フレームワークの背景を知ろう。-VRIO分析編-
今週もウェブ解析士のnoteをご覧いただきありがとうございます。
今週は、フレームワークの背景を探るシリーズ第二弾!
先週の『「何を伝えるか」を考える。』という記事の中にも出てきたVRIO分析についてご紹介します。
VRIO分析は、ウェブ解析士認定試験公式テキストでは登場しないフレームワークなのですが、差別化を検討する上で非常に有効なフレームワークです。
先週の記事
フレームワークの背景を探るシリーズ第1弾の記事
VRIO分析とは
まずは、VRIO分析の概要を理解しておきましょう。
「中の人」の理解では、内部環境分析のひとつで、競合を定めた上で相対的に評価するツールです。簡単な使い方は下記の記事でも紹介しているので、目を通してみてください。
内部環境にフォーカスしたRBV理論
VRIO分析はリソース・ベースト・ビュー(Resource Based View)と呼ばれる経済学理論に経営学的解釈を与えて落とし込まれたフレームワークと言われています。そこでRBV理論の概要を見ていきましょう。
RBV理論とは
ファイブフォース分析編でご紹介したSCP理論が外部環境(市場構造)を重視した理論であるのに対し、RBV理論は内部環境(経営資源)を重視した理論です。
もう一つの「完全競争」要因
さて、ファイブフォース分析編でご紹介した「完全競争」の要因をおさらいしてみましょう。
この3つの要件を満たす市場は儲からないよね、だから完全独占を目指して差別化するのが大事だよね。というのがSCP理論のあらましでした。
RBVではこれに加えて、
という完全競争を成り立たせる4つ目の要素が重要になってきます。
どういうことかというと、「③製品は差別化されていない」=全ての製品が同質化しているとすると、企業は同じリソースを持っているはず。逆に考えると、異なるリソースを持っていて、それが他企業に移動できなければ競合は同じ製品を作ることはできない。つまり、条件③を崩し(差別化に成功し)、完全独占に近づける。というのがRBV理論の根幹にある考え方です。
RBV理論の骨子
上記した4つ目の完全競争の要因に着目したRBVは企業の「持続的な競争優位」を実現するための経営資源(リソース)の条件を下記のように言及しています。
まず、競争優位を実現するために、経営資源は価値があり(Valuable)、希少である(Rare)という、2つの条件を満たす必要があります。
そして、それらを持続可能にするために、模倣困難(Inimitable)で、代替が難しい( Non -substitutable)という更に2つの条件を満たす必要があるそうです。
模倣困難なリソースとは
RBV理論では更に、模倣困難性について「リソースひとつひとつの価値よりも、その組み合わせ方が大事である」としています。そして、組み合わされたリソースが模倣困難になる条件として下記3つを挙げています。
RBVから考えるVRIO分析
RBV理論を何となく理解したところで、VRIO分析を考えてみましょう。
単に価値・希少性・模倣困難性・組織を評価しろと言われても「評価軸がわからん」って感じですよね。特に「中の人」が難しいと感じていたのは「模倣困難性」の評価。ですが、VRIO分析の背景になっているRBV理論をそれとなく理解していると、どういう状態が模倣困難かというのがはっきりして評価軸をもてた気がします。
まとめ
RBV理論もSCP理論と同様に、「いかに完全競争の条件を崩し、完全独占に近づくか」という命題を持っており、SCP理論とはアプローチ手法が違うだけだと「中の人」は認識しています。
SCP理論は外部環境に働きかけるのに対し、RBV理論は内部環境に働きかけます。(とは言っても内部環境も相対評価を行うので外部環境ありきですが)
「RBVは実務的ではない」とも言われているようですが、個人的にVRIO分析はよく使います。その背景にあるRBV理論を知っているのと、知らないのとではフレームワークから吐き出されるアウトプットの質に違いが出るのでは。なんて思っています。
あとがき
さてさて、今週も最後まで読んでいただきありがとうございます。
そろそろネタを見つけるのに苦労するようになってきました。(笑)
今週はフレームワークの背景シリーズ(勝手にシリーズ化)第二弾でしたが、いかがでしたか?
「他人は簡単に変えられないから、自分が変わりなさい」ってよく言うじゃないですか。RBVはそれを企業に置き換えた考え方かもしれないなぁ。なんて「中の人」は思っていました。
最後に宣伝ですが、「中の人」がFlashセミナーに登場します。
ウェブ解析士のnoteを読んでくださっている方は何となく察していると思いますが、毎週必死に勉強しながら書いているんですよね。(笑)
で、そんな「中の人」が勉強している時に大事にしていることや勉強のコツなんかをお話しさせていただきます。
「こんなことが聞きたい」的なことがもしあれば、コメントしてみてください。コメントいただければ、セミナーの中で回答できるように努めます。