オデュッセイアのなかのオデュッセイア
『オデュッセイアのなかにはいくつのオデュッセイアがあるか。(略)物語さえ見つかれば、たとえ結末がよくてもわるくても、イタケーは、長年続いた時間も法もないあの無形の状態から脱出できる。(略)帰還が推測され、考慮され、のちには回想される。だがそれはまた、実現する以前に忘れ去られる危険を孕んでいる。(略)オデュッセウスは、じぶんがたどらなければならない道すじ、それは彼の運命のかたちなのだが、を忘れてはならない。ということは、とりもなおさず、オデュッセイアを忘れてはならないことになる