評論家では信頼されない—勇気を出して自分の信じることを言ってみる
こんにちは、自分らしい幸せなキャリア実現パートナー、佐藤千鶴です。
NOTEでは、30年以上にわたって日本企業や外資系企業で働いてきた私の経験から、「先にこれ知ってたら、もっと楽しく仕事やれてたかも」という、自分らしい幸せなキャリアづくりのヒントを紹介しています。
第19回目のテーマは「評論家では信頼されない—勇気を出して自分の信じることを言ってみる」です。
「それで、あなたはどう思う？」と問われた瞬間
私が新商品の企画会議でようやくプレゼンする機会をもらった時の話です。ある新商品のコンセプトについて、「消費者はこう言ってます」「こんな点が評価されています」と調査結果を伝えてプレゼンを終えた時、営業部の部長からこう尋ねられました。
「調査はわかったけど、あなたはその結果を見てどう考えるの？ それ売れるの？」
その瞬間、私は答えに詰まりました。私はこのコンセプトとてもいいと思っていました。今までにはない新しい体験をお客様に提案できると思っていました。でも調査では「すっごくいい」とはいかず「まあまあ」の評価でした。ましてや売れるかどうかまではわからない。
私は「調査ではなかなかの評価でした。これから課題を見つけ直していきます」と答えました。この時私は、自分の意見を言いきることに自信がなく、批判や間違いを恐れて、調査結果の陰に隠れてじっとしていたのです。
営業部長は「調査は調査だからな」と一言言ってそれから何も言ってくれませんでした。
チャンスを逃した私
その時会議の場に流れた、言葉にはなっていないけど確かにある「がっかり感」を私は感じました。会議が終わった後、上司に呼ばれてその理由が分かりました。
発表の時、「だから（でも）私はこう思います」までを言いきらないと、聞いている人は「この人は逃げている、保険をかけてものを言う人だ」とその人を評価するんだということ。信頼感はがた落ちし、「この人に仕事を任せても、困難に遭遇したら逃げるんじゃないか？ 最後までやり遂げられないんじゃないか？」と思われるようになること。
結果として、私は大きなチャンスを逃してしまったのです。
“言い切る”勇気で何が起こるか
チャンスを逃すのはもったいない。私と同じ失敗をしないためにも、自分の意見を言う時、リスクや批判、失敗したらどうしようという不安はあるけれど、信じたら言い切る勇気を持つことが大切です。
周りの人だって、誰も100％の自信なんて持っていません。でも、自分の信じたことを賛同してもらうためには言い切らないと物事は動きません。これを先輩たちは知っていたのです。
「調査は調査だからな」の真意
営業部長の言った「調査は調査だからな」という言葉についても上司と話をしました。
「よく『それエビデンスあるんですか？』という奴いるだろう。そういう奴も調査の陰に隠れて、保険をかけてるやつなんだ。エビデンスなんて最初はないのに」
その時、上司は有名なフォードの話を教えてくれました。 消費者に何が欲しいと聞けば、「より速い馬」と答えるだろう。「車」と答える人はいない。「車」というコンセプトを想像することさえできない人は、それを欲しいと言えない。
つまり、調査やデータは重要ですが、万能ではありません。データだけに頼ると革新的なアイデアを見逃してしまう可能性があります。そこを乗り越えるのが、自分が信じたことを周りに伝え、賛同してもらうことだと上司は言いました。
チーム全員の信念が「桃の天然水」を生む
その後、私は自分の意見を信じて言い切った経験をします。私が「桃の天然水」の商品開発リーダーを務めていた時です。
商品開発の初期段階で、調査では「天然水なのに甘いのはおかしい」という結果が出ました。しかし、私たちのチームは「軽い飲み口やすっきり感を表現するには『天然水』が最適だ」と信じていました。
多くの反対意見やプレッシャーがありましたが、チーム全員が『これはいける』という直感を信じ、何度も企画会議で意見を主張し、最終的に商品化にGOがでました。その結果、「桃の天然水」は大ヒット商品となり、多くの方に支持されました。この成功は、自分たちの直感と信念を信じた結果だと今でも思っています。
あなたも“言い切る勇気”を試してみましょう
あなたも自分の思いや直感を信じて、勇気をもって自分の意見を言っていきましょう。その直感はけっこう当たります。なぜなら、直感はただの勘じゃありません、あなたのこれまでの成功・失敗の集大成から来ているからです。
自分が信じることを進めたいと強く思う言葉は、必ず誰かの心を動かし、行動促すきっかけになります。不安があっても、一歩踏み出して意見を伝える勇気が、自分らしい幸せなキャリアへあなたを導いてくれるはずです。
毎月「１分強みトークつくりワークショップ」を開催しています。自分の強みを見つけて、説得力もって伝える３つのコツで1分トークが90分で作れます。興味のある方はぜひ、こちらをご覧ください。