世界の個人資産 その1・成⼈1⼈あたりの平均資産の増減率
会社に縛られず、経済的な自由を手に入れるためには、世界の富について学ぶことは大切です。
世界の富の現状について、大変ありがたいことに、毎年スイスの大手銀行、UBSグループがまとめてくれています。
そして2024年にUBSグループから出されたグローバル・ウェルス・リポートによると、世界の富は増加し続けているようです。
お金持ちが多い国はどこ?
2023年、億万⻑者が最も多かった国は、⽶国で約2,200万⼈(全体の38%)。
続いて中国の600万⼈強。
3位は英国で中国の半分程度だった、とのこと。
なんとなく欧米人にお金持ちが多いと感じていましたが、欧米というくくりではなく、ザ・米国でした。
しかし、少し前まではこのランキングに日本が食い込んでいたはずなんですが。
伸び率
2022年から2023年にかけて、成⼈1⼈あたりの平均資産の増減率に注目すると、最も⼤きく現象したのはキプロスで 30%以上減少。
続いてメキシコが 20%近く減少し、カザフスタンが17%以上減少。
ヨーロッパ諸国の中では、スイスが約-6%、イタリアが約-4%と減少。
⼀⽅、トルコは2022年から2023年にかけて157%以上増という驚異的な成⻑。
次いでカタールとロシアは20%近くの増加率。
そして南アフリカの16%強、イスラエルが14%と続く。
キプロスはトルコの南65㎞の距離で地中海の東に浮かぶ島国。
トルコが驚異的な伸びを示したのにすぐそばのキプロスで驚異的な減少というのも興味深い。
なお、この増減率は、あくまで個人資産の増減をみており、国の経済を見ているわけではないという点には注意が必要です。
また、現地通貨ベースでみているため、⽶ドルベースでみた場合のイメージとは異なります。
さらに、このグラフは単に2022年と2023年の比較であるため、2022年の個人資産がそもそも少なく、2023年に少しまともになった、という場合でも、増加率が大きくなるという点にも注意が必要です。
下のグラフは、2023年の平均資産成長率です。
薄いグレーが⽶ドルでみた平均資産成長率、濃いグレーが現地通貨ベースでみた平均資産成長率。
これをみると、現地通貨ベースと⽶ドルベースの数字では、⼤幅に異なる場合があり、特に主要経済国の中で最も顕著な乖離が⾒られたのが我が国⽇本です。
⽶ドル建ての成⼈1⼈当たりの平均資産の伸びはわずか2%程度でしたが、日本円建てでは9%以上の伸びとなっています。
円安により、個人の平均資産額は大きく増加したように見えますが、米ドル換算の増加率はわずか2%です。
まあ、伸びないよりはよいです。
英国では⽶ドル建てで16%を超える伸びが英ポンド建てでは10%未満に減少。
ドイツでは⽶ドル建てで3.4%近くの伸びがユーロ建てではわずかにマイナス。
スイスでは⽶ドル建てでは3.6%という伸びがスイスフラン建てでは約-6%のマイナス成⻑。
ヨーロッパは日本と真逆です。
日本円と米ドルの関係性だけを見ると、米ドルが強いように見えましたが、ユーロやスイスフランも併せてみると、米ドルが強いというわけではなく、日本円が弱いという構図が浮かび上がってきます。
注意
ここでは主に個人資産の伸び率を見てきましたが、このグラフの見方には以下の通り注意が必要です。
・ここでいう増減率は、あくまで個人資産の増減であり、国の経済ではない。
・現地通貨ベースと⽶ドルベースでは通貨強弱の関係性を鑑みる必要がある。
・単に2022年と2023年の比較の場合、2022年の個人資産がそもそも少なく、2023年に少しまともになっただけでも、増加率が大きくみえる。
・上の2つのグラフは、中央値ではなく平均値をみているため、富裕層の資産額に引っ張られている可能性がある。
いずれにしろ、個人の平均資産額はここ15年程度を見る限り、多くの国々で増加傾向にあるようです。
⼀般的に⾔えば、資産の中央値と平均値の伸びが同程度である場合、社会のあらゆる階層がほぼ⾜並みを揃えて資産を増やしていると判断できます。
一方、資産の平均値の伸びが、中央値を⼤きく上回る場合、資産の増加のほとんどが⾼所得層によるものと判断できます。
さて、世界は、そして日本はどうなんでしょうか。
続きはまた。
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