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陸上 新谷仁美選手 脅威の現役復帰実現の秘密

今回取り上げるのは陸上女子長距離の「新谷仁美(にいや ひとみ)」選手です。

一度の引退から復帰後、昨年12月の日本陸上競技選手権大会・長距離種目で10000mの日本新記録を出して、東京五輪に内定しました。

衝撃の復活と言えます。先日NHKのスポーツニュース番組に出演されていて、以前バラエティ番組等でみせていたその気さくなキャラクターを拝見することで改めて思い出した選手でした。

一度引退してから、現役復帰後に日本新記録を確立するという偉業を成し遂げた新谷選手の成長の秘訣は我々に大きなヒントを与えてくれると思いました。

このnoteはVoicyの過去の放送の一部を文字に起こしたものです。

新谷仁美 選手の紹介 日本新記録樹立&オリンピック代表内定

新谷選手は、岡山県出身で、岡山興譲館高校時代から既に長距離走者として頭角を現し、全国高校駅伝では全国優勝に加え、3年連続の区間賞。
しかも区間新記録を更新しつつ、また各校のエースが集まる1区を3年間走り続けてこれを成し遂げたのは歴代2人だけだそうです。

実業団に入ってからは、高橋尚子選手の再来ともいわれ、数々の駅伝・マラソン大会で優勝を重ねるなどキャリアを積み重ね、2012年ロンドンオリンピックにも日本代表として出場する等活躍した後、2013年に一度引退されています。

その後2018年に5年間のブランクを経て現役復帰を果たすのです。復帰後順調に復調の軌道に乗せ、昨年2020年12月、東京オリンピック選考会を兼ねた日本陸上競技選手権10000mに出場、日本記録を18年ぶりに28秒以上も更新する新記録で優勝し、10000mのオリンピック代表に内定しました。

冒頭のチャプターでもご紹介しましたが、先日NHKのスポーツニュース番組に出演されていました。その回は、嵐の相葉雅紀さんが年末体調不良から復帰されて生出演されたということのほうが話題になっていたみたいですが、私に久々に新谷選手のその強烈に気さくなキャラクターに触れ新谷選手のことを思い出すきっかけになりました。

新谷選手もともとテレビのバラエティ番組に出演した時などその自由なキャラクターが楽しくて非常に好感を持っていた選手でした。

陸上選手としては一流ですが、一方でプライベートの顔なのでしょうか、非常にテンション高くサービス精神旺盛なトークが印象的でした。

「世界陸上は婚活が理由で出ました。テレビに顔が映るように、2位で走っていた時は1位の選手の横に少しずれて走っていました」、「金メダルより彼氏が欲しい」などと発言していたエピソードは新谷選手のWikipediaでも紹介され「芸人よりもリアクションがすごい」と言われていたそうです。私もそう記憶してすごく好きなキャラの選手だなと思いました。

今回の復帰の理由についても、引退後のOL生活で苦手なデスクワークを我慢してこなすよりも、給料が良くてより伸び伸び活動できる陸上選手のほうが良かったとNHKの番組内でも語っていました。

ですが当然一流の選手です。陸上競技に対峙する姿勢は真剣そのもの、トレーニングではトークの時とは全くべつの厳しい表情で取り組まれていました。

そもそも5年間のブランクを経て日本記録を大幅に更新するパフォーマンスの背景には何があったのでしょうか。

次のチャプターで詳しく掘り下げてみたいと思います。

ブランクを乗り越えての進化の秘密とは

5年間の引退期間から見事な現役復帰を果たした新谷選手、ブランクがあったにもかかわらず一度目の現役時代をうわ回る急成長の秘密は何だったのでしょうか?それは新谷選手を支えるチームの皆さんとの信頼関係をベースにしたチームワークであるように思われます。

・2020年11月16日のRealSportsの記事「「お金のため」復帰した新谷仁美 一度引退した“駅伝の怪物”の覚悟と進化の理由とは?」
・2020年12月6日「Web Sportiva」の記事「新谷仁美、タイムが爆発的に伸びた転機。「自分の気持ちが解放された」
を参考にみていきましょう。

記事によると、実は新谷選手は復帰後自分の成績に対して厳しい発言が続いていました。
2位になった大会でも1位になれなかった悔しさが前面に出た態度だったそうです。とにかく最高の結果を出すことにこだわって気持ちも沈みがちだったようですが、その時の支えになったのが横田真人(よこたまさと)コーチをはじめとするサポートチームの存在だったようです。

先ほどのNHKの番組でも横田コーチやチームの皆さんと新谷選手の仲の良さ信頼の深さは伝わってきました。

この横田コーチは、男子800mの元日本記録保持者で、この種目にて44年ぶりのオリンピック出場を果たした、近年の陸上中距離界を切り開いてきたほどの人だったんですね。

ですが、現役復帰当初新谷選手と横田コーチの尾関係はぎくしゃくしていたといいます。

それまで練習メニューの構築からスケジュール管理までひとりで行うことになれていた新谷選手、最初の半年ほど横田コーチを避けていたそうです。

日本のトップを取るぐらいのやり方は自分でわかっているという自信からだったそうです。

ところが思ったような成果が出せず、自己流のトレーニング・食事制限で恥骨の疲労骨折という失敗にもつながったようです。自分で正しいと思って人に任せず客観的な意見も聴かず行ってきた行動の結果でした。

おそらく過去の成功体験からの自信もあったのでしょう。

そのようなこともあって、お互い歩み寄り、新谷選手のメニュー管理は次第に横田コーチに委ねられていきます。今まで取り組んでこなかったような体幹トレーニングを横田コーチの指導のもので取り入れる等変化がでてきます。

そのような変化を経て、新谷選手は調子を上げていき、引退前の現役時代を上回るパフォーマンスを発揮するようになっていきます。その結果が日本新記録の大幅更新とオリンピック出場に繋がっていくのですね。

今では横田コーチを含むサポートチームと信頼が構築され、新谷選手にとっては大きな安心感につながっているようです。記事から新谷選手の言葉を抜粋してお伝えします。

「レースで結果を出すのが私の仕事で、それ以外のことは横田コーチやクラブのスタッフが管理してサポートしてくれることで、自分の気持ちが解放されました。以前は自分だけで考えていて信頼できる人がいなかったのが、今はサポートしてくれている人たちのすべてが信頼、信用できるので、そのありがたさを改めて感じました」

新谷選手の復活と進化を実現させたこのチームワーク、そこから我々が学べるポイントがあるのでしょうか。
次のチャプター本日のTipsに続きます。

Tips 弱みを開示できるチームの強み

新谷選手の現役復帰以降の復活さらなる進化のエピソードから学ぶべきことそれは「自分の弱みにフォーカスする」ということではないでしょうか。自分の弱みにフォーカスです。

このところビジネスやスポーツの世界では「自分の強みにフォーカスする」ということが言われて来た気がします。

Strength Finderが流行って、自分の強みが何なのかを知り、その強みを以て相手や組織に貢献する、当たり前と言えば当たり前ですよね。

それ自体は問題無いのですが、例えば組織においてチームにおいて、メンバーがそれぞれ自分の強みばかりをアピールするだけではお互いの牽制にもつながり、組織における「心理的安全性」に必ずしもつながないのではと考えます。

ここで「心理的安全性」という言葉が出てきましたが、こちらも本当によく耳にする言葉になってきたキーワードですね。

心理的安全性・サイコロジカルセーフティーこれは、Googleが以前行った「Project Oxygen」という調査プロジェクトによって解き明かされた、最もパフォーマンスの高いチームの特徴として挙げられるものです「心理的安全性」=「サイコロジカルセーフティー」のあるチーム。

チームメンバーがリスクを取ることを安全だと感じ、お互いに対して弱い部分をさらけ出すことができる組織が理想とされるということです。

自分の強みを知り活かすには弱みを知ることも大事、そしてその弱みを共有できるチームであることが大事ということです。

新谷選手と横田コーチの関係でいうと、新谷選手は弱みを見せて、横田コーチに任せたことにより、精神的に解放され成果を出すことに集中できたということにつながります。

新谷選手は、全てを抱えていました。その中には得意なこと苦手なこと・自ら注力すべきこと・人に委ねること・これらが全て重なり合い精神的な負担になっていました。

全てを抱え込むのではなく、苦手なこと・人に任せたほうがいいことを特定し、自分よりうまくやってくれる人に任せ・自分がやるべきことに集中。弱みをチームメンバーに開示したことで得られた解放感があるのでしょう。

澤円さん過去の放送回で「弱いところがお互い分かるとチームは強くなる」「できないことをできないと言える空気を作らないといけない」と言っております。

自分の強みを知ることと同じくらい自分の弱みを知り、その両方をうまいバランスで共有・開示するということが個人レベルでは大事になります。

弱みを開示することは相手により、それを許容する組織かどうかということはあります。マネージャー、リーダーの皆様、お互いの弱みを許容しあう組織にすべきではないでしょうか?

このnoteはVoicyの過去の放送の一部を文字に起こしたものです。
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