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キュンとすることはできなかったけど、共感は得られた話
昨日、久しぶりに西武池袋線に乗った。
目的は、練馬区立牧野記念庭園に行くためだ。
見学が終わって最寄り駅の大泉学園駅が近づくにつれ、私の頭の中に一つの考えが浮かんできた。
あれ?この路線、昔住んでいた。よね。
ん?ここから近い。よね。
まだ、時間もある。ね。
冷たい雨が降っていてちょっと寒いけど、行ってみる?
どうしようか。
頭の中で二人の私が会話を始める。
考えながらも、改札を抜け、ホームに着く。
平日の昼間だというのに、朝のラッシュのように電車を待つ人がたくさんいる。どうやら人身事故があってダイヤが上下線とも乱れているらしい。
ここから帰るには上り、昔住んでいたところに行くには下り電車に乗る必要がある。
どうしよう。
先にホームに滑り込んできた電車は、下り電車だった。
よし!行ってみよう。
車窓から眺める風景に懐かしさを感じる間もなく、すぐに目的地に着いた。
果たして、私はウン十年ぶりに昔住んでいた駅へ降り立った。
あれ?
少しも懐かしさを感じない。何コレ。
駅舎が高架になっている。
駅前に立派なロータリーがある。
イヤイヤ、当時あったのは野菜の無人スタンドだ。
道路が広いぞ。
イヤイヤ、セダンが2台すれ違うのも大変なくらい狭い道だったよ。
方向音痴だから、降り口間違えたかな?
地図を確認する。間違えていない。
少し歩いてみよう。
イヤイヤ、こんなにお店も家もなかったぞ。
駅前にこんな立派な公園あったけ?
歩けども、歩けども、そこは知らない街並みが続いているだけだった。
当時の面影ゼロだ!
昔、住んでいた家のある場所はその駅から歩いて行くには少々遠かった。
私は、帰ることにした。
夜、事の顛末を夫に話した。
うんうんと頷きながら、夫はスマホで地図アプリを開いているようだった。
あー、ほんどだね。
全然変わっちゃってるね。
うん、うん。言っていることよくわかるよ。
えー、こんな街並みになったんだ。
今度は、地図からストリートビューに切り替えて見ている。
それからしばらくの間、私たちはこの辺に学校があったはずとか、ゴルフの打ちっ放しはまだあるんだねとか、もうちょっと先に大きいスーパーがあったよね、などと昔話に花を咲かせた。
昔住んでいたところ巡りは、当時のことを思い出し胸がキュンとなる。
残念ながら今回はそうならなかった。
開発が進み、街並みが大幅に変わってしまったのだ。
でも、今日はいろいろと夫から共感を得られ、昔を振り返ることができたからよしとしよう。
いつもはまるで、業務連絡のような会話だけだもんね。
私 「明日は、出社?リモート?」
夫 「出社」
私 「朝から、終日?」
夫 「朝から、終日」
以上、終わり。