【No.1352】費用対効果ってなあに。
営業については『無敗営業』が僕のバイブルです。青い表紙の『無敗営業』は個人の営業スキル向上のために、赤い表紙の『無敗営業』は組織の営業システムづくりのために、事あるごとに参照しています。
この本では「高いので」「予算オーバーなので」という断り文句を、言葉通り予算がないからではなく、「費用対効果を感じることができなかった」という理由で考えてみようと提案されています。
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学習塾の営業マンとして保護者さんと接していると、家計的に本当に払えないという意味での予算オーバーもあるように思います。しかし、家計的に余裕がある場合でも「高いので」と断られることがあります。
この場合、「費用対効果」が理由だとするなら、当塾の授業料の額と保護者さんが期待する成績向上の幅が見合っていないと判断されたということです。つまり、当塾が提案した内容では、その成績向上が達成できないかもしれないと考えられたのです。そして、保護者さんは、まずは競合の少し安い塾で試してみよう、または違います塾はやめて生徒自身に頑張らせようという判断に至ったと考えられます。
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最近、興味深いエピソードがありました。ある新規のお客さんとの商談で、受注が決まりませんでした。その理由は「価格が高い」というものでした。ここで僕が感じたのは、実際には予算がなかったわけではなく、費用対効果をうまく伝えられなかったことにあるのではないかということです。
この話を同僚にしたところ、彼はこう言いました。
「費用対効果を感じさせるのは難しい。学習塾に通ったからといって必ずしも成績が上がるわけではないし、たとえ成績が上がったとしても、本当に塾のおかげで上がったかどうかは分かりづらい。」
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ここで気づいたのは、僕たちが「費用対効果」という言葉を異なる文脈で使っていたことです。
費用対効果には2種類あるようです。僕は事前の費用対効果、つまりお客さんが塾に通う前に感じる期待値について話していました。一方、同僚は事後の費用対効果、つまり塾に通った後の実際の成果について話していたのです。この食い違いが、違和感につながっていました。
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費用対効果には「事前」と「事後」の2種類があるとするなら、
事前に感じる費用対効果は、期待値の評価であり、サービスや商品を利用する前に、期待される成果や利益を基にして費用対効果を判断されます。
自分の悩みをそれで解決できそうだと感じてもらえるかどうか。そして、その悩みが緊急かつ重要で、今その値段を支払うことで未来の損失や不利益を避けられると感じてもらえるかどうかです。
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一方で、事後に感じる費用対効果とは、実績や満足度になります。
サービスや商品を利用した後、実際の成果や利益が期待を上回ったかどうか、費用に見合った成果が得られたかどうかです。事後の費用対効果が高ければ、顧客満足度が向上し、リピートや契約継続、知り合いへの口コミにつながることもあります。
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費用対効果を事前と事後の二つに分けて考えることは、より効果的なマーケティングや顧客対応の戦略を立てる上で重要そうです。
事前の費用対効果は、言い換えれば、「期待値」であり、事後の費用対効果は「満足度」です。
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僕は今、学習塾で営業マンとして働きつつ、営業システムの構築に興味津々です。社内で誰でも高い受注率を出せるシステムがあれば、めっちゃいいですよね。
そのためにいろいろ社内で動き、対話をしていますが、今回の「費用対効果」の定義の違いも非常に興味深いです。
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例えばマニュアルに「費用対効果を感じさせろ」と書いたとして、それを読んだ人は異なった解釈をする可能性があります。
もし、事後の費用対効果の定義を持っている人が読んだら、「費用対効果を感じさせろと言われたって、入塾してもらえない限り費用対効果を感じさせられない」と思うかもしれません。
そう思ったことをフィードバックしてくれれば、こちらも定義の違いを指摘できるでしょう。
しかし、もしフィードバックしてもらえない場合は…。「費用対効果を感じさせろと言われたって、入塾してもらえない限り費用対効果を感じさせられない」という不満を持ったまま諦めてしまうかもしれません。
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言葉の定義の違い。
気をつけても、すべてを事前に予防しきることは難しいかもしれません。しかし、言葉の定義の違いによって解釈が異なり、営業システムがうまく回らなくなる可能性があります。このような定義の違いが思考停止や行動停止につながっているかもしれないと意識するだけで、今後の活動に変化が生まれるだろうと思います。
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ということで、今日も1日「優柔不断は誤った決定よりなお悪い」「あらかじめ○○していたら、あとで楽になる」という言葉を胸に、結果の有無に関わらず、頑張っていきましょう!
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