
裸でも身に着けるブランド
個人の体験から得られる教訓、というものをあまり信用していない。
一個人が経験した母数1のデータから得られる教訓より、
長期の時間軸で多数の人々経験の集積から得られた教訓を、人生の指針に置きたい。
「歴史は繰り返す」とまでは言い切れないけれど、歴史から学びたい。
そんなわけで巷であふれる自伝的自己啓発本を読むことはない。
かつて幼児期には集英社の伝記シリーズが大好きで、本屋に並ぶ全巻、立ち読みで読破した大変迷惑な悪童だったけれど、最近は自伝すら読まなくなってしまった。
ところが、心変わりが起こった。
というのも昨年末に一つの願望が生まれたからだった。
「社長になりたい」
生い立ちを考えたり、これまでの会話を振り返ったりすれば、あがる選択枝ではあったのかもしれない。
それでも、単なる思い付きと切り捨てるに十分な、取るに足らないぽっと出の煩悩だったので、大晦日に供養した。
しかし、年が明けても、私が一番能力を発揮できて輝けるのは会社を立ち上げて…などと、妄想が止まらない。
そこで、実際に活躍する社長のエピソードを見てみようと、今までだったら手に取ることすらなかった類の本を何冊か購入した。
そのうちの一冊が
MOTHERHOUSE創業者・山口絵理子さんの『裸でも生きる』。
一般的にイメージされる、ベリーショートでパンツスーツを着こなして闊歩するような、いわゆる"働く女性"が私は苦手だ。
一方で、仕事ができないだけなのに、性別を理由に「社会進出に虐げられた」と訴える人々も苦手だ。
私の理想は、
「ふわふわした見た目なのに、とんでもない能力と気概を持った人」。
可愛らしく愛嬌があるのに、話してみるだけでこの人頭いいな、とわかるような大きなギャップがある人になりたい。
にこにこして愛嬌を持って接すると、第一印象ではなめられやすいけど、
その分ハードルが下がっているので、与えられた仕事に対してほぼ確実に予想以上の結果を返せる。得な戦略だと思っている。
数年前にMOTHERHOUSEのトークイベントに参加して、はじめて山口絵理子さんご本人からお話を聴けた。

山口さんはずっとにこにこと嬉しそうに話されていて、観客を見送る姿は小さくて可愛らしい。
これほど理念の固まった大きな会社の創業者かつ代表取締役と言われてもいまいち信じられない。
まさに私の理想!
著書を読んで分かったのは、
小学生のころにいじめにあって、不良から更生して…と起業に関わりそうなストーリーとして綴られていたけれど、結局、能力の高さと性格は重要だ。
個人的に大切だと思ったのは、紆余曲折あったとしても山口さんは学生時代から、おそらく幼いころから頭がよく、周りをよくみていた。
相手に対して何をすれば喜ばれるかも嫌がられかも分かる観察力や推察力がある。
そして、やりたいことを規格外のレベルでやりきる力がある。
他人にどう言われようが、他人にどう見られ評価されようが、たとえ裸になってでも自分が信じた道を歩く
まだまだ未熟な私は、やりたいこととできることを結び付けられておらず、「社長になりたい」は夢物語かもしれない。
でも、今まさに挑戦の道半ばにいて、やりたいことをやれている。やりきれるかはこれからの問題。
私にも期待ができると思った。
ちなみに、
昨年購入した結婚指輪はMOTHERHOUSEのジュエリーブランドのもの。
この指輪は裸になっても、死ぬときであっても、最後まで身に着けている。
次はDeNA創業者・会長の南場智子さんの『不格好経営』を読む。
たのしみ!
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