見出し画像

内感、内観のススメ

ボーカルという楽器は内付け

例えばピアノを演奏する….
となった時、楽器は目に見えている、
あるいは手が届いて感じるところにあります。
この鍵盤を押すとこの音程が出る、その次の鍵盤は半音上がった、あるいは下がった音が出る…
肉体の動きが目に見えるところ、あるいは感触にあるところにあります。

声はどうでしょうか。
肉体内に内付です。
ピアノでいうならば指で鍵盤を押す力もボーカルでは内っ側、
お腹のインナーマッスルでコントロール。
音程を創るチューニングも喉の中。
音を響かせるスペースも口の奥、頭の中、胸など。
ヴォーカルは目に見える口の動き以外、ほぼ肉体の内側です。
その口でさえ、鏡でうつさない限り、同時に見ることはできません。


『声を出す』 ということ

楽器が内付であるため、色々な部位の動かし方を感じるには意識を肉体の内側へ向ける必要があります。
しかしながら、声を意識的に出すとき、外に向かって放つ、
そんなイメージが声に結びついていることがよくあるように感じます。
声が肉体の外に出ていくものだと思うと、意識は外に向き、声と共にあることが難しくなります。


内感。内観。

自分で練習するとき、レッスンでお伝えするとき、
兎にも角にも肉体で何を感じるか、にフォーカスするようにしています。
今はどういう姿勢か、
呼吸はどんな具合?
感情がどこにあるか、
肉体的にどこの部位が動いているか、
どこの部位が緊張状態にあるか、
歌う息の量がどれくらい?スピードはどれくらい?
ただただ体感して、その感触を味わうことで、コントロール方法を学んでいきます。

音程が安定せず、声自体も揺れやすい人に
『あなたの意識は今どこにありますか』と聴いてみたとき
ほとんどのケース、空中に手をあげて『この辺りです』、体の中ではなく外に意識があるとおっしゃいます。
その際、『意識を体の中に入れてください』とお願いすると、
それだけで、音程が安定し、音に芯が生まれてきます。
私もそう導きながらも、その声の変化にはいつも驚くほどです。

声の波紋を広げる

声の在り方をイメージするとき、いつも2つの絵が浮かんできます。
先ほど書いた、
『声を出す』
そしてもう一つは
『声の波紋を広げる』
声は肉体の中で生まれ、そこにある。そしてその響きは波紋のように広がっていく。
このイメージでいると、より、声を生む肉体にフォーカスを向けやすくなります。
と同時に、声に込めたい感情や想いにもフォーカスしやすくなります。








いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集