見出し画像

そんなわけあるか

我が家の近くに一本の川がある。
小学生のある夏の日に30人くらい集まって近所の公園で遊んでいたのだが、あんまりにも暑かったから水遊びをしたくなった。
学校は開いてないし,近くのプールまでは自転車でも20分くらいかかる。
だから考えた末にその川で泳ごうということになった。

粒揃いのバカどもである。
都心を流れてる川なんて絶対汚いし、屋外の川で上裸になって泳いだらたぶん小学生でも警察に怒られる。今なら考えるまでもなく分かることだ。

でもまぁ当時は分からなくかったから普通に橋の下で着替えて遊んでいた。
平日の真っ昼間だったから幸い人が通りかかることもなかったのだが、誰かが橋から飛び込んだ時に1人のお爺さんが来た。

そして自分たちを見て言った。
「お前達はその川が底なし沼で、昔子供が足を取られて死んだのを知らんか」と。
当時まだ純粋だった自分たちはその言葉を聞いて文字通り死ぬほど怖くなって、すぐに遊ぶのをやめて公園に戻った。

今もその川はあるのだが、その川は護岸工事が施してあり、横と下をコンクリートに囲まれている。どうやっても底なし沼に足を取られて死ぬわけがない。
いまでもこの橋を通ると最初から最後までアホだったなぁとあの頃を思い出す。