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1. 大学院での授業内容〜フロリダ大学オンライン留学中編〜

私が修了した、フロリダ大学ヘルス&ヒューマンパフォーマンス学部応用生理学・キネシオロジー学科の理学修士課程での生活&授業内容をまとめています。

「オンライン修士課程ってどんなカンジ?」の参考になれば、と思います。

オンライン海外大学院進学に関する全情報のまとめはこちら↓


UFMSAPK全体像

※ UFMSAPKは私が修了したコースの略です。クラスメイトは「MSAPK」と呼んでいました。
・UF…University of Florida (フロリダ大学)
・MS…Master of Science (MAは文系, Master of Arts)
・APK…Applied Physiology and Kinesiology(応用生理学・キネシオロジー)

①修了要件

MSAPKの終了要件は、

Degree Requirements: 30 credit hours & Comprehensive Exam

学位(修了)要件:30単位&総合試験

1つのコース(授業)で3単位もらえます。つまり最低10コース受ける必要があります。
そして最終学期の真ん中くらいに総合試験Comprehensive Exam; Comp)を受けます。これが本当の「勝負所」です

卒業試験のようなものなので、点数が悪いと卒業できません
でも、主にコースの中間・期末テストから、全く同じか似ている問題が出題されました。(Compについて、詳しくは後述します)

個人の学力、英語力、時間的余裕により異なりますが、
MSAPKでは最短1年〜最長5年で修士号を取得することができます。

※ コースによって異なるので進学先の情報をよく確認してくださいね!
問い合わせると事務局がとっても丁寧に教えてくれます。

当然、時間が短いほどキツくはなってくるのですが、1年で修士号取得可能って魅力的ですよね!

また、年単位ではなく、学期単位で卒業する時期を選ぶことができるので、(1年+1学期)や(2年+2学期)で取得するという感じで、進度もスケジュールも自分で選ぶことができます。

MSAPKでは、すでにスポーツ団体やジムなどに就職をしていて、働きながら修士号を取得したいという人が多かったので、5年かけてゆっくり取得している人が多かったように思います。

というのも、1年にいくらと学費を請求する日本と違って、アメリカの大学院はコース毎に料金がかかるので、1学期に1コース(3単位)しか取らない場合はその分しか料金がかからないのです。

なので、ゆっくり取ってもはやく取ってもトータルの授業料は同じになります。

ただし!日本から受講する場合は1学期につき海外送金手数料(たかい)がかかるので、長くいるとトータルの出費は高くなると思います…

以上、まとめると

・修了要件は30単位の取得(10コース分) & 総合試験合格
・最短1年〜最長5年で修士号を取得(合計の授業料はあまり変わらない)

です!


②APK授業内容

さて、上記のように修了には30単位10コースを取らなければならないのですが、全部好きなものをとって良いわけではありません。

必修や選択科目などが分かれており、そこから何単位取らなければならないということが決められています。

MSAPKでの例を紹介していきますので、このコースに興味がない方は次のセクションへ進んでいただいて構いません。

MSAPKでは、
・Concentration Courses(必修科目)18単位
・Elective Courses(選択科目)12単位
を取得しなければなりません。

そしてさらに、必修科目には6つのFundamental Theme(基本テーマ)があり、そのテーマを最低1つずつ受けなければなりません。

Concentration Courses(必修科目)3×6単位
①Exercise Physiology(運動生理学)
②Research(研究法)
③Conditioning(コンディショニング法)
④Assessment(評価法)
⑤Biobehavioral Aspects of Performance(パフォーマンスの生体行動学的側面)
⑥Sport Nutrition(スポーツ栄養学)

まずはテーマの紹介。具体的な授業内容は以下に示します。

興味のある方は以下のリストをご覧ください。もっと詳しく知りたい!という方は、ネットで"uf apk syllabi"と検索してください。コースシラバスに詳しい内容が書かれています。

MSAPKコースリスト(2023年度時点)

①Exercise Physiology(運動生理学)

  • APK 6116 Physiological Bases of Exercise & Sport Sciences (3 credits)

  • APK 6170 Advanced Exercise Physiology (3 Credits)

  • APK 5133 Human Pathophysiology for the Exercise Sciences (3 credits)

  • PET 5936 Genetics & Human Performance (3 Credits)

生理学については全くの無知だったのでヤバかったです。(今もヤバい)
5000番台だから6000番台より簡単だろう…と思って(その通りでした)、Genetics of Human Performance(スポーツパフォーマンスの遺伝学)をとりました。
印象に残っている学習事項は、遺伝(人種)的に短距離&爆発的パワー型か長距離&じんわりスタミナ型かが決まっているということです。これは筋肉の型に依存しています。
世界地図に当てはめてみると、その特徴が流れるように変化していました。

先生が同じ方だったら超オススメの授業です!

②Research(研究法)

  • HLP 6535 Research Methods (3 credits)

  • PET 5936 Applied Sport Science (3 Credits)

興味があってどっちも取りました。
Research Methods(研究法)は博士課程進学希望者のための授業で、Research Proposal, 論文のIntro, Methodsまでを調査・執筆します。トピックの選定や文献調査も徹底して行うので、本当に研究するつもりで取らないとモチベが上がらないと思います。最後に録画でプレゼンテーションを行います。質問等は後日チャットで来るので英弱も安心です。笑
Applied Data Science & Analytics in Human Performance(ヒューマンパフォーマンスの応用データサイエンス&分析)はAIを用いてビッグデータを分析していきます。野球ピッチャーのボールの初速度・回転率・球種・結果(ヒットとか)のデータをAIで分析して結果を図と文章で報告するというプロジェクトを何回か行いました。
やり方も丁寧に教えてくれるので、とても面白かったのですが、システムトラブルが起きて課題の提出が遅れたときに、先生の融通が利かなくてちょっと苦労しました。(3日前からやっていたのですが、トラブルを見越してもっと早くやればよかったじゃないか!と言われました。そんな時間ないよ〜)

でも自分が悪いので、おすすめはデータ分析の授業です笑

③Conditioning(コンディショニング法)

  • APK 6176 Strength & Conditioning (3 credits)

  • APK 6611 Tactical Strength & Conditioning (3 credits)

  • PET 5936 Strength & Conditioning for Beginning Professionals (3 Credits)

パーソナルトレーナーの方々がこぞって取っていた授業たちです。みんなムキムキでチャット欄のアイコンが筋肉でいっぱいでした。
私はビギナー向けの授業を取りました。ジムなどで2年以上の勤務経験がある人は上2つを取るようです。
ビギナー向けのStrength & Conditioningの授業はNASM(全米スポーツ医学協会)- CPTの資格を取得する方におすすめです。というかほとんど資格試験の勉強でした。授業修了後に復習してCPTの試験を受けたら合格すると思います。

1年で修士を取るスケジュール感だと、(私は)そんな余裕がなかったので難しいかも!

④Assessment(評価法)

  • APK 6226 Biomechanics of Human Motion (3 credits)

  • APK 5102 Kinetic Anatomy (3 credits)

  • APK 6320c Corrective Exercise (3 credits)

Biomechanics(バイオメカニクス)Corrective Exercise(コレクティブ・エクササイズ)の2つを取りました!
前々から興味があったバイメカの授業は、先生がとても丁寧で優しく分かりやすく教えてくれるのですが、なぜかテストが鬼レベル。テストになると先生が鬼と化すので、「この先生絶対キライ!」となるのですが、その後、授業で先生の笑顔を見ると、「はぁ…もう一回やったるか…」となります。
もともと数学・物理が好きだったので楽しめる授業でした。理系でない方には厳しいかも。
コレクティブ・エクササイズは授業内容がとても面白そうで取りました。その頃話題だった筋膜ローラーを使った筋肉の解し方、ストレッチの理論、筋トレや姿勢評価の理論など充実した内容でした。
これもNASM-CES(corrective exercise specialist)の資格試験対策の授業でした。期末テストを資格試験に置き換えてもらえるとのことだったので、CESを取りました。学期終了後に1日だけ試験対策をやるだけで受かったので、授業の内容がそのまま資格試験の内容だったのだと思います。

どっちも超おすすめ!

⑤Biobehavioral Aspects of Performance(パフォーマンスの生体行動学的側面)

  • APK 5404 Sport Psychology (3 credits)

  • APK 6408 Performance Enhancement (3 credits)

  • APK 6205 Nature & Bases of Motor Performance (3 credits)

全部取りました!
Sport Psychology(スポーツ心理学)はアスリートのメンタルトレーニングや動機づけや注意などの心理学の基礎理論を学びました。②Performance Enhancement(パフォーマンス向上)の授業はスポーツ心理学の授業修了が履修要件になっていて、この授業で学んだことを元により発展した内容を扱いました。①スポーツ心理学は教科書の内容が中心で、②パフォーマンス向上の授業は論文の内容が中心という感じでした。
Nature and Basis of Motor Performance(運動パフォーマンスの性質と基盤)は脳神経科学の授業です。この授業が本当に面白い!先生もいい人でした。一般的に心理学はアンケート調査や面接法が主な手法ですが、これは脳派や生理学的指標、脳画像を用いて明らかになっていることを紹介してくれます。

おすすめは脳科学!心理学が好きな人はスポーツ心理学も可。どの先生もいい先生でした。

⑥Sport Nutrition(スポーツ栄養学)

  • APK 6167 Nutrition Aspects of Human Performance (3 credits)

  • PET 5936 Ergogenic Aids (3 credits)

Sports Nutrition(スポーツ栄養学)を取りました。
これもISSN - CISSNという資格対策の授業でした。他の授業と違って、栄養学の知識が元々ある人だったら授業後に試験を受けたら合格すると思うけど、初見の人は授業について行くだけで精一杯な気がします。
それくらい覚えなきゃいけない情報量が多いなと感じました。
あと、この先生は同じ問題を試験に出さないようにしているので試験対策が大変!覚悟の上お取りください。

おすすめ度⭐️3(ふつう)!でもこれ以外に選択肢があまりない。

以上が必須科目の内容です。1テーマにつき1コースが必修扱いなので、それ以上とると選択科目の単位として数えられます。

その他にも選択科目として

  • APK 6900 Independent Study (1 – 3 credits)(実態が謎。何か分からないけど単位取得が楽なのか人気がある)

  • PET 6947 Graduate Internship in Applied Physiology & Kinesiology (3 - 9 credits)(インターンシップで単位がもらえる。日本からはほぼ参加不可)

だったり、学部外の授業の

  • SPM 5181 Athlete Development (3 credits)

  • SPM 6726 Sport Law (3 credits)

  • SPM 5016 Sport Sociology (3 credits)

  • SPM 5506 Sport Finance (3 credits)

(シラバス見てみて!)

を選択科目として取ることができます。

※ MSAPKに入学して1年で修士号を取得したい人は、1・2学期に必修を全て取り終えることをおすすめします。総合試験が3学期半ばにあるので、最終学期に受けている授業は試験の科目に設定できないからです。

アメリカ大学院へ留学している人におすすめなのが、
Rate My Professor」というサイトです。
これは日本でいう「楽単検索サイト」で、学校名や教授の名前から授業の楽単度を検索することができます。
良い成績を取りやすいのか、課題はどんなものが出るのかなどを事前に把握することができるので、全員におすすめです!



③ 授業のスケジュール感

では、オンライン留学での授業のスケジュール感についてUFMSAPKを例に紹介していきます。

大学の1年のスケジュール、「学年歴」は英語「アカデミック・カレンダー」と言います。学期(セメスター)がいくつあるのか?何月から何月まで?長期休みは?といったことは全てこのカレンダーに記載してあります。

(あなたの進学先大学名)+ Academic calendar」と調べてみましょう!
授業期間・試験期間・長期休み期間などについてまとめられているはずです。

ちなみに「Commencement」というのは卒業式のことです。

フロリダ大学は、Spring・Summer・Fall Semesterに分かれています。大体1学期3ヶ月と1週間くらい、夏だけ少し短くて3ヶ月ないくらいです。

私はSpring・Fall Semesterに3コース(9単位)ずつ、Summer Semesterに4コース(12単位)を取りました。

最終学期は授業数を少なめにしておくことをお勧めします。
卒業試験の準備を授業の課題とは別に進めないといけないからです。

大学によって異なるかもしれませんが、長期休みはなかった!
試験期間終了後に2週間のお休みがあって、授業期間中に中間休みみたいなものが1週間ありました。

以上、オンライン留学の全体像でした。


おしまい。

・次の記事はこちら。

準備中…

・オンライン海外大学院進学に関する全情報のまとめはこちら。

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