マナー1名1

日本料理の食卓作法Ⅰ―C「マナーとは…?」

2006年2月 3日 (金)

<マナー・作法とは?>
…と書き出したのですが、ふと手が止まってしまいました。

だって、何だかこう書きだすと「教科書」っていうイメージがあるんだもんね。

「マナーかぁ…細かい手順にめんどうな決まりごと、堅苦しくてきゅうくつで、そのくせ高い料理なんだろうけれど、なんだか食べた気がしない」

私の経験では、「マナー」についての事前アンケートをとると、全体としての結果はだいたいこの一文に近い内容になります。

なんだろう?みんな、どこでこんなネガティブなイメージを拾ってきちゃったのかなぁ…。

「マナー」ってけして押し付けじゃないし、「規則」が先に来るものでもないんだけどなぁ…。

うーんうーん、一番簡単に言うと、和洋中どんな料理でも

「一緒に食事をする人たちに、不快な思いをさせないこと」

これがマナーの基本中の基本で、ある意味「すべて」なんですよね。

ともすると、食器のフタのとり方だの、箸の上げ下ろしだの、ナイフとフォークの順番だの、そういうことがクローズアップされがちだけど、まずは「気持ち」の問題から、です。

「だけど、何をしたら相手が不快になるかなんて、そんなのわかんないじゃん!相手だっていろいろいるし!」

―はい、ごもっともです。そしてその答えは、ただ一つしかありません。

「自分がされたら嫌だと思うことは、相手が誰であれ、しない!」 

それだけ、です。
究極のマナーは、この一言に尽きるのです。

たしかに、一緒に食卓につく人達は、家族以外は生まれも育ちもみんな別々の他人様です。

食べ物の好き嫌いがあるように、それぞれが不快に思うことは微妙に違うのかもしれません。

それでも、「自分がされたら嫌なことは、相手にもしないようにしよう」と思った時、そこには相手のことを大切に思う、「思いやり」の心が生まれます。

どうせ食事をするなら、美味しく楽しく食べたい。

同席する人たちが、お互い「思いやり」を持って食事をするなら、誰もイヤな気持ちにならなくてすむんですから、考える価値は有り、ですよね―。

例えば、
・テーブルの全員に料理が配られるのを待ってから食べ始め、
 同席の人達と同じくらいに食べ終わるようにする。
・口の中に食べ物を入れたまま、おしゃべりをしない。
・食器や箸、カトラリー(ナイフやフォーク)を乱暴に扱わな
 い。

この三つを心がけてもらうだけでも、充分マナーとして立派なものなんですよ♪

想像してください―。

自分の向かいに座った人が、料理が出るが早いかあっという間に食べ尽くし、まだ食べ終わっていない自分をじーっと見ているところを。

想像してください―。

隣の人に話しかけられたら、相手の口には食べ物が入ったままで、なんだか細かいものや水分がこちらに…。
うっわ~、イヤ!!

想像してください―。

食べ物を取る時に、皿や器にフォークがガチガチとあたり、ナイフを使おうとするとガチャン!と大きい音がし、手に持っていた器を「たーん!」と音がするほどの勢いで卓に置く人が、もしあなたの恋人だったら…。

思わず、「なに怒ってんの?」と突っ込んでみたくなりますよね。

いかがでしょうか?
「そう難しいことじゃないね」
そう思っていただければ嬉しいのですが、逆に
「なんだ、そんなことならわかってるよ」
という声も聞こえてきそうです。

わかってはいるものの、いざ具体的に自分がしてみようと思うと迷うもの―。

テーブルマナーって、このへんがみんなの悩みどころなのかな…?

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