フィリップ・コトラーVSバイロン・シャープ
明けましておめでとうございます。
今年も相変わらず毎週記事を更新できるように頑張ります。引き続きよろしくお願いします。
さて、新年一発目の記事は、提供いただいたお題にお応えするものです。
今回提供いただいたのは「バイロン・シャープ」のマーケティング理論についてです。コトラー大先生の理論との対比という形で書き進めていこうと思います。どうぞ、お付き合いくださいませ。
コトラーとシャープのそれぞれの理論概要
まずは、それぞれの理論の概要を抑えておきましょう。
コトラーのマーケティング理論
コトラー先生のマーケティング理論の根幹はなんといってもSTP理論なのかなと思うんですよね。
市場を切り分け、適切なターゲティングを行い、有効なポジションを探るというのがSTPですね。突き詰めると、「顧客ニーズの理解」というところに収斂されます。顧客のニーズを理解し、それに対応した製品やサービスを提供することが成功への近道であると考えられています。
シャープのマーケティング理論
一方で、シャープ氏の理論はその逆を行きます。とにかく広範囲に露出してさまざまな顧客にリーチすることの重要性を説いています。そのためにメンタル面・フィジカル面でのアベイラビリティ(可用性)が重要なのだと。
あらゆる場面で顧客に想起され、想起したタイミングで購入できる配荷を実現することが成功への近道であるとしています。
それを裏付けるのが、「ダブルジョパディの法則」です。簡単に説明すると、市場シェアが少ないと顧客数が少ないだけでなく、ブランドへの忠誠心(ロイヤルティ)も低い傾向にある。というものです。
裏を返すと、市場シェアを上げることがブランドロイヤルティを高め離反を防ぐ効果がある。というわけですね。だからこそ、広範囲にリーチして市場シェアを獲得すべきという結論に至るわけです。
両理論の違い
それぞれが尤もらしいことを言っているよう感じますよね。
両理論の大きな違いはその視点(焦点)がどこにあるかだと思います。
コトラーはセグメンテーションやターゲティングによるニーズの個別化を重視しています(ミクロ的)。一方でシャープは市場全体にどれだけリーチできるかを重要視しています(マクロ的)。
それが転じて、コトラーはそれぞれのニーズに最適化してブランドへのロイヤルティを高めようとしますが、シャープはブランドへのアベイラビリティを高めようとしますね。
場面ごとの使い分け
どちらも尤もらしいということが分かりました。では、どうやって使い分けるのが良いのでしょうか。市場環境と経営資源という2つの視点で考えてみました。
市場環境による使い分け
パリティ化(類似化)・コモディティ化(一般化)
市場は成熟化すると、ブランド間の知覚品質(消費者が感じる品質)に差異があまりなくなってきます。そうなってくると、ブランドの差別化は難しくなりますよね。そんな時に有用なのが、メンタル・アベイラビリティ(想起性)とフィジカル・アベイラビリティ(配荷率)高めることです。想起されやすく、買い求めやすいという状況を作ることができれば、市場競争で優位をとることができます。そのために必要なのが、シャープが重要性を説く「広範囲な露出」です。
類似製品が多い市場では、消費者がブランドを認知し、覚えていることが購買決定に大きく影響します。
ニーズの多様化
現代では消費者ニーズが多様化していると言われていますよね。一つの市場を見てもさまざまなニーズが混在しています。そんな時に有効なのがセグメンテーションです。市場をニーズごとに切り分け、異なる顧客セグメントに対してカスタマイズされた製品やサービスを提供することで、個々の顧客のニーズにより密接に対応できます。
経営資源による使い分け
経営資源の限られる中小企業
中小企業では予算や人的リソースが大企業に比べて制限されることが多いですよね。そこで、ターゲティングによって対象市場を絞ることで効果的な資源配分ができるようになります。
そういう点ではコトラーの理論に沿った方が現実的な戦術を立てることができるかもしれませんね。
比較的リソースの多い大企業
大企業は中小企業と比較して、より広範囲な市場リーチとブランドの露出を実現するための資源を持っていることが多いですよね。そこで、シャープの理論に沿って、多くの消費者に対してブランドを覚えてもらい、簡単に入手可能にすることを目指すのが良いと思われます。
シャープによると市場シェアが大きほどブランドへの忠誠心も高くなるので、市場シェアの最大化が目指すところになりますね。
コトラーの理論は、顧客のニーズが異なる、あるいは特定の市場セグメントに焦点を当てたい場合に適しています。一方、シャープの理論は、広い顧客基盤にリーチし、ブランドの存在感を高めたい場合に有効です。
企業の戦略的目標と資源に基づいて、どちらの理論を採用するか、あるいは補完的に双方を使うのかという選択が必要になりそうですね。
まとめ
以上、シャープとコトラーのマーケティング理論について解説しました。それぞれの理論の特徴や使い方を学びましたね。
コトラー氏とシャープ氏の思想の違いから対立構造で語られることが多いですが、どちらの理論も補完的に利用していくのが最善手なのかもしれませんよね。戦略的ターゲットはしっかりとSTPを用いて定める一方で市場シェアを拡大するためにアベイラビリティも高めていく。とか。そのためにも、もっと両者の理論を深く学んでみたいなと思います。
あとがき
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
改めて、今年もどうぞよろしくお願いします。
この記事が88週目の投稿になるんですが、新年一発目、末広がりな数字で縁起が良いですね。笑
目標にしていた100週連続投稿がそこまで見えてきています。とりあえず、そこまでは休まずに頑張ってみますので、応援いただければありがたいです。
そして、新年一発目も提供いただいたテーマで書いています。今年もリクエストお待ちしておりますよ〜。
あと、年を跨いだので、見出し画像のテイストを変えてみました。
毎回、イラスト探してデザイン変えるのめんどくさくなってきたので(笑)、今年はこの見出し画像使いまわしていきますよー!
それでは、また来週お会いしましょう。