ルドンにトリビュート、春の花のアレンジ
春ですね。
皆さんは、春夏秋冬と聞いて、何を思い浮かべますか。
私の場合の四季は、絵画に例えると春はルドンのパステル画、夏はゴッホのひまわり、秋はギュスターヴ・モローの神話の絵、冬はフジタのパリの雪景色です。
ルドンを思いながら、ポピーとラナンキュラスを生けてみました。
「あのー丸いものが2つ飛び出してますけど、これって無いほうがいいんじゃありませんか?」なんて言いかけてません?
いえいえ、このポピーの蕾こそ、私の中ではルドンの象徴です。
ルドンのお話をしましょう。
彼はフランスで19世紀後半を生きた画家です。
モネやゴッホなどの印象派と同じ時期ですが、作風は全く違うものです。
ルドンを日本で有名にしたのは、丸の内の三菱一号館美術館が所蔵する「グラン・ブーケ」という青い花瓶に生けられた花の絵だと思うんですが、私は初めてこの絵を見たとき、「え、私の好きなルドンではない…」と思いました。
グランブーケ(1897年、三菱一号館美術館)
ルドンといえば、このように華やかで優しいタッチのパステル画をイメージされるかもしれませんが、実はモノクロの版画のキャリアのほうが長い画家です。そのモチーフは現実には存在しないルドンの心象風景を表現したものです。
眼=気球(1878年、ニューヨーク近代美術館)
自分の人生をたどってみるとルドンのこういった作品が自分の心情にぴったりと重なり、集中してルドンを見た時期がありました。
鬱々として暗い、圧倒的な孤独感。
わざわざ苦労や試行錯誤を選ばなくても何とかなるさと考える楽観主義者には「なんだ、この絵は」と敬遠されることでしょう。
Strange Flower ,Little Sister of the Poor (1880年、シカゴ美術館)
特にポピーの蕾を見るとこの絵画、Strange Flower を思い出し、ルドンにトリビュートするかたちでアレンジしました。
なぜ、ルドンは、絶望感にさいなまれるようなモノクロの作品から明るいパステル画へ移れたのか、興味ありませんか?
彼の心情をそうさせた人生の出来事が起きたのですが、それはまたの機会にルドンをイメージした料理とともにお届けしますね。
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