#3三隅ニ不ニの『リーダーシップを発揮する方法』:リーダーシップ理論の要点まとめ
この記事では、書籍の引用を通じてリーダーシップ理論を紹介します。
引用する書籍は、リーダーシップを理解するために、6人の教授の見解を取り入れたものです。
私自身、この内容に非常に興味を持ち、読むことができました。
それは大学での社会福祉士に関するレポート作成や、国家試験の勉強にも役立ちました。
本を要約することで、さらに役に立つのではと思い、記事にすることにしました。
6回に分けて、それぞれ異なるリーダーシップ理論を紹介します。
よろしければ、ぜひご覧ください。
⚫︎書籍名: 『リーダーシップ理論集中講義:コッター、マックス・ウェーバー、三隅二不二からベニス、グリーンリーフ、ミンツバーグまで』
⚫︎著者: 小野善生
⚫︎出版社: 日本実業出版社
⚫︎発行年: 2015年
1.三隅ニ不ニのリーダーシップを発揮する方法
三隅二不二(みすみじゅうじ)は、九州大学の元教授であり、大阪大学の名誉教授を務めています。彼は日本で初めて「グループダイナミクス」を紹介し、集団力学研究所を創設しました。
さらに、目標達成機能と集団維持機能という2つの要素でリーダーシップを説明するPM理論を提唱し、リーダーシップ研究に大きく貢献したことで知られています。
「PM 理論」はリーダーシップの理論で、リーダーの行動を2つに分けて考えます。
P行動は目標達成のための行動で、M行動はチームの関係を良くするための行動です。
リーダーはこの2つの行動のバランスを取ることが大切です。
2.リーダーシップを決定づけるもの
リーダーシップはただの才能だけで決まるわけではありません。
例えば、ある職場で優れたリーダーが別の職場ではうまくいかないこともあります。
リーダーシップは、役割や状況、行動によって変わります。
例:マハトマ・ガンジー
マハトマ・ガンジーは、国のリーダーではなかったけれど、多くの人に影響を与えました。
つまり、リーダーシップは公式な役職にだけ依存しないということです。
日常生活の例だと、友達とバーベキューを計画する時に、自然にリーダーシップを発揮する人がいます。
これもリーダーシップの一つです。
リーダーシップは、特定の役割がなくても発揮できるものです。
リーダーシップを持つ人は、必ずしもリーダーという役割を持っているわけではありません。
どんな状況でも、リーダーシップを発揮するための特定の行動が大事です。
3. PM理論とは?
PM理論はリーダーシップを理解するために、リーダーの行動に焦点を当てた理論です。
この理論は、集団がどのように成長し、成功するかを研究しています。
リーダーは集団の発展において重要な役割を果たします。
集団の2つの主要な機能は以下の通りです。
Performance(P)機能:
集団が目標を達成するための行動を指します。
例: 企業の会議やプロジェクトの進行。
Maintenance(M)機能:
集団を維持し、メンバー間の問題を解決する行動を指します。
例: 対立や感情のもつれの解消。
リーダーの役割:
リーダーは、P機能(目標達成を支援する行動)とM機能(集団を維持する行動)をバランス良く行うことが求められます。
P行動には、計画の立案、指示出し、規則の遵守、期限の設定などが含まれます。
M行動には、メンバー間の葛藤の緩和、尊厳の尊重、自主性の促進などが含まれます。
PM理論によれば、リーダーシップは特定の資質だけでなく、具体的な行動によっても示されるとされています。
リーダーは、目標達成と集団の維持の両立のために、P行動とM行動のバランスをとることが重要です。
【PM理論のリーダーシップ行動特性の測定項目】
PM理論では、リーダーシップの行動特性を以下の2つのカテゴリで測定します。
P行動(目標達成)を測定する質問項目
あなたの上役は規則に従うように厳しく言いますか?
あなたの上役は仕事に関する指示や命令をどれくらい与えますか?
あなたの上役は仕事量について厳しく言いますか?
あなたの上役は仕事を所定の時間内に完了するよう要求しますか?
あなたの上役はあなたが最大限に働くように促しますか?
あなたの上役は仕事の質が悪いとき、あなた自身ではなく仕事の内容を責めますか?
あなたの上役は仕事の進捗状況について報告を求めますか?
あなたの上役は月ごとの目標達成のために計画をどれくらい綿密に立てますか?
M行動(集団維持)を測定する質問項目
仕事について上役と気軽に話し合えますか?
全般的に、上役はあなたを支持していますか?
上役は個人的な問題にも気を配っていますか?
上役はあなたを頼りにしていると思いますか?
上役は優れた仕事をしたときに、その成果を認めてくれますか?
職場で問題が起こったとき、上役はあなたの意見を求めますか?
上役は昇進や昇給など、あなたの将来について気を配っていますか?
上役はあなたを公平に扱っていますか?
これらの質問項目を使って、リーダーのP行動とM行動のバランスを評価することで、リーダーシップの効果を測ることができます。
PM理論による4つのリーダーシップスタイル
PM理論によると、P行動とM行動の組み合わせから、以下の4つのリーダーシップスタイルが生まれます。
PM型
理想的なリーダーシップスタイルは、P行動とM行動を高いレベルで実践することにあります。
これにより、従業員の仕事への満足度と生産性が向上します。
目標達成を支援するために適切な指導、助言、フィードバックを提供し、従業員の感情を理解し支持することで、チームの結束を強化します。
P型
P行動を重視するリーダーシップスタイルは、指示と命令に焦点を当てます。
これは短期的には成果をもたらす可能性がありますが、長期的には従業員のモチベーション低下のリスクを伴います。
M型
M行動に依存するリーダーシップスタイルは、フォロワーとの良好な関係構築に注力しますが、新しい課題に直面した際には指導力が不足することがあります。
pm型
P行動とM行動が低いリーダーシップスタイルは、目標設定や人間関係の調整が不十分で、フォロワーのモチベーションや生産性の向上が期待できないことがあります。
理想的なリーダーシップを実現するためには、P行動とM行動のバランスを保ち、状況に応じて適切な行動を取ることが重要です。
目標達成にはP行動が、メンバー間の対立や不和を解消するにはM行動が効果的です。
リーダーはこれらの行動を巧みに組み合わせてチームを成功に導くことができます。
4. リーダーシップの行動アプローチ
オハイオ州立大学の研究によると、効果的なリーダーシップには以下の2つの行動が重要です:
構造づくり(Initiating Structure) - 仕事の指示や評価を行い、目標達成をサポートすること。
配慮(Consideration) - チームメンバーとの良好な関係を築くために、気遣いや相談に応じること。
この2つを両方とも高く行うリーダー(Hi-Hi型)は、優れたリーダーシップを発揮します。
PM理論との共通点:
構造づくり はPM理論のP行動(目標達成)に似ています。
配慮 はPM理論のM行動(集団維持)に似ています。
実例: 日本のプロ野球チームの監督は、選手育成や試合戦略(構造づくり)と、選手の励ましやメディアとのコミュニケーション(配慮)が求められます。
これらの行動特性は時代を超えて重要で、変革型リーダーシップにも影響を与えています。
以上、リーダーシップは才能だけで決まるわけではありません。
リーダーには、目標を達成するための指導や、チームの良い関係を築くための行動が求められます。
どちらも高くできるリーダーが一番効果的です。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
私が目指しているのは、孤立のない共生社会の実現です。
参考文献
1)2)3)4)
小野善生著 『リーダーシップ理論集中講義:コッター、マックス・ウェーバー、三隅二不二からベニス、グリーンリーフ、ミンツバーグまで』 日本実業出版社 69~87頁 2015年
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