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人生は物語ではないけれど

趣きを忘れた梅雨が足早に過ぎ去り、湿り気ばかりを肌に残していった六月のこと。

「手伝ってほしいんだけど…」

ある演出家の一言で、OL真最中の私は演出助手を引き受けました。

「手伝い」にそれらしい役職名をつけようとすると、「演出助手」が適していただけかもしれません。

気晴らし人生論

私には本職があります。
事務職なので、基本的にデスクに張り付いてキーボードをたたいています。よく働いたと実感する日も、ぼーっとしていたら終わっている日もあります。

ムラがあっても、毎月決まったお給料が入ってきます。
それが、サラリーマンです。

どうしてそんな一端のサラリーマンが得るものも失うものもない、演出助手を引き受けたのか。

いろいろ考えてみましたが、畢竟巡り合わせでしかないと思っています。

私の根底にある思考は、「人生に意味なんてない」。
ですから、人生には「気晴らし」が必要なのです。

というのも、猫に学びました。

仕事は時に最高の気晴らしとなるスケジュールです。

長い長い人生の暇という空虚を埋めながら、人様のお役に立てるし、お金もいただける。健全な環境で行うことができれば、仕事そのものは悪いことではありません。

だから満員電車は嫌いですが、仕事そのものは嫌いではありません。

そして今回、私は新しい気晴らしを見つけました。

人生は物語ではありません。
でも、人生に物語をつくることを夢みて、筆をとり、踊り、演じる人々がいます。

私は気晴らしを求め、留まる人です。

人生が物語ではないとしても、はたして、私の人生に物語はあるのでしょうか。

半年の道筋

舞台の話に戻ります。

素人だからこそ言えるのでしょうが、やるからには満員御礼を掲げます。
そのために価値があると判断したことは、全て実行する気概でいます。

先日、勉強と称して、ケイティ・ミッチェル先生が演出のオペラ『ペレアスとメリザンド』を鑑賞してきました。

著作に書かれていた通り、絵画のように計算された構図が多く、意識的に舞台を俯瞰できました。

上演中の暗闇で周りにご迷惑をかけないようスケッチを描いていたのですが、いまだに解析できていないものが多いです。

なんだこれは


これから演出助手として、半年間走るわけですが、せっかくなので道標代わりに所感をここに残していこうと思います。
(あわよくば宣伝も。)

演劇を見て、学び、考え、作品と役者の皆様とそして自己と向き合いながら、公演までの時間を過ごしていきます。

進む先に待つものは、演劇なのかはまだわかりません。
でも、芸術であってほしいとほのかに願っています。

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