
【LDL勝手にバディ対談】猪田有弥さん×垣本雅史 モビリティ対談(じゃなくて相談)
LDL(Locally Driven Labs)とは、約20年にわたって全国各地で経営とまちづくりに取組んでいる木下斉さんが所長として立ち上げたラボです。
LDLメンバーの取り組みや地方の取り組みをシェアしているのがこちら
私も4月からアソシエイトとして参加しています。7月からバディ制がスタートして対談をしてnote記事にする事が始まりました。これをきっかけにバディとの交流が始まりましたが、それ以外にもそれぞれの取り組み状況に応じた交流も始まっているように見えます。
今回私もはじめてバディ以外の人との個人的に交流しましたので勝手にバディ対談(というより相談)として記事にしておきます。
鉄道とバスの共通定期券の実証実験が決定!
先日、JR因美線と若桜鉄道、日本交通路線バス若桜線の共通パスの実証実験についてnote記事を書きました。
5年前に開催した「公共交通で考えるまちの未来」というイベントで紹介した鳥取県東部公共交通網形成計画に書かれていた施策のひとつであった若桜鉄道とバスの共通定期券の実証実験が決定して感慨深いという内容でした。
最初は半額助成してくれるモニター募集もあるから一度利用してみようかなという程度の関わり方で考えていました。ところが高校の陸上部の同級生の福田県議から実証実験の参加者が非常に少ない事を聞いたことから、5年ぶりの公共交通イベントを開催することになりました。
公共交通イベント開催に向けて猪田さんに相談
イベント開催の経緯はこちらの記事に書いています。
LDLにはモビリティ白書をクラウドファンディングで作成された、モビリティにとても詳しい猪田さんという方がいらっしゃることは知っていました。西粟倉に住まれていて鳥取と近い言うことで定例会でご挨拶させていただいた程度でした。
このイベントの開催が決まって一番最初に協力して欲しいと思って連絡したのが猪田さんでした。連絡させていただいたところお時間を作っていただけたので、このイベントにご意見をいただくためにZOOM対談をさせていただきました。
LDL勝手にバディ対談(というより相談)
まずは協力のお礼を伝えた上で、今回のイベント開催の概要を説明させていただきました。
主催の三人で検討したイベントの概要は以下になります。対談の時に話した内容はこれよりまだまだ荒かったものになります。
■タイトル:
鳥取の公共交通存続アクション2022 1stミーティング
「鳥取~若桜共通パス実証実験を成功させよう!」
■主催
公共交通とまちづくりに関心のある個人3名
■日時:
11/26(土) 13時30分〜16時00分
■場所:
隼Lab 3Fセミナールーム
■対象
やずわかさエリアの公共交通、移動の課題に関心、興味がある人
※最大20名
■目的:
・鳥取~若桜共通パスの実証実験の目的の達成
・やずわかさエリアの公共交通、移動の課題の共有
■内容
1.今回のイベントの概要説明
2.実証実験に参加した結果説明、感想と質問の共有
3.県の担当者からの実証実験の目的の説明
4.目的の達成のために必要なアクションを考える
成功の定義を決める、現時点の評価、今後必要なアクションを考える
5.この枠組みの構想の説明
6.今後の動きに向けてやずわかさエリアの公共交通、移動の課題の共有
■注意点
・鳥取県東部公共交通網形成計画の若桜八頭エリアの内容を理解してお集まりください。
https://www.pref.tottori.lg.jp/secure/1072769/toubugaiyou01.pdf
・行政と民間が連携して個人個人が主体的に進めていく活動です。
この内容について猪田さんからたくさんご意見をいただきました。
以下、猪田さんにいただいたご意見をほぼそのまま書かせていただきました。
私の名前で書いているのが私が話した内容で、それ以外は猪田さんのお話です。
イベントの目的について
noteの記事は読んだので想いは伝わるが、イベントの目的である「実証実験の利用者増」と最終的な目的と書かれていた「マイカー依存からのマインドチェンジ」の間には大きなギャップが存在する。
マインドチェンジも重要だが、啓蒙し続けるより乗ってもらうこと、木下所長的に言うと「まずはやってみる」がより重要。
ターゲットが見えないのと、主催がどこかわからない。
この目的であれば行政と組まないとうまくいかないと感じている。
組むとなるとどの部署と組むかも大事。公共交通はいろんな分野に絡むので、商業分野、福祉分野の部署にも参加してもらうことも考えた方がいい。
県もターゲットへの働きかけはされていて商業や福祉などにも何かやられているはず。
参加条件について
11/26のイベントについてはコアメンバーを対象とするのであればそれまでに使ってみることを必須にしてみてはどうか?
今回の実証実験の利用者増が目的であれば全員使ってみるのが基本。
同じ期間で購入して条件を合わせるのが一番いい。
少なくとも買ってみることは必要。
そうすれば、
買ったけど使わなかった、
使えると思ったけど一回使っただけだった、など、
実際に買った人、使った人の使い勝手や使用感をベースにした話ができる。
設定がおかしかった、などがわかってくる。
5日連続だったから使いにくかった。
任意の5日間なら使っていた。
雪が降りそうな季節だったのはよくなかった。
使った上で出てくる意見が本質だと思っている。
使わない人の意見を聞くにしても、使わない人が99%のはずなので、今回の実証実験の対象となる人に絞って意見を聞くことが必要。
イベントの内容について
11/26のイベントでは実証実験によりフォーカスして「使ってみてこうだった」という実感を自分の言葉で言えることにしておくことが大事。
これによって、実証実験の目的や次どう考えているのかなど、県側に本音を聞かせてもらうことができる。
今回の結果がどうだったか教えてもらえることができたら、実証実験の2回目につなげていくことができる。
MM(モビリティマネージメント)という考え方
MM(モビリティマネージメント)という考え方が大前提。
以前は交通問題の解決として、ロードプライシングなどの需要のコントロールなどの混雑回避のためのTDM(トランスデマンドマネージメント)という考え方が主流だった。
MM(モビリティマネージメント)は車に乗るかバスに乗るかという行動のマネージメント。行動転換の積み重ね。その結果としての自動車社会だと思っている。
車を使う理由
今なぜ地方ではみんなが車を使っているのか?
それは時間に合わせて行動するためで、時間が一番読めるのが車だからだと思っている。時間に余裕のある人がバスに乗っている。
子供を保育園に送ってから出勤している。
モニターに参加するために奥さんに保育園への送りをお願いしたとかあるかもしれない。
これがわかってくるとターゲットを絞ることができる。
企業の人、高校生、病院通いの人など。
行動を変えるということ
社会を変えないと行動は変えられない。
福祉観点でひとりひとりに対してプランや環境を提供してあげることが必要。
システムでは人は動かない。
モビリティは社会の移動の仕組みを作ること。
ひとりひとりにどう寄り添うのか。
心の動きに寄り添う。
寄り添うことで人は動く。
垣本:心が動くから行動が変わるのでしょうね。
公共交通無料デーの目的
公共交通の無料デーはインパクトだけではなくて、目的はふたつある。
ひとつは、普段乗っていない人に乗ってもらうこと。
もうひとつはイベントを仕掛けて人の動きを作って、行動の積み重ねについてデータを取ること。
今までに、熊本や岡山で行われていて、直近では近江で行われた。
東京にいた頃は東急電鉄でも行われていた。
若桜鉄道は無料デーは比較的簡単にできると思う。
経済効果を測るためには、日曜日1日だけではなく金曜日と土曜日など平日と休日のデータを取った方がいい。
データを取れる仕組みやお店への流れがわかる仕組みが必要。
垣本:若桜鉄道はあまり乗っていない状態で走っているので、無料にしてもそれほどのマイナスでなく物販などが伸びる結果になるのでは。
地域全体ではプラスになるはず。
近江などでやった結果、全員無料にしなくてもと言う話もある。
最初の100枚無料券を配って、
次は200円と徐々に高くしていって、
使える便数が減ってきたらまた安くしていく、
と言うことが考えられる。
企画キップについて
鳥取のバスの乗り放題手形は一度使ってみたいと思っている。
3日間で1800円は意外と安い。
垣本:若桜鉄道も乗れたはず。
私鉄は組みやすいがJRは法律で料金が規制されているので組みにくい。
誰とどこと組んで何をするかが重要。
西粟倉での活動について
西粟倉にはバスもタクシーもない。
車社会を変えられないと思ったので、ガソリン車を減らすことを目的にしている。
小型の電動モビリティを一家に一台普及させようとしている。
行政への働きかけは西粟倉でもやっているので協力できると思う。
※対談はここまで
イベントを開催して
改めて猪田さんのモビリティに関する多様な知見に驚きました。
途中からはそれはもう「モビリティ学」を学ばせてもらっているような感じになり、面白さを感じていました。猪田さんの人の行動の変化についての考察がとても興味深かったです。
イベントは11月26日(土)に開催しました。主催のメンバーにはイベント前にこの内容は共有して、参考にさせていただきました。
イベントには多様なたくさんの方が集まって非常に有意義な話ができました。
イベントの内容は別途noteにまとめます。
イベント開催時は猪田さんにリモートで聞いていただけるようにZOOMで接続しました。イベント終了直後にコメントもいただきました。ありがとうございました。
イベントの第二弾も現在企画中で12月17日(土)に開催予定です。
引き続き、猪田さんに協力していただきながら、このやずわかさ谷エリアの移動の課題をいい方向に変えていけるように動いていきます。