日本料理の食卓作法2-B~どんなものが出るのかな?~
2006年7月17日 (月)
「会食前の予備知識編<2>」
~どんなものが出るのかな?~
「知りたい日本料理」と少々かぶっていますが、いったい会席料理とはどんなものが出るのか、基本のお話をさせていただきましょう―。
ここでお話しするのは、会席料理のなかでも「喰い切り料理」と呼ばれる、一品ずつ出てくるフルコース形式のお料理です。
いろいろな料理の影響を受けている「会席料理」ですが、一般的には「一汁五菜」「二汁七菜」などの品数で作られることが多いようです。
まずは「先附」と「前菜」について…。
1.先附(さきづけ)
別名:突出し、お通し、箸染め、など…
「海素麺のとろろがけ 焼干子」
「わさび豆腐 黒とびこ」
「白和え」などなど…
一番初めに出される料理で、一品~三品程度出されることもあります。
この料理でまずは初めの一献を飲んでいただくわけですが、最初だけに
・量的には少量で
・続く料理の味がよくわかるように、あまり強い味付けで
ないもの
・そして季節感のあるもの
を出されることが多いようです。
「和え物」や「お浸し」、また少量の「珍味」が出されますが、この場合「珍味」は一種類に限り、二種三種と出されることはありません。
作り手としては、一番初めに出すものだけに、小さい器ですがよくよく吟味して選び、形の良いもの、趣味の良いものを使うようにします。
2.前菜(ぜんさい)
別名:前肴、前八寸、小八寸、など…
●ある年の水無月献立より「前菜」
滝川豆腐 振り抹茶 雲丹たたきおくら 短冊サーモン
じゅんさいと海老枝豆ゼリーよせ
(豆腐を裏ごしし、葛とあわせて寄せたものを器の上に
滝川に突き出して、抹茶を振る。
その上に、たたきおくらを乗せた雲丹、短冊に切った
大根とサーモンの重ね、じゅんさいと海老と枝豆の
ゼリー寄せを盛り付け、割りしょうゆを回しかける)
会席料理の「前菜」とは、内容からみると「本膳料理」では「口取り肴」、「茶懐石」では「八寸」に類する内容となっており、季節のもの、山海の珍味、甘い味、塩味のものなどを取り合わせて一つの器に少量ずつ盛り込んだものです。
その種類は3・5・7種と奇数で盛り込むことが多く、食べる順番としては、中央手前から、右、左と食べていくとちょうどよい味わい加減になるように作られています。
いずれも、その順番で食べると盛り付けが崩れないようになっていますので、それを念頭に食べすすむとよいですね―。
もともと、会席料理に「前菜」という考え方はありませんでしたが、洋食や中華の影響もあり、昭和初期ごろから取り入れられだした、と言われています。
洋食や中華では、まず出てくる前菜で食前酒を飲み、食欲を増進させてメイン料理へと進みますが、会席料理はすべてが「酒肴」という考え方で作られている料理ですから、いわば全部が「前菜」と言えるのかもしれません―。
料理そのものの構成にたいする考え方が違いますので、なかなか一概には比べられないものですね。