最高の夏、最低の夏

この夏は最高でした。

・子供が運動会の障害物競走で一位を獲った。
・水族館に行って、子供が大好きなしんちゃんの着ぐるみと写真を撮れた。夏休みの思い出の絵を描く宿題で僕と見たイルカショーを描いてくれた。
・子供と動物園に行って色々動物の知識を身につけていろんな人に嬉しそうに話していた。
・子供と大学野球を観戦した。子供が野球に興味を持ってくれた。
・お笑いライブやラジオに呼んでもらえた。
・M-1グランプリに参加できて、去年よりもお客様から反応を頂けた。
・高速ぷりんや偽ビートルズ、よく一緒にライブに出てる仲間が2回戦進出した。



この夏は最悪でした。(本当に最悪なので気分が沈んでる方とかは読まない方がいいです)

・記録的に暑い。
・今更になって新型コロナウイルスに感染。
・祖母が逝去(28歳にして初めて二親等以内を失くす)。
・祖母の葬式中、高校時代仲の良かった友達2人から、1人は離婚してシングルマザーになった、もう1人は婚約破棄されたと連絡が来た。
・保険の更改で回った先で旦那さんが亡くなった話とか、病気なった話とか聞いたり、同じ会社の人が神経系の病気で急に退職したりした。
・会社の経営状況が悪化。
マジで今月給料いくらかわかりません。
・妻と離婚寸前までの大げんか。
・M-1一回戦敗退。
僕の人生の夢であり希望であるM-1。今年も2分で終了。

・8月22日
大学の同期が亡くなったと連絡が来た。
妻と子供とサイゼ行ってご飯食べてる時に一個上の先輩から珍しくLINE「落ち着いて連絡できる時に電話欲しい。○○のことで大事な話があるから」。文面からただごとじゃないし、まさか、なんとなくそんな気がして、いやでもそんなわけないだろとも思って、ハッキリさせたくてすぐに一人で店出て電話して、そしたらやっぱりそうで、死因を聞いたら、病気でも事故でもないと。ご両親から連絡が来て、彼の同期に順番に連絡してると。
葬儀は身内で終わらせて、東京の彼の実家でお別れ会がある、ということも聞いたが、祖母の四十九日法要で東京には行けない。なんで重なるんだ。

彼とは落研で出会った。学年は一緒だが一浪していて彼の方が年上だった。僕らの代の主将を務めてもらった。ネタを作る時、サークル内のネタ見せで彼が笑っていれば人前でやってもいいことやれてるなという指標にもさせてもらっていた。卒業旅行でタイにも行った。彼が飛行機の乗り換えから宿、買い物まで全部仕切ってくれた。器用なやつだった。単位落としまくってるのに成績表偽造して親に見せてたり、しょっちゅうカード会社から電話が来ててもヘラヘラしてた。競馬に行ったら最終レースを見事に的中させて負けまくりの僕らにコンビニで色々買ってくれたり、お上りさんの僕には東京生まれ東京育ちの彼は余計に眩しく、兄貴的な存在でもあった。

去年の暮れに彼女さんと北海道に旅行に来ていた。
僕が2人をすすきのから宿泊先のホテルまで車で送ってあげた。
僕が彼女さんに「もう手とか繋いだんですか?」と中学生みたいな質問をするというボケをしたら笑ってくれていた。

最後に会ったのは4月、別の同期の結婚式。
落研だけの二次会で「もうすぐ俺も結婚する」と彼は言っていた。
最近そのことをふと思い出し、そろそろ結婚式の案内が来る頃かもな、なんて思っていた。

お笑いが好きなやつだった。
向上委員会とかは始まってすぐ彼から教えてもらって、「これは見なきゃいけない気がして見てる」と彼が言っていたから、今もなるべく見てる。
僕より早くからM-1グランプリに出ていて、「どっちが先に2回戦行くかなぁ」なんて笑っていた。
ごめんな、俺今年もダメだった。
上で見ててくれてたのに、楽しみにしてただろ、ごめんな。

彼に何があったかはわからないし、もしわかっても何ができていたかはわからない。
金もないし人脈も権力もない、ミジンコみたいな力しかないけど、でも今、お前のために悲しんでるミジンコが大勢いるんだよということは彼に伝えたい。

ずっと誰かを救いたいと思っていたのに。
6歳の時に父親が白血病になって、母親は小さい妹の世話で忙しいから僕はテレビ見るしかなくて、その中で見たお笑いに本当に救われて、お笑いに憧れて、去年やっとお笑い始められたのに。

保険の営業だって、営業は全然楽しくないけど、事故起こしたり、困った人を救うことができるからなんとかやれてるみたいなところあるのに。

無力過ぎる。無念過ぎる。
こんな形で己の無能さを再認識させないでくれよと思う。
こんな形で世の理不尽を突きつけないでくれよと思う。

これを呼んでくださってる方で辛い思いをしてる方がいたら、このミジンコに一回話聞かせてください。
自ら何十年分の人生を放棄する気があるなら、1時間、1日ぐらい延ばしてもいいじゃないですか。


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