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パーミッション・マーケティング 現代的なマーケティング手法

今週もウェブ解析士のnoteをご覧いただきありがとうございます。
最近は「〇〇マーケティング」って言葉をよく聞くようになりましたよね。その中でも近年よく活用されているもののひとつが「パーミッション・マーケティング」ではないでしょうか。
ということで、今週はパーミッション・マーケティングについて書いてみようと思います。

パーミッション・マーケティングとは

パーミッション・マーケティングは、元Yahoo!の副社長:Seth Godin氏によって提唱されたものと言われています。パーミッション(permission)は「同意」や「許可」といった意味で使われます。
つまり、潜在顧客から「許可」を得た上で情報提供を行うというのがパーミッション・マーケティングの肝になります。

なぜ”許可”なのか

Godin氏曰く「現代は関心をひこうとするものが多すぎて、人々が関心を向けることに使える時間はどんどん乏しくなってきている」そうです。
所謂、「可処分時間」という考え方ですね。Netflixの前CEO:Reed Hastings氏が任期中に「我々の最大のライバルは睡眠だ」と語るほどです。
そんな中で、現代人は1日に3,000〜5,000もの広告に接触すると言われています。その中で意識的に気づいている広告はたった80。さらに何かしらの反応を示すものは12程度しかないと言われています。
可処分時間が短くなっている上に大量の情報を浴びている現代人に対して、興味のない情報を提供すると、「ジャマなもの」としか認識されず、なんの効果も得られません。そこで、事前に消費者から「許可」を得ることで、自社発信の情報を「意識的に気づいてもらう」という考え方が根本にあるようです。
Godin氏の言葉を借りると「潜在的な顧客に何かを買ってもらいたいなら、テレビCMや電話、DMなどで消費者の生活を邪魔するのではなく、消費者から売買のプロセスに参加しても良いという同意を得るべきだ。」とのことです。

パーミッション・マーケティングの要素

パーミッション・マーケティングには3つの要素があると言われています。
第一に「期待されている」こと。消費者がその企業からの情報を楽しみにしているという状態を作ることが大事だとしています。
二つ目は「パーソナルである」こと。消費者ひとりひとりに合わせて情報を最適化した上で提供することが大事だとしています。
そして三つ目が「適切である」こと。消費者が関心を持っているものを提案することが大事だとしています。

まぁ、「情報が欲しい」と期待されないことには情報提供の同意は取れないわけですから、パーミッション・マーケティングの肝はなんと言っても一つ目でしょう。以降の2つは「ワン・トゥ・ワン・マーケティング」という手法に似ていますね。となると、留意点もワン・トゥ・ワン・マーケティングと近しいのかなと「中の人」は考えています。
ワン・トゥ・ワン・マーケティングの留意点とは、「投資金額が回収金額を上回る可能性があるため全ての企業に向いているわけではない」という点です。逆に向いている企業は「多くの顧客情報を持ち、クロスセルでき、定期的な更新が必要な商材で、高価値の製品を販売する企業」だそうです。筆頭は自動車産業でしょうね。

パーミッション・マーケティングのステップ

話が逸れてしまったので、パーミッション・マーケティングに話題を戻します。パーミッション・マーケティングでは以下の5つのステップを辿るそうです。

①潜在顧客が自らその気を起こすようなインセンティブを用意する
②潜在顧客が向けてくれた関心を利用し、時間をかけて自社製品やサービスについて説明する
③インセンティブを強化し、潜在顧客がパーミッションを与え続けるようにする
④追加のインセンティブを提供し、消費者からさらにパーミッションを得る
⑤時間をかけてパーミッションを活用し、消費者の行動を変化させて利益を生み出す

平野敦士カール『大学4年間のマーケティング見るだけノート』宝島社

ここで重要になってくるのがCRM(顧客関係管理:Customer Relationship Management)ですね。上記の5つのステップを通して、顧客との関係を築いていくことがパーミッション・マーケティングな訳ですから、CRMを無視するわけにはいきません。CRMとは

個々の顧客についての詳細情報を管理し、顧客ロイヤルティを最大化するために全ての顧客の「タッチポイント」を入念に管理する過程のことである。

『コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント第12版』

パーミッション・マーケティングではそれぞれのタッチポイントごとで情報を提供しても良いというパーミッションを取得します。そのためにインセンティブを用意するというのがオーソドックスな手法というわけですね。
この手法が活用されている代表的な例でいえば、ホワイトペーパーですね。「〇〇について詳細な情報をあげるから、弊社からの情報も受け取ってね」というやりとりをよく目にしますよね。

メリット・デメリット

パーミッション・マーケティングの最たる特徴=メリットは「印象を悪くしない」ことにあります。先にも触れましたが、現代の消費者はたくさんの情報に触れいています。その中で関心のない情報は「ジャマ」だと思われ、消費者に不快感を与えてしまいます。それに対して、パーミッション・マーケティングでは事前に情報提供に関する許可を得るわけですから、不必要に印象を下げることはありません。これが大きなメリットと言えるわけです。
それから派生して、例えばオプトイン形式でのメールマーケティング展開時の開封率が高くなったりといった、消費者からのレスポンスの高さなどが享受できるメリットとして挙げられます。
一方で、デメリットとしては爆発力がないことが挙げられます。何より難関になるのは、最初のパーミッションを得るところにあります。すなわち、即効性のある施策ではありません。加えて言うなれば、提供する情報などが消費者の関心を外れるなど効果的なパーミッション・マーケティングが実施できない場合費用対効果が低くなってしまいます。ワン・トゥ・ワン・マーケティング同様に投資金額が回収金額を上回ってしまうことがあるので注意が必要です。

まとめ

パーミッション・マーケティングでは事前に情報提供に関する許可を得て情報を展開していくので、提供先からのレスポンスの高さなどから効果を発揮すれば大きな成果を得ることができます。その実現のためには消費者に期待され、パーソナルな情報最適化をおこなった上で、関心を引くように適切な情報展開が求められます
先に許可を得ることで不用意に悪印象を与えることを避けることができる一方で、爆発力がないために投資金額の回収が困難になるケースがあることに留意しなければなりません。

あとがき

今週も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
パーミッション・マーケティングについて書いてきましたが、どこまで枝葉を盛り込むか非常に難しいところですね。CRMやワン・トゥ・ワン・マーケティングなど周辺知識だけでも重要なテーマが盛りだくさんです。
パーミッション・マーケティングはCRMやMA(マーケティング・オートメーション)などのツールを導入する際には理解しておきたい考え方です。
ステップメールや、属性・フェーズに応じた情報の出しわけなどMA導入のメリットを最大限享受するためにも必要な考え方ですね。それだけでなく、メルマガやホワイトペーパーなどを効果的に活用するためにも知っていて損はないと思います。
潜在顧客は、顕在化した顧客よりも母数が多いものです。母数の多い潜在顧客へのアプローチを考える際に役立てたいですね。
それではまた来週お会いしましょう。

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