【メンバーインタビュー】NESTINGメンバーの、VUILDで働く原点と作りたい未来
テクノロジーの力で誰もが作り手になれる世界を実現する建築系スタートアップVUILDは、このたび事業推進・事業開発を担当するメンバーを迎えるべく、募集を行います。そこで一緒に働くことになる人たちがどんな人で、どんな思いで仕事をしているのかを紹介しようと、メンバーインタビューを行うことにしました。今回は全4回の3回目、CEOの秋吉浩気による、NESTINGメンバーの野田慎治(デジタルファブリケーター)、浦上卓司(施工管理)、西村俊貴(大工)へのインタビューです。
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NESTING事業部の3人の「今」
秋吉 このインタビューはNESTINGの事業開発メンバーを募集するにあたって、どんな人と一緒に働くのかを紹介するつもりで公開する予定だったのだけれど、実は既に最適な人が入社してくれることになりました。でも良い機会だし、別事業部の事業開発メンバーに応募する人が読んでくれたり、今後NESTINGのメンバーを新規募集する際に読んでもらえたりしたらいいなと思うので、計画通りインタビューをしようと思います。まずは自己紹介がてら、今やっている仕事と、その仕事で今まで楽しかったことを教えてください。シンジからお願いしてもいいかな。
野田 僕はファブリケーションチームと、NESTINGセルフビルドチームを兼任しています。モデリングとCAMを書くスピードはVUILDで一番早いと自負するくらい、日々ShopBotとかBiesseなどを動かしてものづくりをしています。たとえば、以前に担当したcamppodというプロジェクトでは、簡単に速く建てることができる工法を開発しました。実際に組み立てはボルト締めるだけででき、少人数で2日間で建てられました。このときは、とても楽しかったですね。
NESTINGチームでは、世の中にない工法をつくりだして各地の工務店さんにお願いするため、ShopBotできちんと木材を加工できないとなりません。でも、きちんと切り出せるかは実際にShopBotを使い倒していないとわかりません。僕は日頃からShopBotを動かしているので、CNC加工機にできるデザインを熟知したうえで、この部分はCNCでは加工できないからこうしようとか、部材配置に関してはこういう部材の組み方ならできると提案するなど、セルフビルドモデルの建築の構造躯体の設計をするという担当をしています。
浦上 施工管理の仕事をしています。NESTINGは基本的に、家を建てる場所の地元の部材を使い、地元の工務店さんが施工を担当します。僕は各地の工務店さんと連携して、VUILDの用意する構造部材の組方、建方の説明書を届けるなど、建方を挟んだ前後2、3ヶ月の進行を主に管理しています。
工法はVUILD独自のものなので、工務店さんも初めて触れるものです。順序を間違えたり、納まりに誤解があったりといった不都合は当然出てきます。また、専門業者さんは渡された図面のみを見て準備をし作業に臨むことが常なので、ルーティンワークで処理できない仕事となると、どうしても監督が必要になります。そういった難所は設計段階から事前チェックしつつ、ディテールの設計変更を含め都度各方面と相談していますが、一方で、現場で初めてわかることもあるので、実際に長期で現場に張り付いて、今後に生かすべく記録をしてノウハウを蓄積する仕事もしています。工務店さんとうまくコミュニケーションをとりながら首尾よく仕事が進められると、とても楽しいですね。
西村 VUILD ARCHITECTSという建築設計のチームを兼務しています。このチームはデジタルファブリケーションを最大限に使うための特殊建築の設計をするところです。NESTINGに関してはすでにSMLサイズ別の住宅モデルはあるのですが、例えばある地域の製材所が特定のサイズの材料を格安で作れると知ったら、その材料だけを使って住宅が作れないか、工法から考えたりしています。
僕自身は4月に入社したばかりなのですが、家具をデザインして野田さんたちのファブリケーションチームとやり取りしながら作り方を考えたり、住宅の工法を開発したりしています。先日、ファブリケーションチームとやりとりしながらデザインした家具が上がってきて、楽しさを実感しているところです。
VUILDに入社することになった原点
秋吉 ここからは、みんながジョインすることになった経緯を聞いていきたいです。西村くんはVUILDにこの4月から入社したよね。それまではどんなことをしていたのか、改めて教えてください。東大卒業後、鯰組という工務店で5年間大工をやっていたんだよね? なぜ建築や大工を志すようになったんですか? VUILDに入社するまでの経緯を教えてください。
西村 もともと数学や物理が好きだったので、別の大学なら物理工学や理学を学んだと思います。でも、入ったのが東京大学だったので、3年進学時に建築専攻を決めました。決め手になったのは1、2年生の時に取った社会学や心理学の授業です。1つの答えが出る数学や物理とは違う人文的な学問のおもしろさにも気づいて、全てを総合するのは建築学科だと考えました。
構造設計の研修室で学んだのち、大学院では木質構造の研究室に入ったのですが、ちょうどその年に熊本地震が起こりました。地元が熊本なので被害調査をしにいき、その家が使えるかの構造計算をしたり、古い町屋の改修計画を立てたりしたのですが、構造計算をしても、持ち主が改修費を賄えなくて取り壊しになることも多かったんです。一方で地元の大工さんが筋交を入れる応急処置をすることで当座をしのぐ姿も見ました。現場で自分で実際に何かできるようになりたいと思うようになって、それで大工の会社に入りました。
VUILDには学生時代からずっと興味を持っていました。だから、入社後5年ほどたち、担当していた海外の大型案件が一区切りついたタイミングで今後の自分のキャリアを考えた時に、自分のやりたいことに完全にマッチしているVUILDへの転職を志望しました。
秋吉 僕も東日本大震災で無力感を痛感したから今の事業をやっているわけで、親近感あるなぁ。浦上くんはどうですか? 平成建設で働いたのちに2019年2月にVUILDに入社したよね。そもそもなぜ、こういった仕事に興味を持ったんですか?VUILDに入社するまでの経緯を教えてください。
浦上 高校からエスカレーター式で大学に行ける学校で、高校でも卒論があったんです。僕も数学が好きで、特に純粋数学より応用数学に興味があったので、その卒論では当時少し注目を集めていた渋滞学の研究をしました。渋滞を数学的にシミュレーションする学問で、交通が流れる状態から渋滞の状態に変わることを数式でモデル化する研究だったのですが、現実と今まで教科として学んでいた数学がつながってとてもおもしろいと思ったんです。同時に、建築家の荒川修作の『建築する身体』という本を偶然読んでいて、その本に「建築は科学、哲学、芸術を総合するものだ」とあったんです。建築は数学を現実に使うものでもあるし、これだと思って建築学科に進学を決めました。
大学で建築を学ぶうちに生産組織に興味をもち、大学院で建築史の研究室に入りました。その研究室では幕末から明治にかけての大工の研究をしていて、僕は西洋近代ヨーロッパの職人を調べたので、現代の生産組織はどうなっているのだろうとフィールドワーク的な興味をもって、建設会社に入社しました。
ただ、仕事をしているうちに、現代の生産組織で安定的に住宅などを作ることはとても良いことではあるものの、問題点もあるなと感じるようになりました。VUILDはその点で突破口になると直感して志望しました。
秋吉 なるほど。建築そのものに対する興味と、さらに組織のあり方、働き方にも興味を持ったんだね。シンジはどう? シンジは大学院生の時にインターンに来て、その後入社したんだよね。インターンの面接の時にスーツで来るから驚いたよ。VUILDにスーツで来る最初で最後の男だと思う。
野田 ちゃんとした方がいいかなと思ったんですよ(笑)。質問は、VUILDに入社するまでの経緯ですよね。僕は小さい頃から絵を描いたり、何かを作ることが好きだったので、デザイン系の大学に行きたいと思って、近場で建築のデザイン学科がある滋賀県立大学に入りました。滋賀県立大学は地元の素材を作ってものづくりをすることが多い大学で、研究室で年に1回、1/1サイズのパビリオンを自分たちの手で作ったり、木匠塾という複数大学合同で子供の遊具を自分たちの手刻みで作ったりしていたんです。
一方で、大学2年生から3DCADソフトのRhinocerosや、そのプラグインのGrasshopperを使うようになり、デジタルデザインに興味を持つようになりました。それでいろいろ調べたらShopBotという機械があって、物作りがもっと円滑にできるとわかり、ShopBotの代理店をやっていたVUILDのことも知りました。
就職先は、自分の手で行うものづくりとデジタルデザインが実践できるところがいいと思っていたので、ShopBotとデジタルツールを使ってものづくりをしているVUILDは最適でした。それで、インターンをさせてもらって、実際にプロジェクトベースでShopBotを使ってデザインしてものを作る体験をし、就職したいと思いました。
3人がVUILDに共鳴している点
秋吉 みんなのVUILD入社までを聞くとなぜ志望したのかはよくわかる気がするけれど、次はみんなの口から直接、VUILDの何に共鳴したのかを聞きたい。西村くんはどうですか?
西村 VUILDの「建築の民主化」という言葉を聞く前の段階で、卒業設計として、地域の人がパーツを一つずつ作ってそれを組み合わせて大きな屋根になる設計を考えていました。学会で評価されたり、雑誌で自分の名前とともに大きく取り上げられたりするような設計よりも、建築を使う人の個人的な愛着を高めることの方が価値があるのではないかと思ったからです。そして、作るプロセスにみんなが関わることが愛着を高める大きな要因になるのではないかと考えたんです。だからVUILDのことを知った時には、思想に共鳴しました。
秋吉 卒業設計の段階で同じことを考えていたんだね。やはり震災がきっかけで建築のあり方を考えたという、原点が僕と似ているからかな。浦上くんはどうですか?
浦上 僕はまずはビジュアル面に惹かれました。秋吉さんの修論を読んだ時に、ShopBotのワークショップで作った家具の写真が載っていたんです。それが、いわゆる分業化された生産組織の中で作られるような家具とは違って個性的でとてもよかったんです。うまくファシリテートしたのだと思うのですが、個性的といっても、決してゴテゴテせず、ちっともキッチュな感じもしない。今は家具を作っているけれど、これが建築になったら世の中がだいぶ変わるだろうと直感しました。
秋吉 修論まで読んでくれていたとはうれしいね。NESTINGを通して一緒に世の中を変えていこう。シンジはどう?
野田 学生時代にはせっかく設計しても作る手段がないことがよくありました。ShopBotを使いたいけれど値段が高いし、レンタルしたとしても高いし、でも曲線を切る時には手加工だと難しい。VUILDはEMARFというサービスを使って、誰もがCNC加工機を使えるように環境を整えようとしているのがありがたいと感じました。作りたい人がものづくりに参加できる環境や社会を作っている点にもっとも共鳴しています。
思い描く「理想の未来の社会」とVUILDとの重なり
秋吉 3人とも違った観点からVUILDに共鳴してくれていてうれしい。ここからは未来について聞きたいです。個人的なビジョンとして、世の中がどんなふうになったらいいと思う?
西村 例えば家を作る時にはハウスメーカーの決めた家を買うか建築家に依頼して作ってもらって買う方法しか今は考えつかない人が多いですよね。それは小さなプロダクトでも大きな建築でも同じです。そこに「自分で作る」という選択肢が当たり前のようにあるような世の中になったらいいなと思います。個人的には、いつか卒業建築で考えた、地域の人々が使う施設の大きな屋根を地域の人が作るプロジェクトに、実際に一緒に作ったり、作る支援をしたりする方法で関わりたいです。
浦上 家を地元の素材を使って自分たちで作ると、作る過程で地元の人たちと関わりますから、街に関わることになり、社会参画になると思っています。単にその街に住むのではなく、主体的に関わることで、環境を変えることにもなります。大きな変化につながると思うので、未来の世界では、セルフビルドが当たり前になるといいですね。とはいえ、僕はShopBotにも触れていないですし、セルフビルドといっても完全に一人でやる必要はないと思っています。個人的な夢としては、いろんな専門家とコラボレーションしつつ、テクノロジーを使いつつ、自分の思想が反映されたような建物、家と家具、全部を建てられたらいいなと思っています。
野田 個人的な話になりますが、以前に住んでいた家の家具は全部EMARFで自分で作ったんです。自分で作ると愛着が湧くというのは実感しているところです。そのときに住んでいたのは賃貸物件だったのですが、引越し時に大家さんから家具を置いていってもいいよと言われて、愛着を持ったものを次の人に受け渡す体験をしました。その体験はとてもおもしろいと感じています。家を作れるようになればやってみたい人は増えるでしょうし、こういった体験をどんどん多くの人に広げていきたいです。ゆくゆくは、自分の家も自分で作りたいですね。
秋吉 個人のやりたいことと、会社がやりたいことが高レベルでマッチしているメンバーなんだなと改めて驚いたよ。個人的にやりたいことについても、3人ともぜひやってほしい。見にいきたいです。
NESTINGメンバーが望む、仲間になってほしい人
秋吉 3人の来歴、行く末、そして今がすんなりと繋がっていて、一緒に働けてよかったなとつくづく思いました。NESTINGに欠かせない3人に聞いてみたいのだけれど、今後NESTINGに新しいメンバーが入るとしたら、どんな人がいいと思う?
浦上 僕は専門の壁を超えられる人がきてくれたらいいなと思います。たとえば設計と施工という大枠だけではなく、設計のなかでも意匠のみとか、見た目のデザインのみ、構造は見るけれど環境は見ないなどと専門性で分業化しようとすればいくらでもできます。専門分野として研ぎ澄ますのはいいことではありますが、分業化がミスコミュニケーションを生み、全体としての工法に矛盾が出てくることもよくあります。自分の専門性を大事にしつつ、そこを超えて1から失敗できるメンタルの人、守りに入らずに冒険できる人に来てほしいですね。
西村 チームに、というよりも、プロジェクトの仲間としてですが、セルフビルドといえども部分的に業者さんに施工をお願いすることもあるので、セルフビルドの価値をわかってくれる人がパートナーになってくれるといいなと思います。前職でも思ったのですが、職人の世界では専門によって分業化していて、後の仕事のためにも早くきれいに終わらせることが最も重要視されます。それに対してセルフビルドは素人がやるので予定より時間がかかったり、プロのように仕上がらなかったりするので、プロが素人と同じ現場で作業するとフラストレーションがたまるし、いやがる職人が多い。それでも、素人が自分の家をつくることでより愛着が湧いたり、より自分の住む家のことがわかったりするというセルフビルドのポジティブな面を大事にしてくれる人がパートナーだったらいいなと思います。
野田 現状のメンバーは大工2人に一級建築士を持ってたり、グラスホッパーも使えたりと、多様な人が集まっています。現状の開発自体はうまく回っていると思うので、1年後、5年後と先のことを考えてくれる人がいたら、夢も広がるしモチベーションも高まっていいなと思いますね。
秋吉 事業開発のメンバーが加わって今後NESTINGはさらにパワーアップしていくはずなので、3人が今言ってくれたようなメンバーが入ってくるといいですね! 3人も、今後ともよろしくね。
TEXT:フェリックス清香
事業開発メンバーを募集しています。
◆募集職種
EMARF事業の事業開発メンバー 1名
◆仕事内容
事業の拡大全般を経営陣と並走しながら推進していただく仕事です。
ーEMARF事業
2020年4月ローンチ。設計者やデザイナー向け、木材のクラウドプレカットサービスとしてサービス展開。会員数5000人を超え、小さなインテリアから建築規模の木材加工まで幅広い利用が広がりつつあります。
今後は、専門知識やスキルがなくてもモノづくりにアクセスできるGenerative AIを活用したEMARF AI等の開発を進め、誰もがアイデアをカタチにできるような「モノづくりのAWS」を目指します。
◆募集背景
創業から5年かけて「建築の民主化」を実現するための技術開発と実績を着実に積み上げてきました。これまでに2つの自社プロダクト開発、約6億円の資金調達、毎年150%ずつの売上成長、6期目にしてようやく単年度黒字化を達成予定です。
今後、これまで培ってきたノウハウを基に一気にスケールさせていくフェーズへの移行に伴い、事業のスケール/グロースの推進役となってくださる新しい仲間を募集します。
▶︎応募&問い合わせ
応募の他、もう少し詳しい話しを聞いてみたい、CNC加工機や工房見学のご希望等々、こちらのフォームよりお問合せください。
この他VUILDメンバーも募集中
正社員、業務委託、インターン、アルバイトなど形態に関わらず、年間を通じて複数の職種でメンバー募集を行っています。VUILDの活動に興味ある方、検討したい方、随時カジュアル面談も受け付けているので、お気軽にお問合せください。 (2024.04.15追記)
詳細情報こちらから確認いただけます。
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