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自分なりの指導観を考えること

かれこれ、予備校講師の仕事をして12年になる。英語を中心に、小論文や現代文など、あれやこれや、教えてきた。今回は、特に、その中でも英語の指導に焦点を当てて、考えてみたい。

英語の指導をしていると、教材や教え方に迷うことがある。自分のやり方は正しいのか。生徒に本当に力をつけてもらえているのか。不安で不安で仕方がない時もある。模範解答のような「正解」を求めるあまり、結局何を大事にすればいいのかわからなくなることもある。

だが、最も重要なのは「自分なりの指導観」をしっかり持つことだと思うのだ。指導観とは、自分が指導において何を重視し、どう教えたいのかを自覚し、言語化したものだ。

指導観を持つ意義

なぜ指導観が必要なのか。それは、教える立場として軸を持つためだ。軸がなければ、周囲の意見や新しい指導法に流されてしまう。たとえば「この教科書が良いらしい」と聞けば飛びつき、「〇〇式が効果的だ」と聞けばそれに乗り換える。しかし、それでは生徒も迷うし、自分自身も「教える手ごたえ」を感じづらい。

そもそも、そのような「〜〜がきく」というのは、結局は論文の受け売りである場合が非常に多い。そして、時が経つにつれて忘れられていく。

時代にあった指導?

指導観があれば、たとえ新しい情報に触れたとしても、「自分の教え方にどう取り入れるか」「今の指導法と何が違うのか」を冷静に判断できるようになる。軸があるからだ。

自分なりの指導観の作り方

では、どうやって自分の指導観を見つければいいのか。答えはシンプルで、自分の経験を振り返ることだ。

  • これまでどんな授業をしてきたか

  • どんな生徒が成績を伸ばしたか

  • 自分が教えていて一番充実感を感じる瞬間はいつか

たとえば、自分の場合は「語彙がわかることは武器になる」という考えが軸にある。なぜなら、語彙を理解していれば、生徒は自分で文章を組み立てる力がつくことの一歩になるからだ。

語彙力というのは、実は、基本的な、すなわち、意味頻度の高い言葉ほど大事だ。そういう言葉を、適切な状況において使えることが大事。それこそが英語上級者になるための必須条件になる。

授業ではただ問題を解かせるのではなく、「なぜその語彙が使われるのか」を徹底的に解説する。語彙についての解説を充てるのである。

遠回りに見えるかもしれないが、それが生徒の力になると確信している。

あなたにも、きっと「これだけは譲れない」という指導のポイントがあるはずだ。それを言葉にしてみることが第一歩だ。

指導観は成長する

指導観は一度決めたら終わりではない。自分の経験が増え、生徒たちと向き合う中で、自然と変化し、洗練されていくものだ。昔は「生徒に覚えさせること」に力を入れていたが、今は「生徒が自分で考えること」を重視するようになった、という変化だってあるだろう。

ちなみに、僕は、昔、教えすぎていました。勉強法から何から何まで。しかし、自分が勉強している姿を見せることが「遠回りに見えて、近道」です。

変わることを恐れなくていいと思う。指導観を持っているからこそ、その変化も自分の中で納得できるし、さらに良い指導に繋がる。

まとめ

英語の指導は、正解がないからこそ難しい。でも、自分なりの指導観を持てば、ぶれない指導ができる。そして、その指導観は生徒と共に成長していくものだ。

まとめると、「どう教えるか」だけでなく、「なぜその教え方なのか」を考えてみてほしい。そこから、あなただけの指導観が見えてくるはずだ。

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