『正チャンの冒険』読者投稿欄のご紹介(6)
おはようございます。季節の変わり目で寒暖の差が激しい日が続きますが、皆様くれぐれもご自愛くださいませ。正チャンは100年以上経った今でも変わらず元気です!今回も読者投稿欄を紹介させてください!
時代的なこともあるのでしょうが、いろいろなところからお手紙が来ていて、正チャンの活躍がワールドワイドになってきています。このほかにも樺太などからもお手紙が届いておりました。
活躍のワールドワイド化に伴って、次のような投稿も来るようになってきました。
その愛される人柄や、情けぶかさ、冒険に向かう勇気、困難にめげずに立ち向かう精神力等を買われ、アメリカその他の諸外国との外交に是非正チャンを、とのご意見です。
当時の国際情勢の一端を垣間見れ、すごく興味深いとともに、正チャンの読者からの評価の高さに驚きます。近年でも一世を風靡し、国民的キャラクターといわれるようになったキャラは多数登場しましたが、彼 / 彼女 / それを政財界へという声はあったでしょうか??
ドラ○もん、クレヨンし○ちゃん、サ○エさん、ちび○子ちゃん、両○勘吉、コ○ン、悟○、ル○ィ、炭○郎、、、皆 全国民に愛されるキャラクターですが、外交となるとどうでしょう?ギリギリし○ちゃんがいけそうな気がしなくもないですが、疲れてるせいかもしれません。
ということで、まんがの世界を飛び越えて活躍を期待されるキャラクターも珍しいと思います。正チャンがいかに当時の人々に愛されていたかよくわかる投稿ですね!
さらに正チャン待望論は外交問題を超え、政治経済全般に及びます。
ただ一方で上の1924年4月11日朝刊には、このような正チャン待望論に待ったをかける投稿も掲載されています。
外交や人心の荒びが「小面倒」ってことはないでしょうが、子供たちのヒーローである正チャンを大人の世界に巻き込まないでくれとのご意見ですね。記者さんもタジタジです。
いずれにしても、当時正チャンが、老若男女を問わず、愛され、何かを期待される存在であり、非常に大きな存在感を持っていたことが感じられます。
そしてその反響の大きさゆえ、批判的なご意見もいただくこととなります。
「全く値打ちがない」とはかなり厳しいお言葉ですが、これは、正チャン以前で「漫画」というと、主に一枚絵の風刺画(社会や政治を風刺した画)が多く、そう言った意味で子供向けのファンタジーである「正チャンの冒険」は価値がない、と言った趣旨ではないでしょうか(研究者ではないので、間違っていたらすいません・・)?
記者さんも、正チャンは従前の風刺画とは異なる「新しい試みの「絵ばなし」」なんだと返答しています。
このやりとりでも正チャンの冒険が、当時かなり画期的な作品であったことがわかります。
この辺りの事情に興味がある方は、川崎市市民ミュージアム学芸員の新美琢真さんによる記事も合わせてご確認くださいませ。
さて、今回は思いもかけず、全体をとおしてかなりシリアスな展開になってしまいましたので、最後に皆大好き・メタ的な小ネタで締めくくりたいと思います。
正チャンには兄弟姉妹はおらず、一人っ子であることが判明しました!また、投書では「正ちゃん」となってますが、記者の方からの返答では「正チャン」となっており、こだわりある正式名称として、チャンがカタカナの「正チャン」が使用されていることがわかります。
皆も気になる正チャンの本名ですが、ぼかされてしまいました。判明せずです。リスについては、シンプルに「リス」が名前だと思っていたのですが、違くて、名前がないようですね。もう皆に「リス」と呼ばれているのでそれでいい気もするのですが。。危うく「利助」に決まりかけてますが、もしそうなっていたら、今までリスと呼んでいた正チャンがどうやって呼び方を突如変えるのか、、、その展開も見てみたかった気がしますね!