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2021年気になったニュースの振り返りと2022年の展望
皆さま、明けましておめでとうございます。
本年もVRC 公式noteをどうぞよろしくお願いいたします。
さて、新年1本目の記事は、VRCの八重樫が2021年に気になったニュースの振り返りと、今年の展望について書いていきたいと思います。
2021年の気になったニュース
■「メタバース」がバズワードになる
2021年の後半から、一気に「メタバース(Metaverse)」がバズワードになりましたね。
やはり、Facebookの「Meta」への社名変更から波ができたのではないかと思います。
VRC noteでも取り上げたところ、たくさんの方に興味を持って読んでいただきました。
メタバース企業になるという表明はほかにもありました。グリー傘下のREARITY社も大きく事業投資をすると発表がありましたし、HIKKY社の65億円の大型資金調達も記憶に新しいです。メタバース関連企業の資金調達などもほかにもあり、大きな盛り上がりを見せています。
アパレル業界などITやゲーム関連以外からのメタバースへの参入も話題になりました。そのあたりは、後述したいと思います。
VR・XR業界的には以前にもこういったブームはありましたが、今回は市場やメディアの取り上げ方を見ても、一過性のブームでは終わらないのではないかと感じています。
ただ、業界内で盛り上がっているだけでは一般層に定着はしないので、今年どういう流れで盛り上がりや広がりを見せていけるかというところが、一つのキーポイントであると思っています。
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■アバターを簡単に自分で作れるサービスが盛り上がる
メタバースの盛り上がりとともに、メタバース空間に入るためのアバターにも注目が集まっています。
今まではアバターは用意されているデフォルトアバターを使うか、3DCGのできる人が作って販売し、購入したものをUnityなどのソフトを使ってアップロードしなければならず、手間などがかかりました。
しかし、もっと手軽にというニーズが高まっているのを受けて、2021年はいろいろなサービスが広がりを見せていました。
例えば、顔写真1枚で簡単にアバターが作れるサービス。
Ready Player Meでは顔写真1枚から様々なプラットフォームで使えるアバターを簡単に作ることができます。いくつか用意されているパーツを組み合わせて作られており、服装や各顔のパーツなどは変更することも可能です。
Ready Player Meを運用するWolf3Dは年明けに資金調達したという報道もあり、ニーズの高まりを感じています。
凸版印刷も顔写真1枚でアバター生成できる「メタクローン™アバター」というサービスを開発したというニュースが。
こういったプレイヤーも増えているので、弊社もうかうかしていられませんね。
フォトリアルなアバター以外にも、アバターを簡単に作れるサービスはあります。
Gugenkaの提供している「MakeAvatar」はスマホアプリで簡単にアバターが作れるというもの。VRChatとの連携を開始し、話題となりました。
また、VRSNSのClusterでは、自分でアバターを作れる「AvaterMaker」という機能が登場。ホームでアバタークリエイトができるようになりました。
こういった事例の広がりを見て、ユーザーが自分で好みのアバターを作りたい!という欲求が高まっていることを感じました。アバターも拡張した自分自身ですし、アイデンティティがあるし、気に入ったものを使いたいですよね。今後、そういった選択肢の中にシーンに合わせて、リアルなアバターも含まれるようになっていくのではないかと思っています。
2022年には、どんなサービスが出てくるのか引き続きウォッチしていきたいと思います!
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■アパレル業界でもバーチャル化が進む
昨年はNFTも大きなブームとなり、アートやアパレルの分野ではNFTに関連するニュースが話題になりました。
ワンセックが北米でバーチャルスニーカーを発売すると、5イーサリウム(2021/4/23時点では約124万円)で落札されたというニュースも。
昨年はバーチャル上でのファッションも楽しみたいというニーズが高まっていった年ではないかと思います。若者を中心にアバターファッションも盛り上がり、大手アパレルブランドもバーチャルファッションの販売に参入していました。面白いのは、実際に売っている服をモデリングして販売している点。現実でも同じものを着られるというところにも価値があるようです。
BEAMSも昨年12月に行われたバーチャルマーケット2021で、実際に販売している服を着せたオリジナルアバターの販売をしていました。
2022年はアバターファッションがさらに盛り上がりを見せ、参入企業も増えていきそうです。
BEAMSのように、バーチャル空間上に店舗を作ってしまうという企業も増えてきています。
ナイキや、アディダス オリジナルスはメタバースへの参入を表明し、ワールドを作ったり、NFTの販売を行ったりと精力的に活動していました。
さらに昨年、三越伊勢丹グループは伊勢丹新宿本店をバーチャル空間に再現し、商品購入もできるアプリ「レヴ ワールズ(REV WORLDS)」の提供を開始しました。
こういったアパレル企業や小売企業のバーチャル空間への参入は2022年も激化していくでしょう。どんな企業がどういう体験をできるように試行錯誤していくのか楽しみです。
また、昨年はバーチャル空間上でのファッションショーも行われていました。
東京ガールズコレクションは昨年アプリも作り、アプリ上でショーが観覧できるようになっていました。ショー自体はさいたまスーパーアリーナで無観客で行われましたが、オンラインLIVEでショーの模様を配信していました。スマホから簡単にショーがみられるのはいいなと思います。
2022春夏パリコレクションに参加していた「ANREALAGE(アンリアレイジ)」では、昨年夏に公開したアニメ映画「竜とそばかすの姫」とコラボしたデジタルコレクションを発表し話題となっていました。コレクションの配信はNTTの提供するプラットフォームDOORで行われていたのも印象的でした。
ちなみに、細田守監督のアニメーション映画「竜とそばかすの姫」は、仮想空間U(ユー)に「As(アズ)」というもう一人の自分(アバター)で入るという世界観の作品で、昨年の夏に公開された大ヒット映画です。こちらもメタバースの世界観に触れられる作品ではないかなと思います。
また、アンリアレイジの2022春夏パリコレクションのNFTが高額で落札されるというのも一大ニュースでした。今後、こういった事例も増えていくのかもしれません。
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■ヘルスケア業界のDXに関するニュースは?
VRCではヘルスケア業界への参入を年末に発表させていただきましたが、業界としてはヘルステックという言葉も聞かれるようになるなど、こちらもデジタル化が進んでいます。
アバター関連で気になったニュースもいくつかありました。
ヘルスケアにも使える採寸アプリ「Bodygram」では、昨年3Dアバターの表示が可能になり、入力情報に合わせてアバターが変化するようになりました。そのほか、体脂肪率と骨格筋量の推定計測値が表示される新機能も搭載し、本格的にヘルスケア領域に進出したようです。
ヘルスケア領域においても、数値情報だけではなく見た目情報も重視されるようになっていくのではないでしょうか。
また、アバターを使ったオンライン診療も進んでいるようです。特にメンタルヘルスケアの領域で活用が始まっており、アバターを使うことで心理的ハードルを下げることができ、その結果心理相談を受けやすくなるようです。
UsideUは「TimeRep(タイムレップ)」というアバターでの対面接客システムを活用した心理サービスの開発を始めるというリリースも出していました。
2022年はオンライン診療もさらに広がっていくと思うので、こういったアバターを活用したヘルスケア領域の事例も増えていくかもしれません。
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2022年はどうなっていくのか?気になる点は?
2021年の振り返りはいかがだったでしょうか?
振り返りながらいろいろなニュースがあったし、アバターを取り巻く状況は大きく進展してきたなと感じました。
2022年、VRCの関わる領域に関してはどうなっていくのか、気になる点をまとめてみました。
〇メタバースブームが続き、さらなる発展があるのでは?
昨年はバーチャルマーケットや東京ゲームショウなどがVR空間で盛り上がりを見せましたが、参加したのは一部のユーザーのみで、まだ一般化しているとは言えない状況でした。
今年はどう一般層を取り込んで定着化させていくかという部分がより重要になってきます。また、参加企業についても目新しさで参入するのではなく、ビジネスとして成り立つから参入するという企業が増え、きちんとマーケットになっていくような状況になればと思います。
また、メタバースへ入るために重要なアバターに関しても、新たなサービスが出てくるのか、どこのサービスが伸びていくのかなど状況をウォッチしていきたいと思っています。
〇アパレル業界からのメタバース参入やバーチャルファッションへの参入がより増えていくのではないか?
2022年も引き続きwithコロナの時代が続く中で、バーチャル化の流れはさらに進むはずです。
バーチャルファッションをメタバースで販売し、数十万ドル以上を稼いでいるクリエイターがいるというニュースもあったので、今後企業や個人の参入は進んでいくと考えられます。
また、OMOなどリアルとオンラインの組み合わせがさらに進み、リアルな体験のDX化がさらに加速していくのではないか、とも感じます。どこまで店舗に人が戻ってくるかが肝ですが、年始は百貨店の売り上げも上々という報道もあったので、コロナとうまく付き合いつつ消費も回復していくのではないかと思います。
〇ヘルスケア領域でも見た目情報が重要視されるようになり、アバターを活用する事例も増えていくのでは?
昨年はヘルスケア領域でもアバターが使われ始めました。2022年はそれがさらに広がっていくのではないかと思います。
アバターだからこそ話しやすいという部分に着目して、カウンセリングなどのユースケースがいくつか出てくるのではないか、という部分に着目したいです。
2022年も、引き続きアバター関連のニュースや市場動向について情報収集しつつ、公式noteでも情報発信していきたいと思います!
今年もたくさん記事を書いていきますので、お付き合いいただけますと幸いです。今年もよろしくお願いいたします。