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本を読んだからって賢くなる訳じゃない
多分自分は速読ができる。
ちゃんと全文読んでも18分で20000字弱読めるから早い方だと思う。(測った)
しかし今回言いたいのはそこではなく、自分の速読が正しい速読ではなく本を書いている方に怒られそうな所謂速読術的だということ。
つまり視読+(斜め読みor拾い読みor飛ばし読み)で本を読んでる。
その傾向はラノベなどの小説系から一般文学、古典、新書、果てはnoteまで活字の全てに見られるが、特に新書に強く現れる。
そして残念なことにこの新書系ってやつは全書籍の中でも一番速読術を使ってはいけないジャンルである可能性がある。
自分が昔論文を書くときにそれをやって怒られたから多分間違いない。
まぁ単に自分が選んだ題材と本の読み方が悪いという可能性もあるが…
うちの学校は高校生なのに卒業の一単位に論文を課すのである。
今から受験に本腰を入れようかという高校2年生に対してだ。
……馬鹿なの?
一応進学校のはずなのだがやっぱり自称進かもしれない。
まぁ自分はそういうの嫌いじゃないから精々楽しんでやろうと思い、何か強烈なのを書きたくなって「大東亜戦争の聖戦性」という題にした。
本気じゃないよ?単に面白がってるだけ……我ながら悪趣味だな
とにかくそんな題材で卒業論文を書いたのだが、題材が題材なせいでどちらかに寄った文献や論文くらいしか参考資料が無い。
ここでもう一つ悪い癖が出た。
どうせなら自分が主張したい意見と反対の意見の人が著してる資料を利用して文章を書いた方が面白そうだと思ったのだ。
参考文献を使って論文を書いている以上当たり前のことだが、文献を使う時には既に自分なりの仮説や主張が存在しており、我々はその補強や権威づけのためにそれらを利用しているに過ぎない。
この状況で日常的に速読術を使ってる人が文献に手を出すとどうなるか。
特に意識しなくても発動してしまうのが速読術なのに、今回みたく必要な情報が限られていて、文章中に出てくる言葉の意味も、大体の流れも読む前から分かっている状況ではまともに読めという方が難しい。
全文読んでいても使えそうだと拾った部分以外は目を通したことすら意識していないくらいの右から左っぷりだし、なんなら目次を見て必要な部分以外は目を通すことすらしない本や、結論部分だけ読んで本の内容を把握した時もある。
これらはまだマシな例で、ひどい場合だと自分の頭のシナリオをサポートしてくれる証拠を探していたことと、該当部分の前後を読まなかったせいで文献内の言葉を自分の主張に合うように曲解したこともある。
こんなことをしていると学術的な本を読んだはずなのに視野が狭まり、自分の考えに固執するようになった頭の硬いバカが誕生する。
本を読んでも正しい読み方じゃないと逆効果だと示す良い(?)例だ。
論文のなかで自分の意見と対立する人の主張を取り上げて「他人の意見を聞き入れられずに自家中毒を起こしている」と指摘しておきながら自分も他人の意見を恣意的に解釈して自家中毒に陥っている。
みんな大好きブーメランを投げるのも大概にしてほしい。
論文を見てくれた教師からも、
「まさか新しい発見があるはずの論文で、ちゃんとした参考文献を使っていながらネットの情報を引っ張ってきたかのような不正確で自己完結なものができるとは思わなかった」と苦言を呈された。
自分の例は行き過ぎだとしても、
「面白そうなところだけ拾い読みした」とか、
「自分の解釈を疑わず、一回読んで満足した」とか
そのほかにもいくつか“速読術”に該当しそうな読み方をした心当たりが小難しい本を読んだ時の皆さんにもあるんじゃ無いだろうか。
お前がそれを言うのかって話だが、暇つぶしのために読んでいるのでなければその読み方は非常に危険であり、やめた方がいいだろう。
上記の理由から新書系には速読術が向かない。
ライトノベルなんかの一般文学でそれをすると内容理解ができないし、伏線なんかが張られてた場合全パスしてるから気づかないで面白さが半減するか、前を読み返すことで時系列と世界観が失われる(経験談)。
古典文学は速読術を使えるようになるまでに相当な苦労があるし、そもそも古典にそれを持ち込めるようになったらそんなことしなくても他の人よりよっぽど速く、正確に読めてるから使う必要がない(経験談)。
結局速読術を使う意味はなく、そんなものを鍛えるよりもイメージ力や語彙力、教養などを増やして文章の先を予想しながら、躓かずに読めるようになる努力をする方が遅くてもよっぽど効果のある速読になる。
線から下の部分タイトルから逸れてるよな?
後こんなことを書いておきながら自分の語彙力か説明能力のいずれかが低いせいで上手く頭の中を文字にできなかった。