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トークイベント「仕事と暮らしのデザイン」 レポート① ~Vlag yokohamaのBranding Process~

 当施設Vlag yokohamaの立ち上げに関わっていただいた木本梨絵さん、角田貴広さんの2人によるトークイベントを8/20(火)に開催しました!
 
木本梨絵さんは株式会社HARKENの代表をされており、クリエイティブディレクターとしてブランドづくり、執筆、写真、ものづくりに携わられています。
 
角田貴広さんは編集者としてオフィスや商業施設、ホテル等ブランドづくり、コンセプト立案、ブランディング、コミュニティマネージメントなどに幅広く携わられています。
 
Vlag yokohamaの立ち上げにあたり、角田さんにはコンセプトづくり、木本さんにはクリエイティブの制作をしていただきました。
イベントの前半にはそのプロセスがどのように進んでいったのかをお2人にお話しいただきましたので、今回のレポートでは、その部分についてご紹介します!

【角田さんによるコンセプト作り】

コンセプトを作るために角田さんが最初に取り組まれたのは、横浜についてのリサーチ。この場を横浜に作る意味について考えることで、コンセプトづくりのヒントを探られました。
 
リサーチ①横浜らしさの紐解き
リサーチをしていく中で、角田さんは斜面が多く、海沿いの景色もある横浜の街の特徴から、縦・横に広がる軸みたいなものが印象的であることに気づかれたそうです。また、歴史的には開港都市として近代の始まりの場所とも言える、常に新しい文化を生んできた街であることから、色々な軸がある中に歴史が積み重なって横浜らしさが形成されてきたと紐解いています。
 
リサーチ②ヒアリング
もう一つのリサーチが、横浜に関わる方々へのヒアリング。横浜という街のことや、どんな施設がこの場所にあると嬉しいかといったことをヒアリングし、作りたい施設についてのアイデアをいただくなどディスカッションを重ねてきました。
 
コンセプト(インナーブランディング)
これらのリサーチを踏まえて角田さんが編み出したキーワードが「new axis」。このコンセプトは表に出すものというよりは、プロジェクトに関わる人たちの目線合わせのための言葉として選ばれました。このコンセプトには、色々な軸が横浜を形成している中で、自分たちもこの施設を通じて新たな軸や視点を作っていきたいという思いが込められています。
 
ネーミング
「new axis」というコンセプトをもとに、よりシンプルにわかりやすい表現として様々な案を出してみんなで議論を重ね、行きついたネーミングが「Vlag」。日本語でも「フラグが立つ」という表現をしますが、オランダ語のVlagにも旗という意味があります。
英語にもFlagという単語がありますが、オランダ語のVlagという単語は鉄道の手旗信号が語源になっていることもあり、鉄道会社さんの作る施設の名前にもいい言葉だと考えられました。また、このVlagのVには以下の3つの意味が込められています。

【HARKENさんによるデザイン】

こうしてVlag yokohamaという施設の名前ができ、ここからは木本さんご担当のデザインパート。
 
Ideal Scene
デザインを始める際に木本さんが行ったのが、これから作る施設がどんな場所だったらいいかをクライアントと一緒にイメージしてみること。開かれた場所、何か困ったら相談に来られる場所、大企業の人もクリエイターも地元の人もいる場所、風通しがいい場所など、議論を重ねる中で様々なイメージが出てきました。
 
point of design & design keyword
出てきたイメージからデザインを作っていくにあたり、どうやってデザインを作っていくかというポイントを抽出、そこからdesign keywordをピックアップされました。そこには、角田さんがVに込めた3つの意味も含まれています。木本さんはこの3つのVをとても気に入り、これに沿ってデザインをするという意思表示としてここに挙げたそうです。

この後、木本さんがデザインをする際に必ず行うのが、自分の思うことを書いて読むこと。自分がどのようなことを思ってデザインをしたのか、その態度を示すように、クライアントさんへのラブレターのつもりで書かれているそうです。今回については、角田さんのコンセプトをよりデザインに拡張するためのつなぎのように書かれたとのことです。
 
これらのプロセスを踏まえ「有機的に揺らぎながら常に形をかえてゆくみっつの意味を背負ったフラグ」をデザインしたいというところに行きつきます。
 
Ideal sceneや角田さんの作ってくださったコンセプトからすぐにデザインをすることはできるけれど、そこから一揉みするのがポイントと木本さんはおっしゃっていました。
 
Design
デザインは、HARKENアートディレクターのオダさんが手がけられました。
 
「みっつのV」をキーワードに、多様な場所であり混ざり合う場所、揺らいでいるようなイメージ、可能性の軸、一人一人の生きる立ち位置を見つけるピンをさすようなイメージ、上へ登っていく狼煙などをイメージしながら、コンセプトからいくつも案を作ってくださいました。その中から、議論を重ねて現在のロゴができあがりました。

Main Visual - キーワードは「まちとつながる」
施設に来る人々が施設内に留まらず、仕事の後に飲みに行くなど、横浜とつながるような場所になってほしいという思いが木本さんにあり、自分だったらVlagに来たついでに行きたくなるお店とか場所があるといいなと考えられたそうです。そこで、Main Visualには横浜の色々な場所の写真を使うことになりました。
写真を撮影する場所を選ぶにあたり、横浜にゆかりのある方々100人以上に横浜の思い出の場所や好きな景色などのアンケートを取り、情報を収集されたそうです。アンケートには、横浜をよく知る皆さんの甘酸っぱい思い出の場所や、様々なエピソードがたくさん集まりました。写真を撮ってくださったのは、リトアニア出身のEdvinasさんというロンドンを拠点にされている写真家さん。リソースは横浜のことをよく知っている人たちのエピソード、その写真を撮ったのは横浜のことを何も知らない写真家さんということで、異なる視点が混ざり合って面白いものができたとおっしゃっていました。

こうしてVlag yokohamaのコンセプトやデザインができあがりました。
お話しくださった角田さん、木本さん、オダさんや写真を撮影してくださったEdvinasさん、リサーチやアンケートに答えてくださった横浜にゆかりのある方々などたくさんの方々がこのプロセスに関わってくださり、この施設のブランディングが完成しました。様々な方々の共創の場となることを目指すこのVlag yokohamaのブランディングも、たくさんの方々の共創によって生まれました。


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