【動画🎓🎞️】低コストファンドは顧客資産を増やす事が目的でなくなる～『お金の教科書STEP5.0』5-5

オルバー・ストーン監督が1987年に公開した映画『ウォール街』を観たことはあるでしょうか?

上昇志向の強い証券会社の営業マンのバド・フォックス(演チャーリー・シーン)が、40代にして富裕層のゴードン・ゲッコー(演マイケル・ダグラス)を顧客として抱え込み、大儲けしようとインサイダー取引に手を染めて成り上がっていく物語。

証券マンが顧客に一斉に電話で株を売り込む様子…

オリヴァー・ストーン監督の父親はウォール街で成功を収めたユダヤ系の株式ブローカーだったこともあり、映画は1980年代当時の証券会社・投資銀行を忠実に再現。

ゴードン・ゲッコー(マイケル・ダグラス)

更に、金で金を生むことに誰もが血道を上げた１９８０年代のウォール街で最も稼いだトレーダーがインサイダー取引で逮捕されるという社会的関心もあり、金融サスペンスとしても評価された作品でした。

映画『ウォール街』の非情な投資家ゴードン・ゲッコーのモデルになった大物トレーダー、死去

ジャパン・バッシングと呼ばれた時代
ホワイトハウス前で東芝製ラジカセを破壊する抗議デモ

当時は1980年代前半に行き過ぎたドル高(通貨高)による双子の赤字を是正する協調介入、プラザ合意によって急激に通貨安が景気を底上げし、日本に追いつかれつつあった米国経済が復活した時代。

アップルコンピュータの創業者の一人スティーブ・ジョブズが自身の創業した会社を追放された年でもあり、またMicrosoftからWindows1.0が発売された年でもあります。

同社は1987年にWindows2.0、1991年にWindows3.0が相次いでリリースし、アメリカは2000年代初頭まで続くITバブルの入口に立っていた時代でもあります。

弱肉強食、強欲と金権主義…

株主総会で議決権を行使し、投資家還元を経営陣に要求をするゴードン・ゲッコー

「重要なのは、紳士淑女の皆さん、強欲は、なんというか、善であるということだ」「強欲は正しい。強欲は役に立つ。強欲は進化の精神を明確にし、切り開き、惹きつけるのだ」

監督の意向とは別に、過剰な資本主義のまん延による人々の倫理観の崩壊、儲かりさえすれば豊かで幸せな暮らしができるのだということを志向する多くの若者にこの映画は支持され、証券会社・投資銀行へ就職をする人たちが増えた程とされています。

映画『ウォール街』は1980年代後半の米国の証券会社のリアルな実態を知るうえで非常に貴重な作品でもあります。

1970年代後半に米国ではERISA法(1974)に基づき、企業の確定給付年金(DB)から分散投資が法律で義務化され、確定拠出年金(DC/401k/IRA)が本格的な普及を始めた時代。

この運用先としてインデックス・ファンドが広く認知され、バートン・マルキール著『ウォール街のランダムウォーカー』(1973)が"投資の聖書"としてあがめられた時代です。

1992年の第5版から日本語訳が発表された

しかし映画の中でインデックスファンドについては全くと言って良いほど出て来ないことが証券会社・投資銀行の当時の実態としてもよく表れています。

日本初のインデックスファンドは1985年、国際投信委託(現:三菱UFJアセットマネジメント)から発売された。

日本のインデックス運用、曲折の歴史　はじめての投資信託　実践編（36） - 日本経済新聞

現在、日本では個人型確定拠出年金iDeCo(2017)やつみたてNISA(2018-2023)、新NISA(2024-)が本格的に普及を始め、金融庁が主導してインデックスファンドを軸とした「長期・分散・積立」が普及を始めています。

購入時手数料ゼロ(ノーロード)や信託報酬の安さなどが支持されているインデックスファンドですが、多くの資産運用会社が乱立しコスト競争状態となり始めていることが危惧されています。

また多くの初心者投資家の中には「インデックスファンド*にお金を入れておけば資産が増える」と誤解をしている方たちも少なくありません。

*オルカンやS&P500など

アクティブファンドの運用目的がベンチマーク(BM)を上回る「長期的な収益を上げる」ことであることに対して、インデックスファンドはBMと連動することが運用方針であり、顧客の資産を増やすことを目的とはしていません。

どうやら投資家にとってのインデックスファンドとアクティブ運用と、資産運用会社にとって運用の目的と目標が異なるようです。

インデックスファンドの特徴と仕組み、資産運用会社にとってインデックスファンドはどういう所に主眼が置かれた商品であるかを確認したいと思います。

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