勝手にNPT再検討会議
こんにちは。
昨日ピースボート主催で行われた「”勝手に”オンラインNPT再検討会議2020」をYoutubeで傍聴していたので、そのときのことを。
いくつか前の記事で書きましたが、今年のNPTはコロナウィルスの影響で延期されています。なので、国際NGOピースボートが「勝手に」NPTをオンラインで開きました。オンラインということで600人以上の参加があったようです。こういうイベントをもし東京とかで行っても、100人来るか来ないかだと思うし、なにより幅広い年齢層は集まらなかったと思うので、よい機会になったなあと思っています。
今回は大きく2部構成で、1部では3人の人から話を聞き、2部では核廃絶について精力的に活動している団体や議員の方からそれぞれ発言をする形でした。
1部のはじめは、長崎大学核兵器廃絶研究センター准教授の中村桂子先生から「NPTをめぐる今日の主要な論点」というタイトルで講義。
主な論点は3つあります。
① 核軍縮:原点に回帰できるか?
NPTとは、核兵器国と非核兵器国の取引と約束の関係があります。つまり核兵器国には核軍縮(=核兵器をなくしていく)義務がありますが、NPT発効から50年が経った現在でも、世界に核兵器は存在しています。数的には減っていますが、低威力核弾頭などの新型技術が開発され、威力が上がっているんです。そう、核兵器国は全く約束を守っていない!なので、原点に返り、核軍縮の約束を取り決められるかということです。
②中東決議の履行:前進が図れるか
中東の核廃絶の問題は長い間議論が行われてきました。1974年以降からエジプトを中心に非核兵器地帯の設置を提案しており、1995年には非核兵器地帯設置へ向けての「中東決議」が採択されています。しかし、イスラエルと他の地域での対立が続き、進展はしていません。しかし、2019年の11月に国連で非核兵器地帯設置へ向けた会議が開かれ、2020年11月に第2回目を開催予定です。この地域の非核化が進めば、核軍縮も大きな1歩になるはずです。
③ 深まる亀裂:「橋渡し」は可能か
橋渡しとは、世界市民と核兵器国との間を取り持つようなことですが、具体的には日本やスウェーデンがその役割を担っている感じです。ですが、日本は核の傘に守られた国です。NPTの第6条にある核軍縮は、核兵器国だけに課せられた課題ではなく、非核兵器国も核軍縮が行われる世界の仕組みづくりに貢献していかなければいけません。まずは自分たちのスタンスをはっきり決めることが重要です。
続いては、ICAN国際運営委員/ピースボート共同代表の川崎哲さんから「NPTと核兵器禁止条約」というタイトルで講義。
3年前に核兵器禁止条約が採択され、それがNPTの中でも1つの対立軸になっています。核保有国は「保有国が支持していない核兵器禁止条約に意味はない」という立場ですが、第6条を完全履行するためには、この条約は必要不可欠です。なぜならNPTとは核軍縮のための条約だから。禁止条約には現在、81ヵ国が署名、36ヵ国が批准しています。発効まではあと14ヵ国の批准が必要となり、早くて今年中に発効する見通しです。そうなれば、「核兵器を持ってはいけない」というルールが世界で初めて誕生するんです。
最後にピースボートの畠山澄子さんから「新たな技術と核兵器」というタイトルで、核兵器の偶発的なリスクが高まっていることや、新しいサイバー兵器などが開発されている現状のお話がありました。
こういう話って興味がある人はもちろん聞きに行くんだけど、「気になるけどなあ」って思っている人が会場に行って実際に話を聞くのはわりとハードルがあると思うの。そもそも言葉がわからなかったり、スピードが速かったりするから。でも、この時期だからこそオンラインで行うことによって、いつもは聞きに来れない人が触れるきっかけになったと思う。だって600人も核兵器について考えていたなんて、信じられないくらいうれしい。
この会議の内容は自分とは関係のない遠いところの話に聞こえるかもしれないけど、核兵器禁止条約ができる舞台裏には、たくさんの被爆者の方や数えきれないくらい各国で動いていた市民の力があるの。だからこの条約は採択された。そういう市民からの動きは誰にだってできるし、気軽にできる。
例えば、オンライン署名。核兵器禁止条約の発効へ向けての署名をやっています。ぜひご協力ください。
また、学生限定でこんな企画も。わたしも学生だったら参加したかったなあ。こういうので人と繋がって、「頑張っているのってわたしだけじゃない」って思うことは大切。
核兵器のことを勉強したりしていると、「意識高い系」というレッテルを張られがちなんだけど、そんなことないと思う。だってみんな、今コロナがやばいと思って政治に関心を寄せてて、情報を得ているでしょ?わたしにとって核兵器もそれと一緒なんだよね。今すぐ自分に影響するわけじゃないけど、でも知らぬ間に脅威にさらされ続けたくない。それに「なくしたい」って言う友達のおじいちゃんやおばあちゃんたちと同じように、わたしも「なくしたい」と思う。核兵器のことが日本でもっとハードルが下がればいいなあ。そういうきっかけづくりがしたいなあと思っております。