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独自の価値の新しい組み合わせ #181 アライアンス

企業とは、社会における存在意義があって成り立ち続けられる存在です。
しかし、簡単に独自性のある価値を創造できるものではありません。
また、それが必ずしも、社会や顧客が望む価値である保証もありません。
更に環境が変化する以上、社会や顧客が望む価値が未来永劫続く保証もありません。

その意味でも、企業が持った独自の価値と、社会や顧客が望む価値を結び続けられるかが重要となります。

それを考えると「アイデアのつくり方」の著者で有名なジェームス・W・ヤング氏の「アイデアとは、既存の要素の新しい組み合わせ」とするアナロジー思考が参考になります。
これは、類推思考とも呼ばれ、2つ以上の物事の間にある共通点に着目し、課題に応用する思考法のことです。

このアナロジー思考を企業規模で捉えてみます。
例えば、一企業が持った独自の価値では、社会や顧客の望む大きな価値は引き出せなかったとします。

そこで考えられるのがアライアンス戦略です。
アライアンス(alliance)とは、企業間の協業やコラボレーションを意味します。
複数の企業が、互いの独自の価値を掛け合わせることで、単独では引き出せなかった社会や顧客の望む大きな価値を生み出す取り組みです。

アライアンス戦略が一般的になったのは、航空会社間の連合組織で、別名、航空連合ではないかと思われます。
航空業界では1990年頃から、コードシェア便やマイレージサービスの共有化など航空会社同士の業務提携が行われてきました。

清涼飲料水の販売チャネルにおいて大きなものが、全国に約約240万台普及している自動販売機だといわれています。
反面、自動販売機の設置場所が飽和状態になる中、近年では稼ぎ頭が缶コーヒーなどの売上がコンビニエンスストアやファーストフード店などのコーヒーに押されています。

ところが、ここに来て、人手不足により、コンビニエンスストの24時間営業の見直しが検討されています。
そうなると、自動販売機の最大の強みである24時間営業を活かして、巻き返しができる可能性もあります。

その様な状況下で、清涼飲料水メーカーのアライアンス戦略も進んでいます。
従来は、清涼飲料水メーカーの自動販売機では、そのメーカーの商品のみが販売されていました。
しかし、各社にも強みと弱みがあるのも事実ですので、基幹商品を相互に入れることで、収益の向上を狙うというものです。
今後は、自社独自の自動販売機の台数を増やすよりも、1台当たりの販売効率を重視する傾向が強まるかもしれません。

その他、電子書籍の台頭で苦戦する書店では、カフェ、コインランドリー、お寺、サウナ、高齢者施設などとのアライアンスによって、余暇、時間、癒し、交流などの提案をしています。

とにかく、日々、さまざまなアライアンス戦略が生まれています。
これは、M&Aのように経営資源に大きな負担を掛けることなく取り組むことが可能であり、仮に思惑が外れた場合でも比較的容易に解消も可能など取り組み易いところが影響しているのだと思います。

反面、緩やかな協力体制であるために、各企業の統制が取り切れずに、想定した思惑ほど成果を得られない場合もあります。

既存の価値の新しい組み合わせによって、単体の既存の価値だけでは生み出せなかった価値を、如何にして生み出すのかです。
どちらにしても、アライアンス戦略の正解は一つではないのかと思います。

企業にとっての経営資源は、ヒト、モノ、カネ、知識、情報と言われています。
アライアンス戦略では、それらの経営資源を様々な形で、組み合わせることが大切なのかと思います。
ここから単なるアイデアレベルではなく、イノベーションが生まれる可能性もあると考えています。

その意味でも、固定概念に閉じ篭もるのではなく、様々な業界やビジネスモデルの企業や団体、個人の方々との接点を多く持って行きたいと考えています。

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