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プロダクトU&Eから考える、認知の重要性

今週もウェブ解析士のnoteをご覧いただきありがとうございます。
前回の更新から、ちょっと間が空いてしまいました。
今回は「プロダクトU&E」という、古典的な売上分析のフレームワークについて触れてみようと思います。


その商品知ってもらえてますか?

お仕事でさまざまなビジネスに触れて、最初の相談のタイミングでいつも引っ掛かることがあるんです。それは、皆さん必ず「どんなに素晴らしいかを理解してもらう」ことばかり考えているという点です。ウェブサイトを作るにしても、「これだけ魅力を発信すれば売れるだろ」と思い込んでいることに危うさを感じます。
「そもそも、その商品の存在を知ってもらえてますか?」という点がすっぽり抜けてしまっているんですよね。「自分が知っているから、みんな知っている」という謎理論は知らぬ間に陥っているものなので注意が必要です。
今回ご紹介するU&Eも、起点は「知ってもらう」ことです。

プロダクトU&E

U&EはUsage & Establishmentを略したもので、日本語にすると「使用実態と確立」になるでしょうか。
U&Eは、以前の記事で紹介しているDAGMER理論を消費者を軸にして数値化するためのフレームワークと言われています。
プロダクトU&EもDAGMER理論と同様に5つのステップがあります。

知名

当然ですが、消費者にとって「知らない」ことは「存在しない」ことと同義です。さらに、初めて目にする商品に対しては「怪しいな」とか「性能が低いんじゃないかな」とか損失を回避するために思考が働きます。一方で、名前を知っているだけでも「友達がこの前言っていたやつだ」とか「テレビでよく見るし、売り場でもよく置いてある定番のやつだ」とかマイナスの感情はあまり抱きません。そのため、トライアル購入へのハードルが下がるものです。
ブランドカテゴライゼーションで言えば、知名集合に入っている状態を指します。

理解

商品名だけでなく、どんな商品かを理解している状態です。ブランドカテゴライゼーションでは処理集合に入っている状態ですね。
ここでの消費者による理解は正誤を問いません。たとえ誤って理解していたとしても、消費者がそう理解しているのであれば理解されていると捉えます。
ただし、ここで誤った理解がなされると、この後のステップで離反につながっていきます。

好意/購入意向

プレファレンスが高い状態を指します。ブランドカテゴライゼーションにおいては想起集合に入れるかどうかを左右するフェーズですね。
好意や購入意向は一つ前の「理解」の影響を大きく受けます。たとえば、掃除機を選ぼうとして「ダイソン」が候補にあるとします。理解のフェーズで「価格が高い」とだけ理解していれば購入意向は低くなりますが、「吸引力が強い」とか「デザイン性が良い」と理解していれば、好意的に捉えられて購入意向は高まっていきますよね。

トライアル

購入意向が高まれば、自ずと試したくなるものです。日用品などでは「試し買い」が該当しますし、高額商品では「使ってみた・体験してみた」が該当します。たとえば、友人のiPhone16Proのカメラを使わせてもらったとか、車の試乗をしてみたとか、住宅展示場に足を運んでみたなどがそれにあたります。

レギュラー

定着の段階ですね。トライアルしてみて、よければ継続して購入(高額商品であれば購入)しますし、トライアルの段階で「理解」と異なる体験をしたり、あまり印象に残らないもしくは悪い印象が残れば離反していきます。

知ってもらうためには

さて、U&Eにしろブランドカテゴライゼーションにしろ「知ってもらうこと」がスタート地点です。知ってもらわないことには、理解してもらうことも好意的にみてもらうこともできません。すなわち、購入には結びつかないわけですね。
さて、ここで最初にお伝えした「違和感」に戻ります。私たちウェブ解析士はその名前の通りウェブサイトを通じた購入促進に貢献しているわけですが、果たしてウェブサイトを充実させることは知名度を向上することに寄与するのでしょうか。いや、しないだろうと思います。
ウェブサイト、特に自社サイトであれば動画・画像・テキストなどを自由に掲載でき、説明に説明を重ねることが可能です。すなわち、ウェブサイトは理解促進に貢献する媒体なのです。理解してもらい、好意度を高めることはできても、ウェブサイト単体で「知ってもらう」ことは難しいです。それにもかかわらず「これだけ(ウェブサイトで)魅力を発信すれば売れるだろ」と思い込んでしまうことが多いのです。ウェブサイトは「理解を促進する媒体」という役割を理解して活用していくことが求められます。

知ってもらうことに貢献する媒体

最も知名度に貢献する媒体はテレビ広告と言われています。ウーバーイーツに対抗する出前館や、キャッシュレスの覇権を目指すPayPayなどがテレビCMに投資していることからもその期待値が伺えますね。マス広告がネット広告に(投資額が)抜かれたなどという話題を見ることも増えましたが、その影響力は健在です。
また、飲食店のように対象顧客人数や商圏が限られているようなビジネスでは、ポスティングチラシ、ティッシュやパンフレットの配布なども有効です。
キャパシティの小さいビジネスではSNSも有効活用できます。キャパシティの小さいビジネスでは知ってもらう必要のある最低数も自ずと低くなります。例えば、1日50人来店する小さな居酒屋では、SNSで知ってもらった人が50人増えるだけで売り上げは倍近くに伸びそうですよね。

まとめ

以上、プロダクトU&Eに触れ「知ってもらうこと」の重要性ついてお伝えしました。商品の知名度は購入へのハードルを下げるためとても重要です。我々ウェブ解析士が普段触れているウェブサイトは理解促進に貢献する媒体であり、知ってもらうことに貢献する媒体ではありません。
購入に繋げるためには、ウェブサイトに来てもらうための仕掛け、すなわち知ってもらうための施策が必要になります。
知ってもらうにはテレビ広告やポスティングチラシなどのマス媒体が有効です。SNSやティッシュ配りなども限定的条件下では効果を発揮します。
今一度、「その商品は知ってもらえているか」と問い直してみましょう。

あとがき

今週も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
少し更新の間が空いてしまいました。珍しいことに「中の人」はここ最近少し忙しくさせてもらっています。新規のご相談を受けていて、なぜかみなさん理解度や好意度を上げるための話ばかりしていることに違和感を覚えました。素晴らしい商材をお持ちで、魅力発信に力を入れたい気持ちは理解しますが、知ってもらわないことには始まらないのになぁ…というモヤモヤが今回の記事を書いたきっかけです。
この記事を読まれた方は、一度振り返って、自分の施策はどのフェーズに影響を与えるものなのかを考えてみることをお勧めします。
それでは、またお会いしましょう。

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