA023M.html

官製ファンドの原資は国民の税金ですので、投資が失敗したのならまだしも、不正な手段で損害を受けたのなら損害賠償請求をしなければならないのですが、なぜか産業革新投資機構(JIC)は請求しないとのニュースです。

税金でなくとも、他人のお金を預かって運用する人は、預けてくれた人のためにベストを尽くす義務があります。
これを、Fiduciary Duty(フィデューシャリー・デューティー、受託者責任)といいます。

これを読まれた方の中には、「フィデューシャリー・デューティーの日本語訳は『顧客本位』ではないのか?」と思われた方もいるかもしれません。

数年前、金融庁がフィデューシャリー・デューティーの考え方を日本にも本当の意味で根付かせようとしたときに、日本語訳として、本来の意味合いをかなり拡張した「顧客本位」というフレーズがあてられました。

なので、本来、金融商品の代理店などの販売業者はフィデューシャリー・デューティーとは関係ないのですが、日本式の「顧客本位」では販売業者にも網がかかることになりました。

本題に戻ると、不正な手段で損害を受けたのに賠償請求をしないというのは、本来の意味での、Fiduciary Dutyに反している畏れがあります。

政府は民間の投資運用業者に対しては厳しくFiduciary Dutyの履行を求めておきながら、自身が運営するファンドについてはなあなあで済まそうとするのはいかがなものかと思います。

現在、たいていの金融機関では「フィデューシャリー・デューティー宣言」という各金融機関での方針を宣言しているのですが、JICはそのような宣言をしていないようです。

国民の税金を運用するのですから、官製ファンドには民間企業以上の厳しさが求められるはずです。政府にはぜひFiduciary Dutyの見本となるような資産運用を期待したいところです。

著書もよろしくお願いいたします!

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