見出し画像

#4ベニスの『変革の時代に求められるリーダーシップ』:リーダーシップ理論の要点まとめ

この記事では、書籍の引用を通じてリーダーシップ理論を紹介します。

引用する書籍は、リーダーシップを理解するために、6人の教授の見解を取り入れたものです。

私自身、この内容に非常に興味を持ち、読むことができました。
それは大学での社会福祉士に関するレポート作成や、国家試験の勉強にも役立ちました。

本を要約することで、さらに役に立つのではと思い、記事にすることにしました。

6回に分けて、それぞれ異なるリーダーシップ理論を紹介します。
よろしければ、ぜひご覧ください。

⚫︎書籍名: 『リーダーシップ理論集中講義:コッター、マックス・ウェーバー、三隅二不二からベニス、グリーンリーフ、ミンツバーグまで』
⚫︎著者: 小野善生
⚫︎出版社: 日本実業出版社
⚫︎発行年: 2015年

1.ベニスに学ぶ変革の時代に求められるリーダーシップ

Warren Bennis
ウォレン・ベニスは経済学と社会科学の博士号を持ち、南カリフォルニア大学でリーダーシップを研究している教授です。彼はアメリカの政府や大企業のアドバイザーとしても知られており、リーダーシップの専門家です。

今回は、時代によるリーダーの違いを比較し、変革の時代に求められるリーダーシップや、優れたリーダーに必要な資質、リーダーシップの育て方を探ります。

2.リーダーシップを取り巻く環境の変化

優れたリーダーには昔から共通の力がありますが、リーダーシップのやり方は時代や状況によって変わります。

今のように変化が速い時代では、リーダーには「変革型リーダーシップ」という、新しい方向にみんなを導く力が必要です。

たとえば、1970年代後半からは、ただ仕事を効率よく進めるだけでなく、チーム全体を新しい方向に進める力が重要になりました。

今のリーダーは、何を変え、何を守るべきかをしっかりと見極め、それを実行する力を持っています。

組織の存在意義であるミッションや経営理念を基軸にしつつ、それを体現するためのビションや糖談、そして組織構造といったものを願境の変化に適応させなければならない。1)

3.優れたリーダーの戦略①

組織には守るべき「目的」や「経営理念」がありますが、その達成方法は時代に合わせて変える必要があります。そこで大切になるのが「ビジョン」です。

ビジョンは、組織が目指す未来の姿を示すもので、新しいアイデアが必要です。しかし、基本的な考え方から大きく外れると、組織内に混乱が生まれることもあります。そのため、ビジョンを作るときには、以下のポイントを考慮することが大切です。

  • 過去: 過去の成功や失敗から学ぶことで、どんな戦略がうまくいったのか、何が問題だったのかを理解します。

  • 現在: 今の状況や抱えている課題をしっかりと分析し、現実に即した対策を立てます。

  • 未来: これから起こる可能性のある変化を予測し、その変化にどう対応するかを考えます。

ビジョンが現実と合わなくなったときには、リーダーはビジョンを見直し、組織を正しい方向に導く必要があります。

たとえば、パナソニックの「中村改革」では、基本的な考え方を保ちながらも、大きな改革を成功させました。優れたリーダーは、過去を学び、現在と未来を考えながら、ビジョンを進化させ、組織を導いていきます。

ビジョン構築の手がかりとなるのは、「過去」「現在」「未来」という時間軸である。2)

4. 優れたリーダーの戦略②

リーダーが成功するためには、「コミュニケーション」がとても大切です。どんなに素晴らしいアイデアがあっても、それをチームのメンバーにきちんと伝えなければ意味がありません。ここでは、リーダーが効果的にコミュニケーションを取るための3つのポイントを紹介します。

  1. わかりやすいメッセージ
    リーダーは、ビジョンがどれだけ重要で、それが実現するとどんな良いことがあるのかを、分かりやすく説明する必要があります。たとえば、キング牧師が「私には夢があります」と繰り返したように、印象的な言葉を使うと、メッセージがしっかりと伝わります。

  2. 強い言葉を使う
    ビジョンを表現するために、力強い言葉やフレーズを使うことも効果的です。たとえば、コマツの坂根社長が「ダントツ経営」という言葉を使って、他社を圧倒する品質を目指す方向性を示したように、短くてもインパクトのある言葉が大切です。

  3. 行動で示す
    言葉だけでなく、自分自身が行動することも重要です。たとえば、元ローソン社長の新浪剛史さんは、積極的に挨拶をしたり現場に出向いたりすることで、言葉を実際の行動に移し、チームの信頼を得ました。

リーダーは、このようにしてビジョンをチームにしっかりと伝え、全員が一緒に目標に向かって頑張るよう導くことが大切です。

インパクトのある言葉、メッセージを伝えることに加えて重要なのが、実際に行動することである。3)

5. 優れたリーダーの戦略③

リーダーシップの大事なポイントの一つに「ポジショニング」があります。これは、自分の目標や立場を一貫して守ることを意味します。もし、目標や立場がコロコロ変わると、周りからの信頼を失ってしまうことがあります。

ポジショニングは、ビジョン(未来の目標)を実現するためにとても重要です。たとえば、ヤマト運輸の小倉昌男さんは、多くの反対を受けながらも、一貫して個別宅配事業に取り組み、それを成功させました。

リーダーが成功するためには、フォロワー(部下や仲間)の信頼が欠かせません。信頼されるリーダーは、フォロワーと良い関係を築き、一緒に目標を達成していきます。

リーダーシップは、リーダーとフォロワーが言頼の絆で結びついていないと、その第一歩が踏み出せない。4)

6. 優れたリーダーの戦略④

リーダーが自分をうまく活かすためには、2つの大事なポイントがあります。それは「肯定的自己観」と「ワレンダ要因」です。

肯定的自己観

  • 自分の強みと弱みを知る: 自分が得意なことや苦手なことをしっかり理解し、得意なことはさらに伸ばし、苦手なことは改善していきます。

  • スキルを伸ばす: 強みを活かして、さらにスキルを磨くことが大切です。

  • 能力の確認: 自分の能力が仕事の要求に合っているかどうかをチェックします。

ワレンダ要因

  • ポジティブな考え方: 仕事に対して前向きに取り組み、成功をイメージすることが大切です。逆に、失敗ばかり考えると、実際に失敗しやすくなります。

この2つのポイントを活かすためには、次の4つの状態を理解することが重要です。

  1. 肯定的自己観もワレンダ要因も良い
    自分に自信があり、仕事も前向きに取り組める状態です。これは最も良い状態で、リーダーとして成功しやすいです。

  2. 肯定的自己観が悪く、ワレンダ要因が良い
    自信がないけれど、仕事に対して希望を持っている状態です。もっと自信を持てば、さらに良い結果が期待できます。

  3. 肯定的自己観が良く、ワレンダ要因が悪い
    自信はあるけれど、仕事がうまくいくか心配している状態です。安心感を持てれば、より良い成果が出るでしょう。

  4. 肯定的自己観もワレンダ要因も悪い
    自信がなく、仕事に対してもネガティブな考えを持っている状態です。この状態では、モチベーションが低くなり、仕事を続けるのが難しくなるかもしれません。

自分の能力に自信を持ち、前向きな考え方をすることで、リーダーシップが発揮できるようになります。

自己観もワレンダ要因も肯定的な人物が、自己を創造的に活かして効果的なリーダーシップを発揮できる。5)

7. 旧世代リーダーと新世代リーダーの比較

リーダーシップを育てるためには、時代に応じた考え方が必要ですが、共通する重要な要素もあります。

世代による違い

  • 旧世代リーダー: 1945年から1951年に成人した人たちは、戦争や大恐慌を経験し、安定や秩序を重んじるリーダーシップを持っています。

  • 新世代リーダー: 1991年から2000年に成人した人たちは、技術革新と経済成長の時代に育ち、柔軟な考え方や協力を重んじます。物質的に豊かで、目標やアイデンティティについて考える傾向があります。

共通するポイント

  • 学び続ける姿勢: どの世代のリーダーも、自分の経験から学び、より良い方法を探し続ける意欲があります。

  • 試練を乗り越える力: どの時代のリーダーも、困難や試練を経験し、それを乗り越えてきました。これがリーダーシップを強化します。

優れたリーダーに世代を超えて共通する点は、高い学習意欲と、厳しい試練に耐えた経験である。6)

8. リーターシップの開発

リーダーとして成功するために大切な4つの能力があります。

  1. 適応力と強い心
    リーダーは変化に柔軟に対応し、困難をポジティブに学びながら乗り越える力が必要です。目標に向かって諦めずに進む強い心も大切です。

  2. 意味の共有とチームを巻き込む力
    リーダーは目標の重要性をチームに伝え、メンバーの意見を尊重し、対立があれば共に解決策を考える姿勢が求められます。

  3. 情報を上手に伝える力
    リーダーは目的や計画を明確に伝え、フィードバックを活かして改善することが重要です。

  4. 高潔さ
    リーダーは倫理的に正しい行動をし、高い志と能力を持つことが大切です。

これらの能力を持つリーダーは、どんな時代でも成功しやすいのです。

リーダーシップの開発にあたって、「適応力と強靭な精神」「意味の共有化と他者の巻き込み」「意見と表現」「高潔さ」という4つの能力が求められる。7)

以上、リーダーシップは時代や環境に合わせて進化します。
現代のリーダーには、変革をリードする力が求められます。
優れたリーダーは、過去の経験、現在の状況、未来の予測を基にビジョンを作り、組織を新しい方向に導きます。
また、目標やビジョンをわかりやすく伝え、チームを引き込むコミュニケーションが重要です。さらに、自分の強みや弱みを理解し、ポジティブな考え方で自分を活かすことも大切です。


ここまで読んでいただきありがとうございました。

私が目指しているのは、孤立のない共生社会の実現です。

参考文献
1)2)3)4)5)6)7)

小野善生著 『リーダーシップ理論集中講義:コッター、マックス・ウェーバー、三隅二不二からベニス、グリーンリーフ、ミンツバーグまで』 日本実業出版社 91~117頁 2015年

よろしければ、こちらもどうぞご覧ください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?