留学生
授業中Sさんが、ノートに一生懸命何やら書いている。
熱心だなぁと思いつつも、何か違和感を覚え、机間巡視するふりをしてSさんの席に近づく。
背後からそっとノートに目を向ける。
ん?んん?
これって・・・
ノートの下にメニューらしきものが見える。
「Sさ~ん、今、それ書かないでください。授業中です。」
「先生、すみません」
♢
休み時間。
「先生、焼き鳥の名前、わかりますか? 難しいです。
ぽんじり・かんむり・せせり・・・」
「むずかしいですね。アルバイトですか?」
「はい。先生、店、来てください。サービスします!」
難しいと言いながら、翌週そのクラスに入ったときにはSさんはもう完璧に焼き鳥メニューを覚えたようだった。
♢
会話の授業で、店員さんと客の設定でロールプレイをやってもらうと、アルバイトをしている学生が得意げに言う。
これが、とてもうまい。教室が一瞬で居酒屋になったり、ベトナム料理店になったり、中華料理店になる。
コンビニやレストランで留学生くらいの年齢の人が働いていると、毎回心の中でエールを送ってしまう。
「どこの日本語学校かな。がんばってね!!!」
もうすぐ始まる新学期。今年はどんな学生に出会うのだろう。
来日間もない学生はとても緊張している。
実は、私も少し緊張している。でも、ワクワクもしている。
最後までお読みいただきありがとうございます。
また、次のnoteでお会いしましょう。