見出し画像

学生の皆さん、社会人になってから博士を取りましょう!


はじめに


博士をとっても就職先がない、稼げない、など、日本では博士取得人材の冷遇が問題になっています。

一方、そんな日本にあって、博士を取りたい!と思って日々頑張る学生さんは多く存在します。

また、博士を目指したいけど、先立つものがない、親に頼るのは憚られるし、お金を稼ぐのが先決なので博士は諦めて就職する、って方もいらっしゃることでしょう。

そんな博士を諦めてしまう学生さん達に、私から言いたいことは表題の通り、社会人になってから博士を目指してはどうでしょうか、ということです。

社会人博士課程のメリット・デメリットを以下に示します。


メリットデメリット


【メリット】

  1. そもそも会社員として働きつつ博士号を取りに行っているので、博士号をとってから就職先を探す必要がない。

  2. ・自分が働いたお金で博士号を取りに行くか、あわよくば会社から補助をもらいつつ博士号を取りに行けるので、資金面でそれほど心配しなくて済む。親のすねをかじる必要もない。

  3. ・学部卒でも、英語で論文をいくつか出しておくと、博士前期課程取得相当と見なされ、博士後期課程からスタートできるかもしれない。

  4. 博士課程に進む際、就職先や金銭面の心配を一切しなくて済む、というのは、研究に打ち込む際、自分自信の精神面の向上に大きく寄与することでしょう。


【デメリット】

  1. ・ある程度の年齢になってからの博士取得は、大学教授や国の研究機関といったアカデミックな世界で就職したい人にとっては年齢や経験の面で不利になるかもしれません。

  2.  そういった方にとっては、就職しないでその道を突き進む方が良いかもしれません。

  3. ・社会人博士課程に進みたいといっても会社が許してくれないかもしれない。
    その場合、会社に内緒で頑張るしかない。

  4. ・研究内容が会社の事業方針に沿った内容以外は認められず、自分の本当にやりたいことができない可能性がある。

  5. ・会社が許可を出してくれたとしても、業務量はそれまでのままで、研究時間は自分の余暇時間を充てるしかない場合が多いため、そもそも普段の仕事量が多い人は、いや、無理ゲーじゃね?とか、死んじゃうかもしれない、ってくらい忙しくなる。

  6. ・そんな感じで無理しないと研究が進まないので、ストレスや多忙で免疫が弱り、体調を壊しやすくなる。

  7. ・会社が許可を出してくれたとしても、会社の同僚に自分の仕事のしわ寄せがいくかもしれず、心苦しい。

  8. ・家族がいる場合、家族の許可がいる。
    博士を取っても稼ぎに影響しない場合が多いので、奥さんが許してくれないかもしれない。

  9. ・特にご家族と過ごす時間を大切にされている方にとっては、間違いなく家族と過ごす時間を削るという悲しくも辛い選択に迫られる。

  10. ・研究時間が足りず、研究が思うように進まない。
    とても3年では博士を取れそうにない。

などなど・・・・。


メリット、デメリットについて、ご理解いただけましたでしょうか。

多くのデメリットはあるのですが、優秀でやる気もあるのに就職先や金銭面に怯えて博士を諦めてしまう人たちがいるのを目の当たりにすると、私にはとても勿体なく思えてしまいます。

なので、今、就職先や金銭面が心配で大学院進学をあきらめて就職活動をされている方は、是非、就職先の選定の際に、社内規定として社会人博士課程に関する規定がないか、規定になくてもそんな前例はないか、などを調べてみてください。

最近の大企業多くは、社会人になってからの学びなおしを応援してくれることが多いです。

私の勤務する会社は、そんなに大きくはありませんが、社会人博士課程に関する社内規定があり、会社の業務内容として必要な研究内容であれば、会社から入学金を出してもらえます。授業料は個人持ちです。

さらに、うちの会社では月に1日だけですが、特別休暇を貰えます。

たったそれだけ、と思うかもしれませんが、これだけでも研究を進めるためにはとても大きな支援です。

私は会社に過剰に縛られるのが嫌だったので、入学金や授業料は全て個人で支払いました。

しかし、月1日の特別休暇は、ありがたく使わせてもらいました。

通常、博士後期課程は3年とされていますが、私の場合は4年かかりました。

これでも私としては、かなり順調に進んだと思っています。

社会人は当然のことながら、学生時代よりもお金はあるけど時間がないという状況です。

社会人は、研究に集中できる学生時代よりも、さらに時間をかける必要がある、という点には注意が必要です。

現在、多くの大学で長期履修制度が導入されており、3年の予定が5年になったとしても、あらかじめ長期履修申請をすることで、授業料は3年分のままで5年に延ばすことができます。なので、3年の予定が5年になったとしても、金銭面ではさほど問題はないでしょう。


終わりに


「博士は足の裏の米粒のようなもので、取っても食えないけど取らないと気持ち悪い・・・。」

個人的には、この「取っても食えない」という自虐的な部分はあまり好きではありません。

将来、「そんなことが言われた時代もあったよね~」、と言えるような日本になってほしいです。

ではまた。

いいなと思ったら応援しよう!