詩「煙草」～＃沖田艦長万歳
煙草を吸う者が少なくなった
シケモクに火をつけて根元まで吸い
革靴で塵になるまで踏みつける者がいなくなった
確かに身体には悪かろう
環境にも悪かろう
他人様にも迷惑をかけるだろう
だが妙に懐かしいのはなぜだろう
麻雀をする者が少なくなった
安っぽい雀荘で瓶ビールを飲みながら
安っぽい金を賭けて美味くもないチャーハンを食いながら
朝までちーだのぽんだの叫びながら過ごす阿呆たちが少なくなった
確かに身体には悪かろう
賭け事は違法だろう
だが妙に懐かしいのはなぜだろう
暴走族が少なくなった
車やバイクを改造して公道を暴走する阿呆どもを見かけなくなった
車はシャコタン
バイクは巨大なマフラー
レーサー気取りで公道を「アウトインアウト！」とかほざいてハンドルを切る阿呆がいなくなった
確かに違法だろう
他人様にも迷惑をかけるだろう
俺も出会いたくない連中だった
だが妙にそいつらが懐かしいのはなぜだろう
阿呆が減っている
利口な者が増えている
不摂生な奴らが減っている
健康な者が増えている
だがそう見えるだけかもしれない
見えていたものが見えなくなっただけで
人の本質は何も変わっていない気がする
むしろ見えにくくなった分たちが悪い気もする
何にせよ
何もかもみな懐かしい（※）
※沖田艦長の名台詞。