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読書記録 「一日一菓」
”お茶の世界の和菓子”の美しさにふれられる。
「一日一菓」はそのタイトル通り、365日の和菓子を紹介する美しい書籍です。
こちらの本には、1日1ページのお菓子が紹介されています。
見た目は分厚く、まるで図鑑のようです。
上質な紙にフルカラーで印刷されているので、和菓子の写真集と言ってもいいかもしれません。
パラパラめくるだけでも楽しめますし、じっくり今の季節・今日のお菓子をながめることもできます。
著者の「木村 宗慎」さんは茶人です。
写真の下に添えられた説明は、ご亭主としてお菓子を選ばれるときの思考が伝わってきますし、お茶の席でのお話も浮かびます。
何よりも、お菓子と器の組み合わせが本当に素晴らしいです。
とても手に入れられるような器でないことは明白ですが、器の形や色、お菓子との組み合わせ、器にあらわれる余白の美しさにため息が出てしまいます。
ただし、この『一日一菓』でも取り合わせを、私は実際に茶席では使わないかもしれません。茶室からのトリミングではなく、器と菓子の取り合わせだけで完結して、読者の方をもてなすつもりで選んできたからです。実際の茶席でやってしまっては、過剰になることもあると思います。
お茶席の和菓子は単体で成り立つのではなく、空間や器、会話などの総合芸術なんだとあらためて感じる、そんな本です。