辻村深月の青空と逃げる#読書の秋2021
大雑把な内容
小劇場上がりの女優主婦が小学生の息子を連れて、役者の夫が起こしたスキャンダルから逃げ、四国や九州などの景勝地を巡る旅。
スキャンダルとは人気女優と不倫をし、あげく交通事故を起こしてその女優は自殺してしまった、というもの。夫はその後、家に血の付いた刃物を隠して失踪する。すると、妻と息子の元に、女優の事務所の怖い人が来て……。
設定は面白いんだけどね……。
途中までも面白かったんだけどね……。
以下、多少のネタバレを含みますのでご留意ください。
この物語にはいくつかの「謎」がある。
1:夫はどこに失踪したのか。
2:どうして家族を捨てて失踪したのか。
3:夫はいったい「何」をしたのか。
4:夫と女優はどういう関係だったのか。
5:女優の自殺は夫とどういう関わりがあるのか。
大きくは上記5つなんですが、これらの謎には十分引っ張られるし、それほど社会経験なく小劇場女優から主婦になった女性では、それほど社会を渡る知恵もないだろうし(警察に行かないというありがちな作家都合)、ということで、同情はできるし、行く先々で素敵で素晴らしい人たちに出会える(というか良い人にしか出会わない)都合の良さにも目をつぶるとしても、
最後に謎は全部解明しないとダメじゃね?
一応、3はそれっぽい説明はあるものの、全然上記の謎が解明されないという、読者に丸投げな状態はダメだと思うわ。
特に4は、夫が全否定したけれど、それは夫の勝手な言い分で、不倫してないというのは証明して初めて「不倫していない」ということになるので、いくら自分で「やってない」と言っても誰が信じるの?って話で。家族は信じるかもしれないけど読者はそれほどお人好しじゃないと思うんだけどね。
それと同様、1もよくわからない。とにかく夫が自分で言うだけで証拠が何もない状態なので、ここまでずっと妻に不義理をしておいて仙台行っただの北海道に行っただの言ってもどうやって読者(私)はそれを信じればいいのかわからん。
もっと言えば息子が夫と連絡を取り合っていたとのことだけど、どうして妻には事情を一切話さなかったかもわからない。息子が心配じゃないのかな。子どもの言い分だけを素直に信じて夫はずーっと身を隠していたことになるの、変じゃね?人として辻褄が合わないでしょ。
で、どうして女優が子どもたちを置いて自殺したのかもわからない。これが一番わからない。ここがわからないから夫の言い分も納得がいかない。
上記のうち私が納得できたのは3のみでした。
この本を読んだどなたか、解説して貰えませんか?
と、また「良い読書感想文」を書けずに終わりましたw