世界の七不思議インスト準備で気がついたこと
世界の七不思議は、カードドラフトというゲームシステムを定着化させたボードゲームです。第1版は2010年、第2版は2020年に発売しています。
2011年にドイツ年間ゲーム大賞エキスパート部門を受賞していますが、そんなにルールもプレイ時間も重くないので重宝しています。またドミニオンでデッキ構築の面白さを伝えるように、世界の七不思議でカードドラフトの面白さを伝えたいというときに適しています。
先日、遊んだことのないメンバーに対してインストするため日本語版ルールブックを見返していたところ、理解できない日本語がありました。それが「隣国の都市から資源を購入する」という項目です。
1. 分かりにくい箇所
このゲームでは自分の手札にあるカードを使いたいが、自身で生み出せる資源では足りないときに隣国(両隣のプレイヤー)が必要な資源を産出できれば、お金でその資源を購入することができます。
この日本語訳が以下の通りです。
肝心の太文字で強調している箇所が非常にわかりにくい日本語です。なお、太字の前に句読点がないのも原文のままです。(改行はしています)
2. 解決策
YouTubeを見る、BGAで遊んでみてどういう動きか確認するなどがありますが、ルールの原文を見るのが手っ取り早いです。
強調している箇所が異なるところに驚きますが、問題点が2点あるのでそれぞれ解説します。
2-1. 問題点(1)
日本語訳は以下のように書かれていますが、これが何のために太文字で強調されているのか前後関係を把握せずに直訳している印象があります。
「このプレイヤーは自分のカードは保持し、今購入した資源を使用することができます。」
「このプレイヤー」は原文ですと「owner of resource」ですから資源の提供側を指しています。なぜここに資源の提供側のことが強調されているかというと、このゲームでは資源の提供側は隣国からの資源購入を断ることができないというルールがあるからです。もしこのルールを明記しないと資源を使わせないために資源を購入するというプレイングが起こるので太文字で強調していると思います。
よって意訳すると以下のようになります。
「資源を提供したプレイヤーは資源を提供するだけで、カード自体を取られることはありません。またこのターンに自身が購入するカードの資源として使うことができます」
2-2. 問題点(2)
強調箇所が原文より増えているのが気になる箇所です。
「それぞれの資源シンボルは、同一プレイヤーによって1ターンにつき1回しか購入されません。同一のプレイヤーから購入できる資源は、ターンごとに資源のシンボル1つにつき1つだけです。」
下の原文を見ますと、ようは「資源を隣国から購入するときに提供側が持っている資源シンボル数より多く購入できません」というだけです。
Each resource symbol can only be bought once per turn by the same player.
改めて日本語訳を見ますと「それぞれの資源シンボルは、同一プレイヤーによって1ターンにつき1回しか購入されません。」と「同一のプレイヤーから購入できる資源は、ターンごとに資源のシンボル1つにつき1つだけです。」は似たようなことを言葉を使っていますが、意味は後者が正しいです。
つまり翻訳修正前と修正後を掲載した誤植だと思います。
YouTubeの一部ではこの記述に混乱して、隣国から購入できる資源は1つだけと解説しているチャンネルがありました。これは「同一プレイヤーによって1ターンにつき1回しか購入されません。」の太文字に引きずられたと想像します。
発売元にもよりますが、少しでも日本語がおかしいと思いましたら、その部分だけでも原文で確認するのが良いと思います。最近はDeeplのように非常に精度の高い自動翻訳もあるのでそんなに苦労しないと思います。