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売れ筋ではない製品の価値 #199 ロングテール

マーケティングとは、自然と売れる仕組みづくりとも言えます。

イギリスの経済学者ヴィルフレド・パレートによって提唱された「パレートの法則」があります。

「パレートの法則」とは、「経済活動における成果の8割は、構成要素の2割が生産している」という考え方で、[80:20の法則]ともいわれます。
マーケティング的には、複数の製品を扱う中で、販売個数の80%は、全製品における20%の売れ筋製品で生み出されてると捉えたりします。

パレートの法則のイメージ

問題となるのが、売れ筋ではない不採算製品の扱いです。
勘違いして欲しくないのは、安易に売れ筋ではない製品の取り扱いを止めてはならないと言う事です。
ケースにもよりますが、売れ筋ではない製品があるから、売れ筋の製品が存在するケースもあります。
その他、想定内の現象もあるため売れ筋製品と売れ筋ではない製品の因果関係を分析する必要があります。

例えば、プロダクトライフサイクルです。
プロダクトライフサイクルとは、製品の寿命を人間の一生に例えて、・導入期 →・成長期 →・成熟期 →・衰退期 に分けます。

まず言えるのが、売れ筋製品が、どこの期に該当するのかです。
仮に衰退期なのであれば、非常に危機感があります。
その上で、売れ筋ではない製品が、どの期にあるのかです。
次世代の売れ筋製品にすべく育成中の導入期や成長期なら推進すべきです。
逆に熟成期や衰退期なら取り扱いを止めるタイミングを探っても良いと思います。
問題は、導入期や成長期の製品でないならば、早急に取り扱いを検討すべきです。

また、プロダクトポートフォリオでも検証したいところです。

プロダクト・ポートフォリオでは、製品を市場成長率と市場シェアによって、大きく4つに分類します。

①スター:成長期の製品
②金のなる木:成熟期の製品
③問題児:導入期の製品
④負け犬:不採算の製品

この場合、③問題児は、採算は悪いかもしれませんが、なんとか成長期に育成させたいところです。
逆に、④負け犬の販売は、基本的に止めるべきです。

また、戦略として検討したいのが米WIRED誌の編集長・クリス・アンダーソンによって提唱されたロングテールの法則です。

これは、インターネット普及以前の小売業の常識とは、まるで正反対の販売戦略となります。
リアルな実店舗のビジネスモデルでは、いくつかの制約があり、限られた売り筋製品に特化した大量販売で売上を確保するのが常識でした。
・在庫量が増える。
・対象市場が小さい。
・広告・宣伝費も増える。
・販売スタッフ育成が必要となる。
・その他

対して、ロングテールの法則とは、インターネットを活用することで、「限られまた20%の売れ筋製品に頼るのではなく、大半の80%の売れ筋ではない製品、ニッチで売れない製品の販売数量を増やすことで、安定した売上げ、それ以上に安定した利益を確保する」という考えです。
左から販売数量が多い製品順に並べたグラフを描いた際に、販売数量の少ないニッチな製品群がロングテール(長い尻尾)に見えたことから名付けられています。

インターネット上での販売には、実店舗のような物理的限界はありません。
実店舗では売れ筋ではなかった製品も積極的に紹介することで、潜在的な需要を創出することも可能となります。
実際、このロングテールの法則を活かした戦略によって、Amazonのような大手ネット通販サイトは大きな業績を挙げています。

また、このロングテールの法則は、小売業に限ったことではありません。
営業スタッフが客先を訪問して自社が扱う製品を案内および説明する上では、どうしても制約があります。
そうなるも、どうしても一押しの製品の案内だけに止まってしまいます。
しかし、インターネットのホームページやSNSなどを活用することで、あらゆる取り扱い製品の情報を発信することが可能となります。
これは、現代の問題となっている営業スタッフの人材不足を補うことにもつながるかと思います。

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