「歯科衛生士が家庭訪問で学んだ10分間の貴重な教訓」
むし歯予防に取り組んでみて
地域で歯科衛生士として働いてきました。
幼児のむし歯予防を推進するため、年間180件の幼児を持つご家庭の訪問をさせていただきました。
1回の訪問時間は約10分間でした。
むし歯予防の大切さを伝えるために訪問した私は、むしろ一人ひとりのお母さんたちから多くを教わりました。
地域でありのままの生活から私に教えてくださったお母さんたち
子育ては365日休みがありません。
毎日、毎日、自分のことは後回し。
それでも、終わりが見えない、子どもは待ったなし。
むし歯予防を通じて分かった一人ひとりの生活がありました。
多くの家庭訪問で、分かったことは、むし歯予防をやれている、やれていないが実は問題ではなく、やれていないことを放置する地域の方が問題であり、誰もとりこぼさないのが地域の責任でもあると気がつきました。
公的機関等の誰しもが平等に受けられるむし歯予防に効果のある機会の提供が必要
ポピュレーションアプローチ(地域で広範囲に予防的、公衆衛生的な)では、3歳児のむし歯が確実に減少しむし歯数や有病者率が半減しました。
補助金を使って何かを配ったり、誰でも知ってることを教えたりして、個人に任せると、地域のむし歯はなかなか減少しません。
なぜなら、一人ひとりの生活は違うのです。
一人ひとりの考え方を変えることもできません。
決めるのは、住民の方一人ひとりです。
何かを強要することも、一方的に指示を出して指導することも、生活している人には受け入れ難いのです。
地域の一人ひとりの生活こそ最高の教科書です!
あるお母さんは、何でも器用にこなしていました。
あるお母さんは、本当は地域の子育て支援の会に参加したいけれど、その輪に入ることを嫌がっていました。
あるお母さんは、子育てにはあまり興味がなく、祖父母に任せっきりでした。
あるお母さんは、自分の時間が欲しくてパートの仕事を始めました。
そこから、学び、ニーズを活かし、一人ひとりの生活にフィードバックし、一人ひとりの持つ力を引き出して(エンパワメント)いくのが、地域で働く専門職の仕事です。
地域に必要なもの
◉どんな人もたったひとりで子育てしない、孤立しない安心な場所、安心なつながりと地域が必要なのです。
◉子育ては、ひとりでするものではなく、色々な助けを得てするものです。
堂々と助けてを言えるあたりまえが必要です。
さいごに
子育てをしているあなたを、応援している気持ちを伝えて終わりにします。
そして、お願いもあります。
〜地域のお母さんたちへ〜
誰かの娘として生まれたあなたは、
孫として大切にされてきたあなたも、
誰かの兄弟姉妹だったあなたも、
様々な経験を積み重ねた幼少期を経たあなたも、
お手伝いでお母さんを喜ばせようとしたあなたも、
何にでもチャレンジした可愛い女の子だったあなたも、
夢に思いを馳せていたあなたも、
誰かの妻になり誰かのお母さんになり、いまこうやって子育てをしています。
私はその姿に励まされてきました。
そのひたむきな姿に感動してきました。
お子さんに接するその姿に思わず涙することもありました。
その姿が私を専門職でいるように、導いてくれました。
多くを教えていただきました。
これから、地域で必要なものを作りたいと思っています。
あなたが、あなたらしく子育てができる地域が必要だと思っています。
また、あなたから教わりたいと思っています。
私が地域に行った際には、どうぞその時まで、ありのままのあなたでいてください。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
私が目指しているのは孤立のない共生社会の実現です。
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