異国情緒に恋焦がれ
8月22日は作曲家クロード・ドビュッシーの誕生日でした。
160年前に生を受けたドビュッシー。
現代音楽の祖とも位置づけられる彼の曲たちは、
自由で柔らかく、心情をくすぐらせることが多いです。
本日ご紹介する曲です。
管弦楽のための『映像』より「イベリア」 です。
「イベリア」とはスペインやポルトガルがある半島のこと。
先ほど、自由で柔らかく…なんて言いましたが、
「イベリア」の冒頭はエネルギーが凝縮しています。
わたしがよく聞いている楽団の「イベリア」の演奏動画です。
第3楽章まであるのですが、楽章ごとに綴っていきます。
ぜひ演奏動画を流しながらお読みいただけたら幸いです。
第1楽章「街や小道を抜けて」(Par les rues et par les chemins)
カスタネットの背筋がピンと伸びるような緊張感と抑えきれない熱情。
”異国”という未知に対する不安が少しだけ見え隠れするけれど、
イベリア半島の陽気な街並み、美しい海原に広がる波の鼓動に、
もしかしたら良いことありそうかも…?と前向きな気持ちになります。
大地の力強さ、街のにぎわい、変わらず愛される文化…様々な音が、
水に溶ける水彩絵の具のように脳内に染みわたり、ドビュッシーが描くイベリアの情景に飲み込まれていくようです。
しかし最後はまるで心地のいい入眠のように、音はなめらかに終着点へ向かい、昼間の営みに満足して沈んでいく太陽を追うように、夕暮れの空は次第に暗くなっていきます。
オーケストラは街の余韻を見届け、静かに、次のシーンへ準備を始めます。
第2楽章 「夜の薫り」(Les parfums de la nuit)
異国情緒を全身で堪能し、びしびしと興奮している神経を、
夜の風が穏やかに撫で、まどろみ、夢に誘われていくように、
優しく静かに第2楽章が始まります。
外の街では男女の逢瀬がかわされているのでしょうか。
独特な異国の調べが、すこし大人な薫りを纏いはじめ、
妖艶な弦楽器のソロがたゆたいます。(厳密にいうとソリ)
第3楽章 「祭りの日の朝」(Le matin d'un jour de fête)
夢の中に現実の音が混ざってくることがたまにあって、
あーそうそう、この曲なんだっけ…とゆっくり覚醒していくと
街はもうお祭り騒ぎ。
「もう朝?!」と飛び起きるも、
決して胃もたれや胸やけはしていない軽やかな目覚め。
まったく訪れたこともないのに都会から田舎まで知ったような気になれる。
めちゃくちゃコスパいい海外旅行です。
長々と書いていきましたが、私個人が一人で興奮している内容であって
「うーん?やっぱり自分はこう思うけどなぁ?」
とか、
「イベリアの香りがあまり感じられなかった…」
とか、
色々な意見が出てくると思います。
ぜひ!どうぞまた第1楽章から流してみてください。
あなたはどんな情景が浮かんできましたか?