バンドに憧れ続けるわたしの話
中学一年生の冬休み,貰ったお年玉と引き換えにフェルナンデスのストラトキャスターを買った.アンプやお手入れセットなどもろもろ付いて2万円くらいの初めてに相応しいギターを買った.
中学生のわたしは"バンド"は男の人がやる音楽だという先入観があった.当時わたしが知っていたバンドのほとんどは男性で構成されていたからだ.
そんな時に出会ったのがSCANDALである.
制服を着て長い髪を振り乱しながら楽器を演奏している彼女たちを見てそれはもう衝撃を受けたのを覚えている.かっこいい!!!わたしもこうなりたい!!!とSCANDALを知ったその瞬間に思った.そして間も無くギターを手に入れた.
家でギターを一人で弾いていてすぐに
「バンドを組みたい」
という思いが当然のように生まれた.
しかし中学時代にバンド活動をするという願いが叶うことはなかった.吹奏楽部に所属していたこともあり,バンドに興味を持ってくれる友達には出会えるものの,それなりに厳しい部活動と高校受験などが重なりメンバーだけが集まって活動するまでには至らなかった.
バンドを組みたい!!バンド!バンド!バンド!ともはやバンドを組むことを目的にでもするかのように高校に期待を抱く.当時はmixiが流行っていたのでまずはそれを駆使して同志とのコネクションを作ることを試みた.mixiから得られた功績はバンドを組んでる先輩と出会えたことくらいだった.自身の出るライブに誘ってくれたり,エフェクターを譲ってくれたりしたが気づいたら退学していた.バンドは...というとメンバーが集まりバンド名が決まりどの曲をコピーするか,までは行けた.結局活動することは高校時代もなかった.それでもバンドメンバーの友達とイヤフォンを共有しながらオープンキャンパスに向かうバスの中でバンプの天体観測を聴いたのは良い思い出である.
高校生のわたしは閃光ライオットに心底憧れていた.同世代の人たちがかっこいい音楽を堂々と披露している姿がとても羨ましかった.
ちなみにこの間に一目惚れしたフェンダーのテレキャスターを買った.
高校時代でもバンドの夢を叶えられなかったわたしは大学では絶対に軽音サークルに入ると心に誓った.
浪人を経て,憧れのキャンパスライフ!!それ以上にバンド!バンド!バンド!ともはやバンドを組むことを目的とするかのように大学へ期待を抱く.わたしの大学は複数軽音団体があったが,その中でも一番正統派な飲みサーっぽくないところを選んだ.
そしてついに念願叶ってバンドを組んだのだ!!
はじめてバンドとしてコピーしたのはGreen DayのAmerican idiot.なんとギターボーカルを務めた.それはまあめちゃくちゃな英語でギターソロも見事に失敗するが優しい先輩たちはむしろ褒めてくれた.たしかにわたしはバンドを組んだことは大学がはじめてだが,ギター自体は中学生から触ってきているのでそれなりにアドバンテージがあったのかもしれない.
しかし,サークルでの活動を続けていくうちにわたしは気づいてしまう.
「あれ...? わたしめっちゃ下手じゃない..??」
正統派なところを選んだこともあったからなのか,やたらとサークルのメンバーたちのレベルが高いのだ.それこそ大学から楽器始めました!な人がほぼいない.もはやプロなのでは?という人たちがザラにいるのだ.すっかり自分の演奏技術に自信をなくし,今後上回生としてサークルに所属することに不安しかなくなり2年で辞めてしまう.
思い描いていたようにはいかなかったが,それでもバンドで演奏することの楽しさを知れたのは確かだった.
そして現在,バンド活動は何もしていない.就職活動をぼちぼち始めているのだが,社内サークルが盛んなところに目が行ってしまっている.バンドに懲りたかと思いきやまたもバンドに憧れを持ち始めているのであった.
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