Voices Vol.23 現役教師が語る「不登校に対するジレンマ」その1
不登校との出会い
不登校児に担任として初めて出会ったのは教員3年目のことでした。
引きつぎの資料などを見ると,小学校生活の中で何度か不登校になっており,前年度の3学期から本格的に不登校傾向になっている子でした。
1 不登校に対するジレンマ
まず,不登校に対して,学校,担任,保護者,そして本人の思いがあります。当然,学校は組織であるので,学校と担任の思いは体裁としては,一致していますが,実際のところ必ずしも一致しているとは言えません。
この時のケースでは,担任の思いと,学校(管理職)の思いは一致していませんでした。
*学校の考え方:不登校のゴールは学校に復帰させること
*私個人の思い:本人が来たくない,来ないことを選ぶならそれでもよい。
(ただし,来たくても来れない場合には,来れるよう協力したい)
保護者の思い:学校になんとか行かせたい。
本人の思い:行きたいのか,行きたくないのか,わからない。
「不登校」というものに対して,色々な考え方があり,それぞれケースバイケースなのは重々承知です。
ただ私個人としては,来るも来ないも本人、家庭の自由かなと。
本人が来ないことを選択するのであれば,まずはその選択を受け入れたいなと考えていました。
※ただし,来ない場合には,家庭での学習環境を整えるのは必須です。
学校でできることは時間的にも,担任の労力的にも限られています。
このようなケースで難しいのは、保護者や管理職は学校に来させたい一方で,担任は、本人が来たくないのに来させるための様々な努力をしなければならないということです。
毎日電話したり,家庭訪問したり,お手紙を子どもに書かせたり,
親を学校に招いて会議したり,明らかに来たくなさそうな行事に来ないかと
誘ってみたりと・・・
学校として,来させる努力をしている感を出さなきゃいけないんですよね。
長期欠席児童が在籍していると,教育委員会に毎月,文書で報告しなきゃいけないので。
ちなみに,不登校児の認知件数は年々増えているそうです。
(令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果 https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/content/20201204-mxt_syoto02-000011235_2-1.pdf
嫌なことを我慢して学校に行くよりかは,つぶれる前に「行かない」選択をすることもありなのではないでしょうか?
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