【642】文章問題が苦手な子には、わり算ができるか確認をしよう

昨日は、算数の文章問題が苦手な理由は
数字と自分の体験がつながっていないから。
文章問題を鍛えるためには、日ごろから
数字を使っていきましょうと書きました。

今日も続けます。

*

文章問題において、わり算と割合は
別格の難しさがあります。

算数が苦手な子は、わり算が苦手。
なんとなく筆算は解ける。けど遅い。
という子が多いです。こういう場合、
「割り算とは」がわかっていません。

*

わり算って、なんで難しいんでしょう。

そもそも、分かりづらいんだと思います。

たし算とかけ算は、前の数字と後ろの数字
入れ替えても同じ答えになります。
2+4と4+2は、同じ答えです。

ひき算とわり算は、数字を入れ替えると
別の答えになりますね。

引き算は、普段の生活で経験し、自然と、
数字が自分の体感と結びつくのかもですが、
わり算は、結びつきづらいようです。

たし算とひき算は、目で見やすいですが、
かけ算とわり算て、数が大きくなるほど
目で見て確認することが難しくなるから
だと思います。

しかも、わり算のひっ算!

72÷8の場合、

ひっ算では、8が左側に来ますね。

上記の通り、わり算は数字の順番が大切
なのに、ひっ算のときは
ひっくり返さないといけない。

やることや意識すべきことが増えると
人間は混乱するのです。

文章問題のわり算は、
文章を読んで理解し、
式で、左に書く数字をどちらにするか
(上記の例なら72)を決めて、

ひっ算で計算するときには、
式では右にある数字(上記の例の8)を、
左にもってくる必要があります。

文字で読まされている あなたも
混乱してきていますよね?(笑)
これが子供たちの状態です。

大人なら、図やひっ算を書けば
(つまりボクが画像を入れればw)
理解できるのでしょうが、
算数が苦手な子は、書かれていても
分からないものは分からない。

そんな状態では、当然、

文章を読んで、
式を立てて、
ひっ算する、という3工程

大人からすれば、たったの3工程の間に
自分がなにをしているのか迷子に
なってしまいます。

*

わり算は、言葉の通り「割る」こと、
つまり、分けるときに使います。

しかし、適当に分ければいいのではなく
・1つ1つを同じ数で、
・分けられるところまで分ける
この2つの条件が割り算を難しくします。

おみやげでもらった20個のチョコを
3人家族で分けるとき、
・1人1人を同じ数にするなら、
 1人6個にしないといけない。
・分けられるところまで分けるためには
 1人3個ずつでは、余りすぎる。

現実では、20個のチョコそのものが
目の前にあるから、一つずつ分けていけば
いいけれど、文章問題と式となると、
昨日の文に書いたとおり、数字や式が
自分の体験や想像を超えてしまって、
わけが分からなくなってしまいます。

*

もっと言えば、わり算は、
「1あたりの数」という分け方も
理解する必要があります。

上記の例なら、2個ずつあたり何個?
という分け方ですね。
これが「割合」という単元で
重要な考え方です。

*

もう1度、最初からまとめると

・わり算は、数字の順番が大切。
① ÷ ②=③

・なのに、ひっ算では逆に書く。
②が左で、①を右に書く。

・わり算は2種類できる。
① ÷ ②=③ 
① ÷ ③=②

さあ、文字で書かれていると
大人でもわけが分からなくなります。

もっと言えば、授業では
①②③が、変な言葉で説明されます。

全体の数、割る数、割られる数。

大人にも なじみのない言葉です。
子供たちが混乱するのも当然。

*

さらに、さらに、

わり算は、余りやら、小数やらもあって
割り切るとき、割り切らないときがある。

割り切るときや あまりを出すときは、
目で見えるので想像しやすいですが、
小数は、目で見えづらいので、
日ごろの生活で経験もしづらい。

頭のなかだけで、経験のないことを想像、
処理するには、小学生の力では、
心もとないことがあります。

大人でも頭のなかだけで処理するには
限界がありますよね。

*

こう考えると、ボクが おととい書いた
「算数が苦手なときは、教科書の
単元どおりにさかのぼっていくのが
有効だ」という意味が、
さらにわかりやすくなると思います。

割合が分からないなら、わり算。
わり算のなかでも小数はわかるか?
小数が分からないなら、余りの
わり算はできるのか?
わり算のひっ算もできないなら、
おそらく、九九が苦手。

と、さかのぼっていくのがいいです。

*

以上、昨日と今日で、文章問題が
苦手な子にありうる理由を書きました。

まとめると、以下の通りです。

■■今日の教訓(ポイント)■■

まず、文章問題が苦手な子は
数字とその数字が現実のどんな内容と
つながっているのか想像できていない。

だから、日ごろから数字に触れることが
国語の読解力の授業を受けるより
いっそう重要になるのではないか。

※国語は国語として重要ですが、
 算数の文章問題対策とは別モノ
 と考えたいという意味です。

また、文章問題のなかでも、わり算を使う
問題には別格の難しさがある。
割合も、速さも、分数も、
文章問題の前に、それぞれの計算を
ちゃんとできるか?
もし、できない、もしくは極端に遅いなら、
わり算が理解できているかを確認する。

わり算が遅い場合、
小数、あまりのあるわり算、九九など
分解して、確認する必要がある。
このとき、教科書の単元(目次)どおりに
さかのぼっていくのがよい。
(わり算より前に習う単元は、
わり算の理解を助ける単元が多い)

■■以上■■

ただ、抽象的なことが多かった反省と、
ボク自身が楽しくなってきたので、
次からはもっと具体的な対策を
書いてみたいなと思い出しています。

毎日、その日に書いた しぼりたての
フレッシュな文章を投稿していますし、
そもそもボクは国語の先生なので、
いつまで続くか約束はできませんが
もしよろしければ、ご覧ください。

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