発想と行動力が尋常でない母の事
これは40年ぐらい前の話しなんですが母についてのエピソードです。
実家は新興住宅地地にありました。
ちょっと面白い作りで裏に小さな庭があって家の左側面に通路があって長い縁側、半透明の波型のポリカーボの屋根があり日差しや雨を防げる作りになってました。
家はなだらかな坂を登ってくる途中にあって坂を登って更に奥の団地から駅に通っている人が行き来してました。
そんな作りの家で母は本当に誰とでも瞬間的に仲良くなってしまうオープンな性格なので母と、親しくなった人が縁側に腰をかけ休憩して母の出した麦茶などを飲みながら休憩している光景は日常的でした。
近所の人達も気軽に縁側に集まって雑談したりしてました。
料理が好きだった母はオーブンを購入した事をきっかけにホームベーカリーを始めました。
ご近所の子供達も母が始めたパン作りに興味深々。
小麦粉を振るい器で粉を振るのを手伝ったりしてました。
私は、「子供は家の手伝いをするのは当たり前」
という親の教えのもと小麦粉を振ったりバン生地こねたりそんな事をさせられていました。
私の住んでいた所は東京都のベッドタウンと呼ばれる様な街市だったのですがホームベーカリー店などまだ一軒も無くてパンやケーキの材料も三駅ぐらい先の駅まで行かないと手に入らないという田舎なのでそんな所でパンを家庭で焼いている人など皆無でした。
コタツの中で、パン生地を発酵させて近所の主婦の方とか娘さんとか生地にソーセージやチーズを巻いて卵をハケで塗ってオーブンで焼いて香ばしいパンの焼ける匂いが家中にだだようのが好きでした。出来立てのパンをみんなでコタツで試食して雑談して各人がパンを分けて持ち帰ったりしてました。
母のユニークな所はお料理を作る時に必要となる卵や牛乳についての入手方法でした。
自転車で養鶏農家さんに行って卵を1ケース(大きな段ボール)を我が家まで車で運んでもらいご近所さんで卵を欲しい人から注文を取って卵が届くとそれぞれが自分の自宅で使っう数量の卵を私の家の縁側に受け取りに来るようになりました。
その頃はコンビニ誕生前で駅の側まで買い物に行くと自転車で往復1時間以上かかってましたし割れ物の卵を自転車の籠に入れて運ぶのは主婦の大変な仕事でした。
母が農家から原価で卵を仕入れてご近所から注文を受ける事で自分のパン作りやお菓子作りの材料の卵も確保出来きご近所方からは新鮮な卵が家の近所で手に入るので非常に感謝されました。
次に母がやった事は牛乳の確保でした。
隣の八千代市に「八千代牛乳」という牛乳屋さんがあって当時珍しい成分無調整の牛乳が売りの牛乳屋さんがありどういう経緯か解りませんが我が家の縁側に牛乳を届けてもらいご近所の人が牛乳を取りに来るという事を始めました。
自分としては夏休みとかは卵や牛乳を取りに来ていないお宅に届けたり集金したりしてました。
そうしてるとご近所の方から御駄賃みたいお菓子をいただいたりしました。
昔は流通も悪いし店舗も少なかったり一家に一台車も普及してなったので母のしていた事は時勢に合っていたんだと思います。
ご近所の人も新鮮な卵や牛乳が手に入り駅の近辺まで行くよりも時短になるというメリットがありしばらく母は飽きるまでやっていました。
その後、母の始めた事は公民館でのお料理サークルでした。
ユニークなのは母が現在も営業している地元の有名店に食事に行ってシェフの方と仲良くなってサークルに来ていただいて、そちらで出しているお料理を教えていただいたりしてました。
私も、サークルで作った料理を試食しましたががイタリアンのお店のシェフが来てくれた時は平打のパスタでほうれん草の練り込んだ緑色のパスタとやトマトを練り込んだ赤色のパスタなどを試食したのを覚えてます。
その他記憶に残ってるのはキノコがたっぷり入ったクリームスープを、カップに注ぎパン生地を被せてオープンで焼いたキノコスープだとか美味しいかっですね。
パンが膨らんでキノコの様に焼き上がります。
そのパンをちぎってキノコがたっぷり入ったクリームスープに浸して食べます。
このキノコスープは千葉県の八千代市にある「ロサンゼルス」というお店の名物メニューです。
同じ様なメニューは最近他のレストランでも見かけますがこちらのレストランがかなり早い時期にメニューに加えてました。
開業して間もない頃お店の知名度を上げる効果もあったので一般人の料理サークルでレシピを公開してくられたのかな?と思うのですが良く考えるとうちの母の人間性かなと思ったり。
母は、80歳を超えているのですが相変わらず食べ事が大好きで最近もレストランに一緒に行ったのですがコーヒーを入れてる僅かな時間で隣のテーブルの夫婦と仲良くなっていました。
昔からの知り合いの様に話しているので、てっきり昔からの知り合いが隣の席で食事をたまたましていたので久しぶりにあったので話しが弾んでいたのかと思いましたが隣の席の人が挨拶して会計して帰ったので
「だれ?知り合いなの?」と聞くと
「知り合いじゃないよ。ちょっと話しただけ。」
とか言ってましたが隣の人は帰る時に
「お母さん、お先にね。これから桜見て帰ります。」とか言ってたんですよね。
今さっき会った人の、会話じゃない。
今は、弟の近所に1人暮らししているのですがひっきりなしに誰か遊びに来てるんですよね。
元気なのは何よりなんですが。