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「高慢と偏見」~言葉通りの馬鹿がいた

 昔話など誰も聞きたくないだろうが、今日は記事らしい記事も書いていないので書く。
 「パリタクシー」という映画を観ていて、かつて金融関係のリーマンだった頃の部下に「高慢と偏見」という言葉通りの後輩がいたことを思いだした。なぜ映画を観ていて思い出したかというと、タクシーの運転手が主人公だからだ。
 昭和のイケイケ時代だから毎日サービス残業、終電で帰宅出来れば良いほうで、平日は二時、三時帰りが当たり前だった。当然タクシーで帰る。僕はその後輩が嫌いだったから一緒には帰りたくなかったが、当時は全寮制で同じ寮だったから仕方ない。同じタクシーに乗る羽目になった。
 疲れてた。疲れ切ってた。心身ボロボロ。だから苛立つのはわかる。しかし、理性によって感情を抑えることを知らない馬鹿が世の中にはいる。そいつがまさにそうで、タクシーの運転手と口論を始めた。何がきっかけかは覚えていない。きっとつまらないことだろう。要するに八つ当たりがしたいだけなのだから。
 はっきりと覚えているのは、寮に着いてからタクシーを降りるときにそいつが言った言葉だ。
「たかがタクシーの運転手のくせに、偉そうなこと抜かすな!」
 という意味の捨て台詞を残してドアを叩きつけるように閉めて出て行った。そいつを先に下ろして車内で精算するときに運転手が僕に言った。
「悔しいです。おたくは大きな会社に勤めていますからね。あのひとはわたしを馬鹿にしているんですよ。タクシーの運転手を馬鹿にしているんですよ!」目に涙を浮かべていた。僕は頭を下げて謝っておいた。
 タクシーの運転手を馬鹿にするな!職に貴賤はない!
 「高慢と偏見」
 おそらくそいつみたいな奴は、世の中にごろごろいるんだろうな。そう思うと気分が悪い。
 気分が悪いので引き続き「パリタクシー」を観て、美しい景色に癒やされることにする。
 
 

#気分の悪い昔話
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#未来のために
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#タクシーの運転手
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