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【反戦反論1】ウクライナ危機~民主主義の正義とアメリカが動けない理由⑮
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ロシアによるウクライナ侵攻が始まってしまいました。
ウクライナの人にしても、ロシア兵にしてもいずれも被害を受けた方、犠牲となられた方がいることは大変痛ましい出来事です。
昨年秋頃からきな臭い予兆はあって年始の記事でも特に警戒すべきことの一つとして取り上げていたですが、兎に角目まぐるしく変化する情勢に振り回されて自分の立ち位置を見失う事がないようにしたいと気持ちを新たにしています。
今回のウクライナ侵攻で「日本も対岸の火事ではない」「今日のウクライナは明日の日本だ」と言った声が各所で聴こえてきます。
また中国・北朝鮮による台湾進攻・東シナ有事を誘発するのではないかという危機感も高まっています。
日本でも珍しく渋谷などで反戦デモが起き、少し前までは考えられなかった変化が日本人にも起き始めているのかもしれません。
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日本では長らく議論されていながら遅々として進展が見られなかった「憲法上の自衛隊の位置づけ」「敵基地攻撃能力」「軍隊」「憲法9条改正」「国防費増強」「日米安保の見直し」などが2022年7月下旬の参議院選挙までに国内でも一気に進む可能性があります。
こうした時にこそ、特に気を付けなければいけない事があります。
戦争は反対ですが、反論も考えたい
言うに及ばず、私は「戦争反対」を無責任に唱える理想論者です。
如何なる理由があっても武器や暴力、"力の行使"によって相手を屈服・支配して奪うことは受け入れがたく、それは戦争や紛争だけでなく日常生活においてイチャモンをつけられたとかでも基本はまず話し合うべきだと考えています。
"力"は強き者が弱き者から奪うためではなく、強き者が弱き者が自立できるようにこそ使われてほしいと願います。
また強き者が心を磨き、精神的に更に成長する事を目指すのが武道(柔道)ではないでしょうか。
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しかし戦争や紛争、揉め事というのは得てして当事者同士にしか分かり合えないものがあるとも思います。
話し合いましょうと交渉のテーブルが設けられても、お互いが納得する形での決着がハナから見込めない場合、どうするべきでしょうか。
交渉のテーブルにさえ着かない(相手の言う事を全く受け入れない)ことも一つの意思表示です。
とりあえずテーブルに着いて相手の言い分を聴こうというのも、1つの国際社会に向けたパフォーマンスになるかもしれません。
協議の場に参加して真剣にお互いの意見を話し合うのも、その振りをすることも一つの方法かもしれません。
周囲に「アイツはこんなひどいことをした」と訴えて世論やデモによって外交問題や経済制裁などを促すことも選択肢の一つです。
ウクライナとロシア、どちらにもそれぞれの指導者や国としての正義だと信じている考え方があり、それを見守るアメリカやEU、NATOなどにもそれぞれの思惑があります。
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私は戦争は反対です。銃やミサイルを打つ手を止めてほしいと願います。
けれど、一方的に民主主義陣営型による報道と「ウクライナは被害者」という見方は一面で正しくても、ロシアの側からすれば「ふざけるな」ということもないのでしょうか。
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ナチスドイツの教訓(WWⅡ)は欧州諸国にとってとても重い言葉だったはず
メディアが連日のように繰り返して報道する内容を観ると「ウクライナは犠牲者」、「攻めたロシアは悪」という白黒分かりやすい報道ばかりが流れてきます。
確かに軍人でもないウクライナの人々にまで被害が出たりしているのは残酷だと思いますし、犠牲者が出ているのが事実でしょう。
しかし、戦争・紛争はそもそもいつだって残虐非道で無慈悲です。
今のウクライナとロシアは平時ではなく、戦争をしているのです。
軍人だから、単に命令されたとおりに動いているだけで人を殺せるのでしょうか?
相手はわずか30年前まで同じソビエト連邦だった国の同胞です。
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いえ、もっとさかのぼれば12世紀頃、キエフ・ルーシ(一般名キエフ公国、英:Kievan Rus')と呼ばれ、現在のウクライナ(首都キエフ)とロシア(ルーシ)は一つの連合公国でした。
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ロシアの語源となったルーシ、今日ベラルーシなどにも残っていますね。
ベラルーシもソ連以前(1917年)に一緒の国だったのです。
ロシア軍にはロシア軍の正義だと信じている物があるのではないでしょうか?
そうでないならロシア軍がプーチン大統領にクーデターを起こすでしょう。
彼らは何故、そうしないのでしょう?(できないのでしょう?)
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私はテレビやメディアから一方的に流れてくる情報を「本当か?」と常に穿ってかかっています。特にマスメディアを原則として信用していません。
酷いことが起きている、被害に遭った方や犠牲になった方には哀悼の意を捧げます。
街が破壊され、人が大勢亡くなっている…起きていることは事実でしょう。(映像が加工されていたらもう見分けがつかないが)
けれど何故、ロシアは国際社会からも猛反対されるような強引な力の行使に及んでしまったのか。
プーチンだって少し考えれば分かりそうなことを踏み越えて、一体何を考えているのか。
困っているウクライナを助けよう…これは至極当然の感情です。
けれど戦争は合理性からは決して始まりません。
戦争や紛争はいつも誤算から始まってしまうのです。
どちらも自分が正しいと思っていなければ、戦争は起こりません。
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これが私の立ち位置です。
また今回はアメリカを中心とした民主主義陣営(と私が思っている側)からの見方です。
「アメリカは何故、派兵しないのか」
考えがまとまりそうなら権威主義陣営(ロシア側)からの見方も書きたいと思います。
今のままだとウクライナは善戦していますが、ゼレンスキー大統領は殺害され、より犠牲となるウクライナ国民が出てしまいます。
無責任な理想論と権威主義への誤解
ちなみに私が持論を「無責任な理想論」と説くのは、私自身が欧米を中心とした民主主義陣営(日本)の経済圏の中で生活をしながら資本主義の恩恵を受けているからです。
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一方で民主主義の問題、格差の拡大や民意の暴走が世界的に無視できない規模に拡大し、将来的には今日の欧米や日本の属する民主主義からやがて社会主義を経て、現在は世界のどこにも存在しない「共産主義」へやがていつか行き着くというマルクスの思想に完全な同意ではないまでも、やはりそういう方向に進んでいくだろうと感じるところがあるからです。
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権威主義が常に間違っていて、民主主義が常に正しいということはありえません。むしろ人間が話し合いで決める事の方が沢山の人の意図が絡み合いそして、人間は何度も過ちを繰り返してきたのです。
(かといってマルクス主義者や権威主義支持者かと問われればそうではない、私はお金が大好きだし、努力した見返りに得られる成果というのはやはり個人の喜びだと思う器の大きくはない人間なので)
やがていつかとは数十年先かもしれませんし、数百~数千年後かもしれません。人類が生き延びていればの話ですが。
また、もしかしたら十年ちょっとかもしれません。
ロシアはソ連崩壊で社会主義ではなくなりました。経済面では資本主義を採用し、政治面では国民投票によって首相・大統領を選んでいるので形の上では民主主義と言えます。
(だからこそSWIFTなどの経済制裁が効果を期待されているわけです)
しかし実態は権威主義(専制主義)、プーチンが権力を握った独裁政権です。
ウクライナ侵攻は権威主義による、民主主義への侵略戦争です。
繰り返しますが、今回は民主主義側からの視点でお届けします。
国連・NATO・アメリカが動けないのは…
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ウクライナがEUにもNATOにも加盟をしていないから、EUもNATOも動けないなんてそんなバカな話があるのかと思ってテレビを観ている多くの人は「非加盟国を助けようとして間違えたら第三次世界大戦に本当に発展するかも…」というコメンテーターや専門家の説明は、確かに一面でその通りですが、その前に考えなければいけない事があります。
困っている国、攻め込まれている国があったら派兵して戦争・侵攻をしないように仲裁に入るのが真の正義ではないでしょうか。
本来であれば国際連合(UN,国連)とは、そういう時のための組織でもあったのではないでしょうか?
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実はここにまず大きな矛盾があります。
国連という組織は総会・安全保障理事会・経済社会理事会・信託統治委員会・国際司法裁判所・事務局の6つの主要機関から成り立ち、「安全保障理事会」は、主に紛争や侵略行為の解決を目指す機関です。
しかし第二次世界大戦の戦勝国である連合国軍(United Nations)によって常任理事国が構成されています。
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常任理事国はアメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国*の五か国です。
*発足時はソ連、中華民国(現在の台湾政府)だがソ連は崩壊しロシアが引継ぎ、毛沢東によるクーデターで中華人民共和国が乗っ取った経緯がある
常任理事国には拒否権という権限が与えられ、一国でも拒否権を発動すると国連安保理の最終決議(軍隊を派兵するか)は採決されません。
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このため民主主義陣営と対立構造となるロシア・中国の権威主義陣営が対象となる戦争・紛争の場合には動くことが出来ません。
よって世界最大の加盟国を有する国連は強制力のない「ロシアへの完全即時撤退」「承認した2つの人民共和国とクリミア半島からの即時撤退」を要求するという世界各国のロシアに対する非難の声だけを採択することになりました。
ここに国際連合という世界の枠組みの限界(矛盾)が露呈しました。しかしこれらは冷戦期からずっと指摘されてきたことでもあります。
世界を二分する対立が米ソ冷戦終結(1991)以降に直接の危機として、常任理事国間で露呈したのは今回が久しい事だったのです。(間で代理戦争はたびたび起きていたが…)
では国連が動けないとしてもアメリカやNATOには牽制するだけの軍事力があったのではなかったのでしょうか?
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実はNATOの軍事力は実質的にアメリカの軍事力です。
そしてもっと直接的に言うのであればアメリカの軍事力(にかけられる経済力)には近年著しい陰りが見えてきています。
振り返るとベトナム戦争や湾岸戦争、アフガニスタン侵攻やシリア派兵など常に戦争・紛争に介入をしてきたイメージがあるアメリカ。
振り返るとおよそ2年に1度は戦争をしてきたことになります。
しかしそんなアメリカは朝鮮戦争後に戦争で勝利をしたことはありません。勝利数ゼロです。(朝鮮戦争をアメリカの勝利と呼べるのかは別として)
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特に911同時多発テロを契機に始まったアフガニスタン戦争以降は反戦世論の拡大と、戦って得られるものの少なさ。いわゆる侵略戦争は大変手間がかかります。
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また中東の石油利権も今やシェールガス・シェールオイル*で採算ラインとされる原油1バレル50~80ドルを大きく超えてきました。(ウクライナ侵攻で1バレル112ドル超に到達)
*通常の天然ガスや原油よりも深い所にあるため、コストがかかる。
NATOを含めた領域以上に領域を広げてアメリカに得策があるのだろうかという損得勘定もあります。
アメリカは海外領土を得たところで、維持・防衛するためには膨大なコストがかかります。
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強いてあげるなら軍事戦略上の重要な位置であるグリーンランドか、そうでなければ世界を全て掌握して世界政府でも作るのでなければ割に合わないでしょう。(グリーンランドにはアラスカのように資源が眠っている?)
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ウクライナを挟んで一触即発の中で、もし泥沼の世界大戦がはじまってしまったら困るのはむしろアメリカの方です。
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ウクライナへの米軍派兵をする考えはないと断言(一般教書演説)2022年3月1日
一方で一時間の演説で、ウクライナ侵攻については10分。残りは国内についての政策を説明
アメリカやNATOは本当にいよいよと判断されるまで*軍事力ではなく、SWIFTを始めとした国際決済やドル決済の停止などの経済制裁などを用いて事態の鎮静化を目指しています。
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これらの経済制裁がどれだけの効果なのかは未知数です。
思いのほか、効果的で締め上げられたロシアが軟化してくれると良いのですが、逆に強硬策に出てミサイルや核兵器を打ちまくるかもしれません。
(そうなると一番怖い…)
またSWIFTは欧米などが中心となっている金融システムのため、中国がイランなど権威主義(専制主義)の国を相手に独自に用いている金融システムを使われると迂回や資金供給がされてしまうリスクもあります。
今回のウクライナ侵攻で最終的に最も漁夫の利を得るのは中国になる予想もあります。
欧州へ売る予定だった石油や天然ガスを経済力のある中国へ安く売り、中国は資源高なのに安く買え、ロシアを経済という首輪で懐柔することになりますし、今以上の経済力・経済成長を手に入れる可能性があるからです。
そして、忘れてはならないのはこの覇権国家の陰りは第一次・第二次世界大戦におけるイギリスの凋落と似ているのです。
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資本主義と産業革命、七つの海を支配し、19世紀に軍事力と経済力で世界の覇権国家へと駆け上がった大英帝国(イギリス)は第一次(1914-1918)・第二次世界大戦(1939-1945)と度重なる欧州戦線による戦費調達で大量の戦時国債を発行してその債務に戦後半世紀以上も苦しめられることになりました。
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イギリスの戦費や経済的な支援をしながら、イギリスに代わって世界の覇権国家に立ったのが本土をほぼ直接戦火に晒されなかったアメリカであり、地球の反対側の太平洋戦争でもアメリカは日本に勝利をすることで我々が認識する「世界の警察」として持てる軍事力で旧ソ連を始めとした社会主義勢力ににらみを利かせてきました。
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今それが起きてしまうとアメリカはかつてのイギリスのように覇権国家から転落する危機に瀕しています。
アメリカが現在、最も警戒しているのはロシア以上に今や中国なのです。
(実は最大の敵はアメリカ国内なのだが)
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「アメリカは世界の警察」ではないと言及。この頃から陰りが顕在化してきた
経済面ではコロナ禍に入った2020年末時点でアメリカのGDPの3分の2にまで迫っている中国という経済大国の姿が迫っている状況だからです。
ここに先程のようなSWIFTによって追い込まれたロシアが中国の金融決済システムに救済され、エネルギー資源を安く調達できるようになって経済成長が加速すると…。
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中国は持てる経済力で日本に匹敵する世界最大規模の対外米国債保有国であり、その保有額は2021年2月時点で1兆1000億ドル(約120兆円)、日本はそれ僅差で上回る1兆2600億ドル(約137兆円)を保有しています。
かつてのイギリス(大英帝国)が覇権国家として君臨した大きな原動力が軍事力と経済(基軸通貨ポンド)と産業革命による生産性の向上だとすれば、アメリカが今日の世界の覇権国家として君臨している大きな原動力は米軍の軍事力とIT産業GAFAMTと経済(基軸通貨USドル)です。
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しかしIT産業は既にアメリカだけのものではなく、世界中でその生産性向上が期待され中国系のBATHなども台頭している第2フェーズへ移行しつつあります。
経済はどうでしょうか。
近年、急速に注目を集めている中央銀行デジタル通貨(CBDC:Central Bank Digital Currency)に大手先進国の中央銀行は動き出そうとしていません。
先進国としては現状の貨幣・紙幣システムで回っているためです。
しかしこれらがそうではない経済力のある国で普及し、世界的な影響力を持ってしまうと基軸通貨という優位性までも失ってしまいます。
先進諸国の中央銀行が自ら動かないのは将来はそうなるとしても、自らその引き金を引くことはできないというパラドックスに陥っているからです。
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また現在は金の裏付けがない不換紙幣としてドルが使われていますが、ニクソンショック以前までは金兌換制でした。
しかしいざという時、有事の際にその国の信用度の下支えをするのは最終的には金とも言われていて、金の保有量は国力の底力であり、近年中国は急速に伸びてきて日本を追い越しましたが、アメリカの保有量にはまだ遠く及びません。
米外交・露外交の伝統は今も顕在か
アメリカは世界支配など考えていないでしょう。
最近は中国を含む世界の二分が露呈してきていますが、バランスの取れた各国を相手にビジネスができる状態こそ望んでいるでしょう。
アメリカが望むのは伝統的なアメリカの外交理念であるモンロー主義に今もあるのではないかというのが個人的な見解です。
モンロー主義とは、平易な言葉で言えばアメリカ大陸にちょっかい出すなら容赦しないけど、その他の地域の外交問題には干渉しない*というスタンスです。
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*アメリカは南米は自分たちの縄張りだと思っている節はある。
これを応用して西側資本主義陣営が拡大解釈したのがNATOで、お互いの勢力圏にちょっかい出すなという牽制でもあります。
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ロシアは東西にとてつもなく長い国のため、ロシアから観て西側はヨーロッパ諸国と接していますが、反対側を観るとアラスカ州(元ロシアの土地を買収)とカナダを挟んで隣接することになります。
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隣接すると戦争・紛争が起きてしまう危険性が高いため、NATOを組織して欧州・カナダという緩衝地帯を設けています。
朝鮮半島が北朝鮮と韓国に分断されているのも、かつてドイツがベルリンの壁で西ドイツと東ドイツに分断されていたり、ベトナムが北ベトナムと南ベトナムに分断されていたのもそうした緩衝地帯だったためです。
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今回のウクライナも欧米の資本主義(自由民主主義)陣営と社会主義(権威主義)陣営の緩衝地帯であり、ここがどちらかの陣営に偏れば「おい、ちょっと待てよ」となりかねません。
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そしてウクライナが抱えているのは黒海という不凍港、冬場も氷で閉ざされない外海へつながる要所にあることもロシアが侵攻した大きな理由です。
北に位置するロシアは一年の内、ほぼ半年近く北極海を氷で閉ざされてしまうため近代から現代において陸軍・海軍・空軍の基本的な3兵力の内の海軍を秋から春にかけて使えません。出航しても帰る港が氷で閉ざされてしまうのです。
凍らない港を求め常に南下政策を試みるのはロシアの伝統的戦略です。
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そしてアジア方面ではそれを1860年に北京条約で獲得し、軍港ウラジオストック(「東方を支配する街」の意)ができたことで達成して補給拠点としても用いることを実現しました。
(距離的には北海道が警戒されるが、海峡を通過する意味では九州なども危険かもしれない)
ロシアのウクライナ侵攻と同時で中国が台湾・東シナ海有事となれば、アメリカが動かなければ後は転落していくだけです。
しかしウクライナ侵攻阻止でNATOとロシアとの戦争が始まると、台湾・東シナとの分散を余儀なくされます。これは最も避けたいシナリオなのです。
バイデンは弱腰な大統領か?
一方でNATOのような牽制は何も昨日今日できたものではありません。
米ソ冷戦期から各国と連携をして構築されてきた仕組みです。(NATOは1949年結成)
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愛嬌のある愛され大統領だったのに…
トランプ前大統領が仮に2020年大統領選挙で勝利して続投をしていれば、何をしでかすか分からない恐怖にロシアも中国も怯えておいそれとウクライナ侵攻(領土支配)という野心を出すことはしなかったかもしれません。
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しかし現実にはバイデン氏が大統領となり、就任から8か月ほど経った2021年8月31日にアフガニスタンからの撤退を宣言。
自身の後継者として期待していた最愛の息子ボー・バイデンがイラク戦争に従軍し、2015年に46歳という若さで脳腫瘍が原因で亡くなった息子を失う痛みを知る大統領は反戦と軍の撤退という世論を汲み取ったとも言えます。
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しかし個人としての優しさと国の指導者としての在り方は、時として多くの国民や人々を間違った方向に導いてしまいかねません。
非道と言われても、社会(世界)の共通の利益のために大きな決断を求められることがあります。
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父の失敗を反面教師に強いアメリカを示し、アフガニスタン侵攻・イラク戦争へ突入…。
現にアメリカ軍が2021年8月末で撤退したアフガニスタン臨時政府はあっという間に崩壊し、同年9月7日にはタリバン臨時政権によって乗っ取られてしまいました。
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また中東にアメリカ軍がいるという牽制はすぐ北上すれば旧ソ連国境にあたり、また中国西部の紛争地帯にも隣接している戦略上の防衛拠点でもありました。
せき止めていたアフガニスタン駐留米軍という重石が部隊の規模は兎も角として全くいなくなると、ロシア・中国はどう思うでしょうか?
「もしかしてバイデンは腰抜けか?」
2020年のアメリカ大統領選でバイデン氏の勝利が報じられると北京では何をしでかすか分からないトランプへの恐怖からほっとした空気になったと言います。(バイデンは中国寄りとか言われていたのもあるだろうが)
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【余談】近代戦争におけるミサイルと現在の戦争
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後にマンハッタン計画(原爆開発)にも参加した別名"人間の皮をかぶった悪魔"
第二次世界大戦の時と今日が大きく異なるのは核兵器は言わずもがな、20世紀に科学技術の飛躍的発展。
そしてコンピュータの進化などによって今や宇宙から相手の位置を正確に補足して、遠隔地からほぼ誤差10m以内となり超長距離ミサイルで迎撃が出来るまでに進歩してしまった事です。
![](https://assets.st-note.com/img/1646141982194-psyhCxmzci.png)
現在のミサイルの原型となる第二次世界末期のドイツのV2ロケットは最大射程192km~320kmでした。
当時としても驚異でしたが、命中精度(狙った場所から誤差7~17kmで発射したうちの44.5%しか目的地付近で爆発しない)などにも難があり、時には航空部隊が迎撃を可能なレベルでした。
しかし今や中距離核戦力(INF)でさえモスクワを中心に据えると欧州全域はおろかインド北部~モンゴル中部・中国西部を射程に捉えています。
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トランプ大統領は核兵力の老朽化などを理由に条約破棄したが、プーチン氏から見返りを?
またこうした状況でよく名前の登場する大陸間弾道弾ミサイル(ICBM)はこの5500kmを超える射程距離の長距離ミサイルで、近年では北朝鮮も開発に注力しています。
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こうした中距離ミサイルは第二次世界大戦の頃、いえ米ソ冷戦期が始まった頃にはまだ実現していなかったのです。
宇宙開発の歴史は米ソ冷戦の宇宙空間からのミサイル攻撃の優位性を競った歴史でもあり、ミサイル開発の応用によって宇宙ロケットが開発されていった経緯があります。
![](https://assets.st-note.com/img/1646142751591-9pPxqRezCa.png?width=1200)
冷戦期に米ソで競った宇宙ロケット開発競争は科学技術を大いに進歩させ、
冷戦後にアメリカとロシアは宇宙開発でも協力をし、NASAのスペースシャトル退役後の国際宇宙ステーションへのアクセスはロシアの宇宙船ソユーズが長年担当してきました。
そしてソユーズを始めとしたミサイル(ロケット)開発の技術力は1991年にソ連崩壊後から凡そ30年、一部ではアメリカを追い越して成熟してきたとも言えます。
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核以外のミサイル発射能力にも応用され射程距離が拡大しており、2008年時点でロシアの長距離戦略ミサイルは1万1000km超の発射実験に成功しています。
(核を積めばもっと飛ばせるらしいけれど、それだと核戦争になってしまうので…)
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長距離からのミサイルも恐怖ですが、近年もっと恐ろしいのはドローンによる都市部や住宅街などでの攻撃です。
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遠隔地の基地などから今やコントローラーでまるでFPSのゲームでもするように敵地を攻撃が可能です。
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ミサイルを落としたり発射するだけでなく、動画にあるような火炎放射器やマシンガンなどを装備させてしまえば過去ないほどの凄惨な暗殺もできてしまいます。
兵士に操縦させると躊躇うというのであればAIにディープラーニングで敵と味方を識別する学習をさせたらどうなるのでしょうか…。
あってはならないことですが、科学技術の進歩をすればするほど非人道的な戦術によって相手の戦略を駆逐することもできてしまうかもしれません。
既に将棋の名人がAIに負ける時代ですから、AI×ドローンを戦術兵器にしたらもはや人間は逃げても逃げても追いつめられて□されるだけになりかねません。
ロシアのAI技術がどの程度かは未知数ですが、中国はアメリカを一部では超える情報技術を持っていますから戦術兵器に導入し始めていたらお手上げです。
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あ、後継者はAIプーチン(習近平)?
個人の脳データを完全にコピーして複製体に移植してインストール…
これなら永遠の皇帝として君臨できるかもしれませんね。
ウクライナ・台湾だけではない、迫る欧州危機
冗談はさておき、現在最も警戒するべきは今回のウクライナ侵攻でアメリカが動かなかったことによってロシア・中国・北朝鮮に対して「アメリカは他国で有事があっても動かないのでは?」という誤解を与えてしまった可能性でしょう。
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最も懸念されるのは3月13日の北京パラリンピック終了後に、ウクライナ侵攻が止む前に台湾侵攻が起きれば次は沖縄・九州、ロシアはどさくさに紛れて北海道へ攻めてくるかもしれません。
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ロシアは太平洋戦争末期、ポツダム宣言受諾の間隙を縫って進出して北方領土を占有した国です。油断なりません。
また先にも既に触れましたが中国が持てる経済力でロシアから資源などを購入することでロシアを間接的に支援しているとするならば、ウクライナ侵攻の責任を中国も国際社会から間接的に問われることになりかねません。
国連安保理事会で中国はロシアへの制裁への投票を棄権しました。
しかしここで意外だったのがインドもまた棄権をしたことです。
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インドは中国けん制をするうえでインド太平洋版NATOであるQUADの同盟国です。日本ともアメリカとも非常に連携をしてきた、また中国有事の際には一緒になって動く同盟国のはずでした。
しかし長らくミサイル兵器などをロシアから購入していたインドにとって、ロシア制裁は今後のことを考えた際に国際社会と足並みをそろえることをためらう状況だったことが露呈しました。
そしてこうした動きは何もインドだけでなく、中国とヨーロッパの関係にも伺えます。
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中線(中緯)ではヨーロッパへ入っていく経路はまさにウクライナルートです。
ドイツが中国とズブズブの関係であることを考えると、中国はアメリカ・日本などの意識を台湾へ向けさせています。
しかし台湾という領域を侵攻して得る以上に、実はそれよりもまず先にヨーロッパへ一帯一路政策でユーラシア全域を支配域として取り込んでしまうかもしれません。
これがウクライナ・台湾同時侵攻から始まる第三次世界大戦の次に警戒される第二のシナリオ(悪手)です。
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さて次回②では、権威主義サイド(主導者側)から観た場合の民主主義と権威主義の違い、過去にも同じようなことが起きてきた事例をプーチン大統領の経歴を交えながら書いていきます。
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