またこの季節

お盆というのは、どうも苦手であると毎年のように書いている気がする。お盆と、それに加えて年末年始は、仕事もあるけれど、2日以上の休みがある。この時期が私にとって、最も決まって体調、特に精神的なバランスを崩してしまう。

特に意識はしてなかったが、ここまで落ちるときがこの時期に重なってくると、やはりお盆と年末年始というものを乗り越えるのが大変な人なんだろう。どこか実家に帰ったり、長期で旅行に出かけたり。テレビのない生活を続けているが、ニュースというか、世間の季節ごとのイベントに全く触れない生活はできない。遮断しているつもりでも、隙間のようなところから、暗いものを自分のこころのなかに見つけては、自動的に直面させられる。家族というものに対して、重みというか、諦めしか感じていない私の気分が、不安定になるし、落ち込むし、孤独がメインなのかな。

私には、もう誰もいないと思ってしまうのが、この2つの季節。祖父母が元気でいられるのも短いし、母とは愚痴の聞き役にしかならず、こころを通して関わることができない。必然的に、実家に帰って楽しいなんてことはなく、あと祖父母と何回会えるのか考えて、母を憎むのをやめてから妥協している自分の姿しかない。いまという、この瞬間を楽しめる時間ではないので、泊まったりすると、疲れが何日も続くことになるので、さっさと帰ることにしている。

ただ、一人暮らしとうつ病の治療の長さがほぼ同じなので、どうも一人で居続けるのも、精神的なダメージがある。日頃は考えないが、誰かと親密な関係をつくりたいにも関わらず、一人で静かに籠って余生を送りたいという矛盾した気持ちにさせてくれる。誰かと関わるということは、自分が否定されるという不安を抱えながら、じっと耐え続ける作業のように思ってしまう。人は安全なものとして認識できないところがあるので、危険なものとして、近くにいる関係になると、信頼されなくなる前に関係を切りたくなる。傷つく前に、自分を守りたいだけ。この自分の考え方や実際に行動しようとする自分を制御することにエネルギーを使って、相手を傷つけないように自分で自爆するパターンも経験している。これではダメだからと分かってはいるものの、過去は二度と同じ状況でやってこないけれども、類似点の多い場面になってくると、自動的に再生されるものがあって、脳が疲れ切ってしまう。結果として、自分がダメージを負うことばかりで、そこを耐え抜いて新しい未来をつくるところまでに到達できていない。この壁が分厚い。うつは寛解しているはずであるが、どうも思考の形式というものはそう簡単には変えることができない。

今日も手帳に今の自分の状況を客観的にみないと、さらにうつ状態に落ちると思って、今の精神状態がどこから来たのか書き出してみた。過去のトラウマ的なものから少しずつ新しい対人関係をつくれている部分には安心するが、やはり、この乗り越え方が分からないというか、季節のように一年に2回は深刻に悩んで苦しみを味わっている。過去の整理は進んでいるけれども、現在という時も止まってはくれないので、現在、未来の課題も同時に処理していかなければならない。機械的にできるものであればいいが、どうも取扱説明書はないので、毎回自作しているよう。しかも、簡単に壊れてしまいそうな繊細な作業であって、そこに向き合えるだけの体力はかろうじてあるが、明日には疲れている状態で仕事に出ていることであろう。時間というものは、すべての人に平等に与えられるものであるが、その時間がその人にとって、どのような時間になるのか、どのくらい自分の意思の力で行動を決定できるものなのだろうか。常に自分というものは何かに捕らわれていて、その犯人の顔を見ながら、不自由な手足を使って逃げ切ることができるか、ゲームをしているような感覚になる。どんな方法を使っても、毎年毎年、正攻法の攻略の仕方も異なるだろし、私の課題というもの、抱えているものも種類が違う。

ただ、この孤独感だけは、うつという病気によるものではなく、この世に生まれたことによって背負っているものであるように思えてくる年頃になってきている。だましだまし、この歳までがんばってきたが、まだ頑張らないといけないのか。放置していても、未来に負債を数倍にして残すようで、結局、自分の傷つきや弱さを考えることをやめられないのである。こういう気持ちにならずに、ディズニーランドなんかで楽しく過ごせる人々とは、どうも遠くの存在に感じられる。夢の国にいっても、自分が自分であることだけは変えようもないことであって、現実をそこまで生きた先に、夢があってもいいとは思うけれども、私はディズニーランドの入場券を手に入れようとはまだ思わない。夢の世界があっても、自分であることに苦しみ続けて、偽りの自己なんてすぐに崩壊するから、現実に一瞬で引き戻されるだろう。

自分を大切にすることがどんなことなのか、今の私にはよく分かっていないし、取るべき行動も分からない。ただ、食べて寝れば、明日から仕事になることは確かなことらしい。とりあえず、腱鞘炎が痛い。