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【FPA】患者調査2020~疾病別入院日数・性別・年齢別カラー分け表🤝

保険募集人として医療保険やがん保険、ガンを含む三大・八大疾病などの特定疾病保険の相談・提案時にお客様からどんな病気で「何日くらい入院するのか」というご質問を受けることがあります。


こうした時、「論理データを用いて、感情に訴えよ」は基本中の基本。

こうした際に保険募集人やFPたちが一つの参考データとして活用するのが、保険会社のパンフレットやデータブック・販売資料などですが、保険会社の医療保険・がん保険・特定疾病保険のこれらはその商品を売りたい側が作成しているのでそのまま受け入れる保険会社にとって都合の良い消費者にとっては良いのですが、データの信頼性はそれほど高くありません


たとえばですが、パンフレットに○○(病名)で患者数が○○万人と書いていても、それがすなわちその保険で保障している保険金・給付金の支払いに該当する人数ではありません。

その中の所定の条件(治療のために入院や健康保険適用の手術など)を満たした場合に保険金は支払われるものだからです。

保険会社は保険料を決定する際のリスクを細かく分析しており、患者数/対象年齢人口で算出する分母確率と、分子を所定の条件によって絞りこみ、契約者から預かる保険料は多く、支払う保険料は少なくなるように一定の幅を持たせています。

これが悪いという話ではなく、金融全般やビジネスなどにも通じますが、「起こる頻度は少ないが、一度でも起きたら預貯金で補いきれない」テールリスクに対して契約者・保険会社双方にとって効果的なお金の使い方に還元することができています。


保険会社の商品パンフレットなどを参考にできないとしたら同じ保険会社のデータブックも実はあまり参考になりません。

それを念頭において作成されていれば、印象を寄せる事ができるからです。

ではどうすればよいのかと言えば、1つは提案している保険会社のものではない、他保険会社のデータブック・販売資料などを参考にすることで客観性を確保します。

しかし結局は同じ穴のむじな…同じトレンドの波に乗っている売りたい側の理屈の可能性もあります。

 (`∀´)Ψ (・∀・;)アマノジャクダネ

異なる視点を持つとなると厚労省のデータを参考に作成している生命保険文化センターの「入院した場合、入院日数は何日くらい?」や同センターの冊子「医療保障ガイド」などを活用する方法もあります。

ちなみに生命保険文化センターのWEBでは以下のようになっています。

そもそも全傷害&全疾病かつ男女全てを平均入院日数で算出してしまうところにお粗末さを感じませんか?

データを観る人がどんな人かを十分に想像して作成されておらず、データを鵜呑みにすると誤解をしてしまいかねません。

統合失調症570.6日、気分(感情)障害137.4日、アルツハイマー病273.0日、血管性及び詳細不明の認知症312.0日…現代は特に精神疾患患者数が増えていますので、これらに平均が引っ張られていることを考慮すると平均入院日数が全年齢で32.3日だからを基準に「30日型」「60日型」などを選ぶのも必ずしも適切とは言えません。

また年齢区分の括り方が大雑把すぎ、0~14歳、15~34歳、35~64歳、65歳以上(70歳以上を含む)、70歳以上と嘘みたいな表記をしています。

まず15~34歳・35~65歳という括り方に無理がありますし、何の参考になるのでしょうか。

データを利用する側に立って表を作るなら0歳・1~3歳・4~6歳(or未就学児でまとめる)、7~12歳・13~15歳(or義務教育期間でまとめる)、16~18歳・19~20歳と一般的に所属する教育課程に合わせ、多くの社会人を21~30歳、31~40歳、41~50歳、51~60歳・61~65歳(退職世代)、66~70歳(延長雇用・年金受給開始)、71~74歳(前期高齢者)、75歳以上(後期高齢者)などで区分するべきでしょう。

本来は5歳刻みなど詳細であるほど良いが。
また冊子などでは限界があるにしても、Webで掲載する場合にはそのデータの出典元へのリンクを貼るくらいのユーザビリティがまったく考慮されていません。

そもそも厚労省の公表しているが患者調査がデータとして情報開示することが目的になっているので、利用する側(生命保険文化センター)が用途に合わせてデータを適切に加工することが前提なのに、その過程をせずにそのまま載せているのでほぼ参考になりません。

こうした本来であれば消費者・契約者の立場に立って業界を導いていく公平性のある情報開示の役割を担っているのが生命保険文化センターであるはずですが、仕事の仕方が雑だと思います。

ということでこれらを引用してデータをより細かな年齢帯でのデータ元を算出すると政府統計の総合窓口e-Statで同じ令和2年患者調査のより詳細なcsvデータがありました。

はい、吐きそうなデータの山です…(꒪ཀ꒪)アタマイタイ

ファイルは128項目ありますが、キリがないので10までの画面を掲載

ここから0歳・1~4歳、以下は5歳刻みと85~89歳と90歳以上までの年齢区分で色付けと、入院~退院までに何日の平均入院日数がかかったのかをExcelで条件付けで20日以上*は青字、30日以上は太字、60日以上は赤字で作成しました。

*某保険会社で20日以上入院かつ手術を受けると保険料払込免除になる特約が出たのでどの年齢のどの疾病でそれが発生しやすいかを調べるため

こんな感じです。

男性の場合
女性の場合

すると総数の平均入院日数は確かに調査期間が生命保険文化センターは2020(令和2)年9月1日~30日なのに対して、患者調査(男女別)は2020年の1年間ですので微妙に数字が変わってきますが、男女同数なら(30.8+33.8)÷2=32.3日と統計的なブレは生じていないので生命保険文化センターが一応嘘はついていないことが分かります。

生命保険文化センター:総数における平均入院日数32.3日、
患者調査:総数における平均入院日数(男性)30.8日
患者調査:総数における平均入院日数(女性)33.8日

男性と比べて女性の方が入院日数が多いのは女性が病気にかかりやすいからでしょうか?

一部には男性よりも女性がかかりやす病気や部位(乳がん・卵巣・子宮など)がありますが、加えて女性には妊娠・分娩・産じょくと言った男性が生涯でかかることのない病気が含まれている事も影響しています。


若くても思わぬ病気で長期入院

特に30日超のような長期な入院は既に触れた精神疾患や認知症に関連するもの、心疾患や脳血管疾患など想像が予めできるものもあれば、データを観てなるほどと思うような年齢で思わぬ疾病にかかって長期入院をしているケースも伺えます。


たとえば現代の日本では絶滅したと思われている「結核」は、20~35歳まででの女性で30.1~46.3日で、50~54歳で75.4日と思わぬ入院になっています。

また男性の同疾病では25~39歳まで47.7日と若い方が長期入院をしていますし、男女ともに以降の年齢で一旦落ち着きますが、高齢期に差し掛かる頃にはまた入院日数が長引いています。

これは結核に限らずですが、ある程度の預貯金が既にできている方や実家暮らしなどで家賃負担も少ないのであれば兎も角、まだ仕事を始めたばかりなどの蓄えが十分でない世代にとって30日超の入院はそれなりのダメージになりかねません。

特に会社員ではないアルバイトやフリーランスで社会保険が手薄な国民健康保険などに加入している場合には治療費だけでなく、収入の補填がまったくされません。

当月は前月に働いた給与・報酬が支払われるとしても、働き方によっては翌月は下手したら収入ゼロになるわけですから、この収入を補填する意味で医療保障の日額は①治療費、②減収や③健康保険適用外となる食事代・差額ベッド代などのその他の支出の補填の3つであることを考えると人によっては不要でも、人によっては必要となることを一人一人が考える必要があります。

また総じてどの疾病も高齢期になるほど入院日数が基本的には長くなり、肉体的な衰えは回復に時間を要することが伺えます。


保険選びの要「保険料払込免除」

医療保障、がん保険、またはガンを含む三大疾病や八大疾病などを検討する際には保険の対象となる被保険者(契約者)の収入や働き方、資産状況やライフプランにも大きく影響されます。

この表からわかることは冒頭にあげたどんな病気で、どれくらい退院までの入院日数がかかっているのかだけです。

手術や放射線治療、がん保障であれば抗がん剤・ホルモン剤治療などの投薬療法など入院をしているとは限らない治療を受ける場合、またそれらが長引く場合もあります。

近年、特に「貯金があれば保険は不要」とのたまうYouTuberやブロガー、自称FPなど保険募集のライセンスがないにも関わらず保険業法に抵触する発言をする輩が目立ちますが、一人一人の置かれている状況は異なりますので一概ではありません。

また現在の保険は医療・ガン・三大疾病などの特定疾病などの第三分野だけでなく資産性保険を含めて「保険料払込免除特約(特則)」がかなり大きな加入動機のウェイトを占めているように感じます。

保険料は年齢と共に上がるため、高齢期にさしかかってから払込免除特約を付加したプランに入るとえげつない合計保険料(2倍超)になることもあります。

払込免除といえばかつては約款所定の障害状態などだけだったものが、金融ビックバンが始めってからこの20年ちょっと…保険の自由化(代理店解禁・商品開発競争)によって大きく払込免除範囲が拡大してきました。


中でもガンと診断確定された場合に以後の保険料をいただきませんというのが定番になってきていますが、資産性保険では殆どはステージⅠ以上

医療保険・がん保険・特定疾病保険など第三分野では上皮内ガン(ステージ0)を払込免除対象としており、実際にがん治療で減収や失業、長引く治療の中での負担を考えると単に保険金・給付金がいくら受け取れるかからもう一歩、「払い続けられなければ保障が得られない」という実際に考え得る問題に対して保険金の支払いまでを視野に入れた保障の検討は重要性を増しています。

尚、インターネットや郵送などだけで申し込みが完結するダイレクト型の生命保険ではガンなどの特定疾病によって「保険料払込免除」となる取扱は規制をされており申込みをすることが出来ません。

また共済もダイレクト型と同様の扱いを受けているため、規制され短期払(65歳払込満了)や特定疾病による保険料払込免除を付加することなどができません。

保険募集人と面談の上でなければ免責事項・重要事項説明・契約概要を含めて、ニーズとウォンツは契約者が保険料と保障額だけで比べて選べない、担当者の倫理とモラルという薄氷の上に成り立っているのが保険募集であることは消費者・契約者が現在軽んじている危険な部分でもあると思います。

ここはAIや情報社会がどれだけ進んでも消費者・契約者のリテラシーとモラルが高まらないと埋められない部分と言えるでしょう。


(参考)pixiv漫画○○で入院した話


本ファイル・資料はFP・IFA・保険募集人が使用するための参考ツールであり、顧客に提示をするための販売資料を原則として想定していません。

※20~24歳の男性の甲状腺障害(再掲)が「643.6日」となっていて前後の年齢や同じ年齢帯の女性と比べても明らかに異常値になっていますが、元データがそうなっているので特別修正はしていません。


利用ルール

記事購入者またはメンバーシップ登録者以外に共有、二次利用されているのが発覚した場合にはメンバーシップの解除、データ・ファイルの提供の停止をします。

※顧客に印刷して提示する場合には保険会社・代理店のルールに基づいて自己責任でご利用ください。

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