曖昧な字幕のあなた
長さのせいか上映は二回に分けられ、文字を追う目は理解から遠ざかる。
光を漢字に奪われ続ける間も進んでいるようだった映画に私は、置きざりに取り残されている。下へ流れはじめた俳優と監督の名が黒くなっていった。
どんな映画なんだろうね、紙コップを袋へ放り投げながら囁きあう音がする。
どうしてわかんないの
日本の映画だからだよ
字幕があったじゃない
ある冒険家/ライターを内から締めあげた、冒険とノンフィクションのアンバランス。
冒険の実際はひどく退屈な行為で占められるしかないから、遭難でもしない限り読者を惹きつけることは難しい。
誰もいない所で起きた遭難を確認できる者はおらず、次第に虚構の色さえ帯びていく。
書かれてある文字をいま読む者は、作者の生還を息継ぎに確認しては読み進め、読み終えるころ忘れている。
眠っちゃってたのかな
仕事なのに
外ももう曖昧になっている
『VS?Collective』は、現在の世界から押し付けられた選択肢に対して、もう一つの選択肢(=オルタナティブ)を実践・提示するイベント・翻訳・映像等の制作集団。 ただし、仮想敵を作ることで結束を図るような「二項対立的発想」=「VS」に対しては、積極的に「?」を掲げて。